10月25日に放送された『ブラックスキャンダル』(日本テレビ系)の第4話。前週の煮えきらなさは何だったのか? というくらいのスカッと回だった。
こういうのを待っていた。(関連)
「ブラックスキャンダル」「主演クラスの裏情報を持ってこい」週刊誌芸能記者のゲスい脅しを叩きのめす4話
『月刊山口紗弥加』新潮社

晒されそうになり失禁する週刊誌記者


●亜梨沙vsチーフマネージャー
売れない俳優・稲沢晃(立花裕大)が成長株の女優・小嶋夏恋(小川紗良)を呼び出した。
「おまえさあ、枕営業したんだって? 口止め料として100万円用意しろよ」

ここで重要なのは、稲沢はチーフマネージャー・花園由祐子(平岩紙)の手のひらの上にいるということ。矢神亜梨沙(山口紗弥加)がチーフマネージャーになるつもりと知った花園は策を講じた。まず、夏恋の枕営業の過去を稲沢に教える。そうすれば、金欠の稲沢は夏恋をゆするはず。結果、夏恋のマネージャーの亜梨沙は失墜する……という算段だ。

●亜梨沙vs週刊誌記者
「あなた、藤崎紗羅さんですよね」
一方で、別の脅迫も進行中。亜梨沙の正体に気付いた「週刊星流」の記者・巻田健吾(片桐仁)が脅しをかけてきたのだ。
「3日以内にドラマの主演クラスの裏情報を3ネタ持ってこい」

今回、亜梨沙は一気に2人を征伐する。まずは、稲沢。
「持ってきた? 100万円だよ、100万円。とっとと出せよ!」
稲沢が夏恋に金を要求する会話を亜梨沙は密かに録音、「警察に提供する」と逆に脅して稲沢の手綱を握ることに成功した。


続いては、vs巻田だ。
「ネタは用意できています。とっておきのスクープです」(亜梨沙)
亜梨沙が指した方向のホテルで、稲沢と一人の女が抱き合っている。

巻田 稲沢の熱愛なんて引きがねえだろ(笑)。ネタになんかなりゃしねえよ!
亜梨沙 いえ、引きがあるのは相手のほうです。

稲沢と抱き合っていたのは、巻田の妻・美鈴(青山めぐ)だった。
「あなたは週刊星流でたくさんの芸能人を地獄に突き落としてきました。その記者の妻とイケメン俳優が不倫してるって世間が知ったらどう思いますかねえ?」(亜梨沙)

この情事を撮った画像を、芸能界の裏事情を暴露するアカウント「芸能暴露くん」へ亜梨沙は投稿しようとする。
「週刊誌に掲載されて、私が味わった晒される恐怖と苦しみ、あなたもぜひ味わってみてください」(亜梨沙)

失禁しながら土下座して許しを請う巻田。投稿を思いとどまった亜梨沙は交換条件を出した。
「あんたは一生、私の操り人形よ」(亜梨沙)

同時に降り掛かった2つの危機を逆に利用し、自分に有利な状況を作った亜梨沙。一斉に敵を征伐してしまっている。
さすがだ。

松井玲奈から匂う百合


5年前に藤崎紗羅(松本まりか)、すなわち亜梨沙と棚城健二郎(波岡一喜)の捏造の不倫記事を書いたのは巻田だった。

亜梨沙 5年前、どうしてあの記事を書いた?
巻田 それは金もらったんだよ、あんたの事務所から。理由は聞いてない。

巻田も棚城も、テレビプロデューサーの五色沼仁(袴田吉彦)も芸能事務所「フローライト」からの依頼ででっちあげの不倫スキャンダルに加担した。亜梨沙はフローライトそのものを恨んでいる。
なのに、愛社精神あるマネージャーとしてフローライトに勤務しているから不思議だ。「若手の俳優の劇団を作りたい」と、秀逸な案をプレゼンしたりもする。これは、ひとえに出世したいがため。亜梨沙は社長室にあるパソコンの中身を見るため、花園を引きずり下ろして自分がチーフマネージャーになろうとしている。

5年前に亜梨沙が被ったスキャンダルに、花園は大きく関与している。
「釈明会見を開いて誤解を解くわよ。
これからマスコミに連絡するから、紗羅もすぐ準備して」(花園)
紗羅の担当マネージャーだった花園は上記の言葉で紗羅を会見に送り出し、罠にはめた。

次回は、花園との直接対決だ。社長の勅使河原友和(片岡鶴太郎)は「時に血の入れ替えは必要だろう」と、亜梨沙のことを買っている。花園と亜梨沙を競わせる気である。
「この仕事(CM)をとってきた者を、芸能2部のチーフマネージャーとする」(友和)

花園との戦いが穏やかに終わるとは思えない。軍門に下した敵を駒として操る戦法を、今回の亜梨沙は選んだ。しかも、巻田という強力な手駒をゲットした。稲沢と関係を持つなど、花園は叩けば埃の出る女だ。週刊誌記者はvs花園での重要な武器になり得るはずである。

もちろん、花園だけでは終わらない。このドラマは、誰がラスボスかを予想することが最大の楽しみだ。何しろ、怪しい者だらけ。


まず、淳矢が怪しい。手を握っても、キスをしても、亜梨沙が紗羅だと気付かない元カレ。鈍すぎないだろうか? 「どうしても、彼女(紗羅)のことを忘れることができない」と言っておきながら、積極的に亜梨沙にアプローチしているのも不可解。とっくに、亜梨沙が紗羅だと察している可能性がある。もちろん、フローライトの社長・友和が怪しいのは言うまでもないだろう。

そして、後輩の阿久津唯菜(松井玲奈)。屋上で亜梨沙と淳矢(安藤政信)がキスしてる場面を物陰からこっそり見るその目が怖い。彼女には百合の匂いを感じる。万が一、淳矢を好きならば5年前に廃人になった紗羅を助けないと思うのだ。亜梨沙への深すぎる愛をこじらせ、何かを企んでいる気がする。そういえば、前作『ブラックリベンジ』の結末は百合絡みだった。

次回予告では、からかうような口調で唯菜が亜梨沙に言葉を掛けている。

「ひょっとして、そのまま付き合っちゃうんですか(笑)?」

亜梨沙に重大な局面が訪れると、“家政婦は見た! 状態”で必ず唯菜が覗き見してるのが怖い。やはり、“ブラックシリーズ”には百合がないと……。そんな期待感を抱いている。
(寺西ジャジューカ)

木曜ドラマF『ブラックスキャンダル』
脚本:佐藤友治ほか
監督:長沼誠ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:「ドグマン」(ゲスの極み乙女。)
チーフプロデューサー:岡本浩一
プロデューサー:福田浩之、中間利彦、茂山佳則(AX-ON)、西紀州(AX-ON)
制作協力:AX-ON
制作著作:読売テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中
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