脚本:福田 靖
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

31話のあらすじ
昭和21年5月。
萬平(長谷川博己)と福子(安藤サクラ)と鈴(松坂慶子)と神部(瀬戸康史)は泉大津の元軍人の施設だった場所で暮らし始めた。
海が清々しい
泉大津は大阪の南のほうにあって、家からも海が見える。
さっそく海ではしゃぐ福子たち。
ドローンを駆使した(たぶん)海から浜辺に素早く流れるように向かう映像が気持ち良い。
「まんぷく」はセットドラマの典型である朝ドラにしてはロケが多い気がするが、来るべき4K8K時代にはロケのほうが映えそうだし、過渡期なのかもしれない。
元軍人の施設だった場所は、広く、それぞれの部屋がもてた。
だが、鈴は何かとぶつぶつ文句を言う。とりあえずなんか言いたいキャラだと思えば、気にならない。
松坂慶子がカラッと明るいから救いになっている。
対して福子は、いつだって前向き。親友・ハナ(呉城久美)とも再会し、農作物をもらえた。
夜の海を萬平と散歩して、未来に思いを馳せる。そんな時間も素敵で。
そろそろ子作り計画も・・・。
鉄板80枚
軍人の施設には、170センチ×100センチ、厚さ5ミリの大きな鉄板が80枚以上もあり、萬平はそれをどう使うか思案にくれる。
売ってしまえばいいという鈴に、売ったら終わり、活用すべきと福子。
萬平は鉄板のことばかり考えて、食事の時も気もそぞろ。
「あれ 焼き魚が一匹しかいない」とタイミングをものすごくずらして気づいてみたり。
やがて、近所のラーメン屋・清香軒で、薄味のラーメンを食べていて、鉄板で塩を作ることを思いつく。
戦争で塩が手に入りにくいのだ。
疎開先だった上郡の近くに、塩作りで有名な赤穂があるから学びに行こうと神部を誘う萬平。
まるで人生の台本があるかのようにトントン拍子である。
探偵ものか
これまでの記憶が蘇って「そうだ!」と立ち上がる萬平。ミステリードラマぽい。
「そうか。この手があった お父さん!」
三原武春(阿南健治)「はいはいはい」
なんか口調が金田一耕助みたい。
萬平さんが明智で、神部が小林少年という感じも。
最初は、福田靖脚本の「HERO」の木村拓哉と松たか子、「ガリレオ」の福山雅治と柴崎コウを、長谷川博己と安藤サクラに当てはめて見ていたが、長谷川博己と瀬戸康史のコンビが出来上がってくるとはじつに面白い。
萬平さんがマッド・サイエンティストで、神部くんが助手なんだろう。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」もやれそうだ。
つまり、ヒット作品のキャラクター相関図をうまいこと採り入れているのである。
「神部くんこれは あれ? 神部くん」というところなどもお約束とはいえ可笑しかった
鈴が海の潮で洗濯物がしょっぱくなりそうと懸念する台詞も、塩づくりにかかっていたのだろう。
戦争の記憶
泉大津の生活は順調。
大阪市内の香田家では、忠彦(要潤)が新作を描いていた。
目を悪くして、すっかり画風が変わったが、娘タカ(岸井ゆきの)は「きれい」と魅入り、克子(松下奈緒)は「いままでの絵も好きやったけど いまの絵も素敵」という。
確かに素敵な絵ではあるが、ちょっとこわくも見えないか。前から鳥の目もこわく描いていたから、忠彦さんの内面は変わってないのかもしれないが、魚が死者のようにも見えて、戦争を引きずっているのではなんて気もするのだ。
考え過ぎかもしれないが、泉大津の鉄板も戦争の遺物である。
たとえば、「てっぱん」(10年)という朝ドラがあり、広島でお好み焼きが流行ったのは、広島には鉄を扱う工場が多く鉄板を手に入れやすいのと、夫が帰らない女性たちが生きるためにお好み焼き屋さんを商売にしはじめたからだそうで(広島のオタフクソースのサイトより)。
戦争が終わっても、戦争のあった時間となんとか前向き共生してきたのだ、人類は。なんてことを思った31話でした。
(イラストと文/木俣冬)
連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
朝ドラ「べっぴんさん」もBS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
第31話レビューは
コチラ
11月5日(月)からはじまる予定だった「あさが来た」が月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送は、
国会中継のため、6日からに。
近年の朝ドラ最強夫・新次郎さん再び! 萬平さんとどっちが素敵か。
1話
2話
朝夕、オールBK制作朝ドラではないですか。