さくらしめじ「音楽への対峙の仕方が変わった」 新EPリリースの二人の1年を振り返る/インタビュー前編

さくらしめじ/11月28日に1st EP『うたはつづくよどこまでも』をリリース


田中雅功(たなか がく)と高田彪我(たかだ ひょうが/“高”は正しくは“はしごだか”)によるフォークデュオとして、2014年から活動をスタートさせた さくらしめじ。すくすく育って現在は高校2年生に。
4月にリリースした初のフルアルバム『ハルシメジ』では、オリコンインディーズチャート1位、ウィークリーチャートでも11位と大健闘。今夏の嵐の野音を経て、「音楽への対峙の仕方が変わった」という二人に何があったのか? さくらしめじの1年を振り返る。
(取材・文/坂本ゆかり)

今ここに明かされる、雅功伝説・彪我伝説

――インタビューでの登場は初めてになりますので、相方がどんな人なのか紹介していただけますか?

高田彪我(以下、彪我):僕の相方、田中雅功は16歳、水瓶座。小学校から中1までバスケのプレイヤーとして活躍していたのに、クリープハイプと出会って、音楽の道に。バンド好きで、僕にバンドのカッコいい曲を教えてくれる先生でもあります。出会った時からキノコヘアーでした(笑)。

――雅功伝説、ないですか?

彪我:とにかく、忘れ物が多くて。リハーサルスタジオにギターを忘れて帰ったこともあります。一緒に帰っていたのに、途中まで二人とも雅功がギターを持っていないことに気付いてなかったという(笑)。

――大事な相棒なのに!

田中雅功(以下、雅功):いや、それ、だいぶ前の話ですから! 彪我は17歳になったばかりの天秤座です。昔は僕のほうが背が高かったんですけれど、今や一目瞭然で……。ギターでも何でもパッとできちゃって、新曲の譜面をもらったら次の日には弾けちゃうタイプです。
彪我伝説は……、食事をしながらよく寝ますね。

――赤ちゃんみたいですね(笑)。

雅功:どこでも寝れるんです(笑)。スタッフさんに家まで車で送ってもらう時も、「もうすぐ着くからね」って言われて、「わかりました」って答えた3秒後に寝てました。すぐ寝ますね。立っていても寝るんですよ。

――成長期ってことかな?

彪我:そうですね。まだ成長しますよ、僕は!

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――彪我さんは、10月23日に17歳になったばかりですね。おめでとうございます。

彪我:ありがとうございます。16歳と17歳って変わるのかな? もう1年経ったら18歳で選挙権を持つようになるし、二十歳まで、あっという間なのかも……。

――あっという間に大人ですよ(笑)。
さて、今年は4月に、アルバム『ハルシメジ』をリリース。オリコンインディーズチャート1位、ウィークリーチャート11位という好成績を収めましたけれど、すごく手応えがあったのでは?

雅功:はい。リリースイベントで全国各地をまわったんですけれど、「初めて見たけど、よかったよ!」って言ってくださる方も多くて。すごく嬉しかったですね。

――そのアルバムリリース後の全国ツアーファイナルを日比谷野音で迎えましたが、まさかの台風直撃で。いろいろな意味で、記念碑的なライブになったんじゃないでしょうか。

彪我:台風の野音って、なかなかないですからね(笑)。そんな台風の中でもたくさんの方が来てくれて、一生懸命手拍子をしてくれて、一緒に歌ってくれたファンの方たちのことが一番思い出に残っています。僕たちも、盛り上がるしかない、やれるところまで行っちゃおうって気持ちで臨みました。

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雅功:初めての野音で、しかも台風の中ってこともあって緊張していたんですけど、ステージに出たしょっぱなに、彪我が大転倒したんですよ(笑)。しかも、「雨で濡れてるから転ばないように気をつけてね」って散々言われた直後に。でもそのおかげで、バンドメンバーも僕も彪我自身も、緊張がほぐれた感じ。
それも思い出ですね。

彪我:そういう意味でも、転倒は掴み。僕の狙い通りです(笑)。

――そして11月28日には、新EP『うたはつづくよどこまでも』をリリース。1曲ずつお話をうかがっていきましょう。リード曲「My Sunshine」は、ポジティブで軽快な曲ですね。

雅功:さくらしめじの曲の中でも「My Sunshie」は力強さのある曲になっています。これまでは、「聴いている人に寄り添って一緒に進んで行こう」っていう曲が中心でした。もうすぐ僕たちも高校3年生。少しずつ大人になっていく中、「聴いている人の背中を押せたり、引っぱって行けるアーティストになりたい」って思いがすごく強くなって……。そういう気持ちをこの曲に詰め込みました。

――大人宣言ですね。


雅功:そうですね(笑)。これからのさくらしめじの意思表示というか、そういう曲になっていると思います

彪我:こういう打ち込みの四つ打ちの曲ってさくらしめじではあまりなかったし、サウンド的にも新しいところに挑戦していく気合いが伝わったら嬉しいです。

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――「恋音と雨空」はAAAのカヴァーですよね。すでにライブで披露していますが、なぜこの曲をカヴァーすることに?

雅功:今年の6月14日の結成記念ライブで、「カヴァー曲をやろう」って話になったんです。どうせなら、「え、この曲やるの?」って言われるような、意外な曲をやりたくて。僕がAAAさんが好きで、ギター2本だけでやるっていうのもおもしろいと思って提案しました。ライブで初披露したときのファンの方の反応もよかったし、反響もあったので、「レコーディングしてみようか」って話になって。

――すごく難しい曲ですよね。

彪我:ギターのコードが難しかったですね。打ち込みのトラックをアコギ2本にアレンジするのが大変でした。

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――ハーモニーが美しくて、この曲の新たな魅力が発見できた感じがします。

彪我:AAA さんのバージョンは、一人ひとり歌う構成になっているけど、僕たちは二人で歌わなきゃいし、二人で歌いたい。
譜割りとか歌い分けとか、試行錯誤しながら作り上げていきました。

――そして「スプーンの初恋 ~あゝ、好きだよベイベー~」は、NHK『みんなのうた』で10月から放送されています。小さい頃から観ていた番組で自分の歌が流れるなんて、すごいですよね。

雅功:10年前の自分は、想像もしていなかったですよね……。友達が放送された日に写真を撮って送ってくれたり、親も「おめでとう」って言ってくれたのもうれしかったし、昔から観ていた、誰もが知っている番組で流れたっていうのはすごくうれしかったです。

――そんなことが16歳で経験できるなんて!

雅功:ありがたいですね。

――『みんなのうた』ということもあって、曲はほんわか系ですね。

雅功:僕たちはフォークデュオといっても、ポップスだったりロックだったり、いろんな曲を歌っています。むしろ、「ザ・フォークソング」ってあまり歌っていなくて。だからこそ「ここらで王道のフォークソングに挑戦してみよう」ってことになったんです。でも、ただフォークソングをやるのも面白くないなと思って、フォークじゃなくてスプーンを擬人化して、「スプーンが初恋したらどうなるのかな?」って話を作りました。小さい子には親しみを持ってもらえるような、年配の方にはどこか懐かしさを感じてもらえるような、ちょっと歌謡曲っぽい曲になったんじゃないかな?

彪我:映像がまたかわいくて! スプーンとフォークちゃんとナイフ先輩と家の風景って、僕が思っていた通りでした。


――10年後、20年後にも再放送で観られるんですよ。

雅功:家族で歌い継がれる曲になったらうれしいな……。

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――【インタビュー後編】さくらしめじ 「個人としてもさくらしめじとしても、世の中を揺るがすようにならなきゃ」(彪我)
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