12月1日に『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系)の第8話が放送された。(関連)
「ドロ刑」遠藤憲一vs中島健人&中村倫也かと思いきや遠藤&中島&中村vs巨悪なのか8話
ドラマ「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」 オリジナル・サウンドトラック/バップ

煙鴉を名乗る偽者(大友康平)が登場した今回。
この偽者のおかげで「煙鴉の犯行ではないか?」と警察が睨んでいた事件の真実が次々に暴かれ、煙鴉の冤罪が明らかになる事態に。

ということは……。斑目勉(中島健人)と煙鴉(遠藤憲一)の師弟対決を先週までのレビューで散々煽ってきたが、前言撤回しようと思う。もしかしたら、13係が煙鴉を助ける形になるかもしれない。

煙鴉の冤罪を晴らす13係は、煙鴉の天敵


この偽者は5000万円という大金で煙鴉が雇った男だ。取り調べで皇子山隆俊(中村倫也)に「煙鴉だという証拠を出せ」と迫られた偽者は、未解決の窃盗事件の事例を次々に挙げ「俺がやった」と告げた。そのどれも、煙鴉案件だと警察が睨む事件ばかりであった。
煙鴉による犯行だと示す証拠がないか、13係は再調査を開始する。特に活躍したのは、煙鴉に育てられた斑目だ。「鑑識が探さないところに証拠がある」「一流は理に適った動きをする」等の斑目語録を参考に真相へたどり着くのだ。結果、全事件が煙鴉以外の者による犯行だと判明。偽者に踊らされ、煙鴉の疑いは次々に晴れていった。

エンディングで13係新設の真の理由が明かされた。
煙鴉を逮捕するため、警視総監(本田博太郎)の指令で鯨岡千里(稲森いずみ)が適役を集め作った係だった。

煙鴉は13係の動きを全て把握している。それは、偽煙鴉の取り調べ時の知識量から明らか。ならば、13係が立ち上がった真の目的も掴んでいるはずだ。13係は自分の天敵。なのに、どうして今まで13係を育てるようなことばかりしてきたのか?

ここからは、筆者の予測。警視庁上層部(警視総監や鯨岡ら)は、ある事件の犯人を煙鴉に仕立て上げようとしている。しかし、それは濡れ衣。では、真の巨悪は何なのか? 煙鴉は斑目に気になるセリフを吐いている。
「大人の言うことは信用すんな」
斑目にとっての大人とは上司、上層部だ。煙鴉逮捕を目的に招集された13係だが、その目的自体がまやかしではないのか。

煙鴉───斑目の師弟関係の壮大な目的


今回、煙鴉への疑いが晴れた窃盗事件では、どの現場にも煙草の香りが残っていた。
そして、全事件が煙鴉の犯行ではないと判明している。つまり、煙草の匂いを悪用し、煙鴉の事件だと誘導したい第三者がいるということ。

オープニングで、気になるやり取りがあった。射撃訓練に励む斑目と皇子山。
皇子山 全然、当たってなかったなあ。
斑目 だって、拳銃なんて一度も撃たないまま終わる警察官がほとんどですよ? 意味ないって。

何かを暗示している気がしてならない。拳銃を使うほど大きな相手が13係に立ち塞がる。よほど、強くて大きな敵だ。

皇子山は優秀な刑事だ。この元エリートが、なぜ13係に左遷されたのか。彼には「勝手な捜査を進めて干された」という噂がある。
妹の死に絡む事件への執着であることは明らか。皇子山は、その事件が煙鴉によるものだと確信している。
「証拠を一つも残さない、完璧なプロの仕事だった。わかったのは、通報を受けて駆けつけた警察官が何かの匂いを嗅いだという、その一点のみだった」(皇子山)

捜査を進めていけば、いずれ真相にたどり着く。なぜ、皇子山は左遷されたのか。真相にたどり着かれると困る者が上層部にいたのではないか? そして、何かしらの不正が暴かれぬよう、煙草の匂いを使って煙鴉の犯行だと誘導しようとした。つまり、皇子山の妹の死と上層部は深く関係している。
もっと飛躍して深読みしたい。警視総監と鯨岡が煙鴉を犯人に仕立て上げようとしている事件、つまり13係立ち上げのきっかけと皇子山の妹の死はイコールの関係性。上層部の不正が潜む事件のスケープゴートが煙鴉で、煙鴉逮捕を果たすために生まれたのが13係だ。

即ち、「13係vs煙鴉」ではなく「警視庁上層部vs煙鴉」。煙鴉の狙いは壮大である。
「上層部の狙いを、成長した13係が真相にたどり着くことで阻止してくれ」。その最終目的を見据えての、今までの煙鴉─斑目の師弟関係だったか。そうすると、これまでの煙鴉の発言がスッと腑に落ちるのだ。特に、以下の4つ。
「ちゃんとしてもらわなきゃ困るからだよ、お前らには」(6話)
「詰めが甘いな。そんな程度で俺に触んな」(8話)
「ぬるい仕事ばっかしやがって、どいつもこいつも」(8話)
「他の連中の仕事と俺のヤマを一緒にしてるから教えてやったんだよ。俺の仕事はそんなもんじゃないってな」(8話)

叱咤することで成長を願っている。とりわけ、斑目と皇子山に対してだ。参議院議員・大久保盛男(上島竜兵)宅での窃盗事件を再調査していると、飾ってある写真に2本の綿棒が刺さっていた。証拠として斑目が綿棒を持ち帰ると、そこには斑目と皇子山のDNAが付着していた。例のバーで煙鴉が採取したものだ。
「ぬるい仕事ばっかしやがって、どいつもこいつも」
煙鴉による、脇の甘い2人への檄か。


今回、ラストシーンで煙鴉は斑目にこう言った。
「本番はこれからだぞ。俺を捕まえてみろ、斑目」
13係が成長し、煙鴉を捕まえるために必死になれば、自ずと真実にたどり着く。煙鴉への疑いは晴れ、上層部の不正は暴かれ、皇子山の私怨は消える。

敵同士の関係性になったと思いきや、本当の意味で裏では助け合っていた。やはり、斑目と煙鴉はバディだ。
(寺西ジャジューカ)

『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』
原作:福田秀「ドロ刑」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
脚本:林宏司
主題歌:Sexy Zone e「カラクリだらけのテンダネス」(ポニーキャニオン)
音楽:木村秀彬
演出:大谷太郎、中島悟、高橋朋広
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:能勢荘志、次屋尚、関川友理
制作協力:The icon
製作著作:日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中
編集部おすすめ