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本日、SUMMER SONICのヘッドライナー第1弾にレッド・ホット・チリ・ペッパーズの出演が発表された。「仕事も学校もそっちのけで音楽ニュースをチェックするぞ!」という人も少なくないだろう。
17日、18日も引き続き発表されるので、続報を楽しみにしていたい。
サマソニは今年で20周年、例年から1日延長した3日間での開催が決定している。しかも、来年2020年は東京オリンピックが開催されるため中止になるということで、「今年注目するしかないフェス No.1」の座を欲しいままにしているが、それに合わせてヘッドライナーの発表も予想通りの大盛り上がりを見せている。
まだまだ先ではあるが、2019年もこのままいけば、例年通りアツい夏フェスシーズンを迎えられそうだ。というわけで、少し気は早いものの、音楽を数字で見ていく本連載、今回はサマソニのヘッドライナーでも眺めつつ、ずばり「フェス」をテーマに調べてみたい。
フェスのなかでも、今回は特に「フェスの参加者は、Instagramにどういう写真をアップしがちなのか」問題を調べようと思っている。ビールを片手に持った写真、フェスロゴの前でジャンプしている写真、ストラップを巻いた左手の写真……たくさんの参加者がフェスで撮影する写真は、十人十色のように見えて、実は似ている写真も多い(というかかなり似ている)。そういう「フェス写真あるある」を解き明かすというのが、今回の記事の趣旨である。
「ロッキン」「サマソニ」国内の主要フェス6個を対象に調査
今回対象にしたのは国内の主要ロックフェス計6個、ひとつのフェスにつき写真は各50枚・計300枚である。
・COUNTDOWN JAPAN(#cdj1819)
・FUJI ROCK FESTIVAL(#fujirock2018)
・Rising Sun Rock Festival(#rsr2018)
・ROCK IN JAPAN FESTIVAL(#rijf2018)
・SUMMER SONIC( #summersonic2018)
・VIVA LA ROCK(#vivalarock2018)
今回、Instagramで該当のハッシュタグをつけている最新投稿から順に選び、フェスに関係ない投稿を除いた、会場内で撮影された写真のみ抽出している。また、複数写真を投稿している場合は原則1枚目のみ対象とし、複数の写真をコラージュして作ってある画像はテーマ性があるもの(自撮りだけで作られたコラージュ・フェスの装飾写真だけで作られたコラージュなど)のみ対象とした。
さっそく結果を見よう。まず「Instagramにアップされているフェス写真のうち、何%が自撮りの写真なのか」を調べてみたのが以下である。

Instagramにアップされているフェス写真のうち、何%が「自撮り」なのか?(C)エキサイトミュージック
・モノや風景 61.3%
・自撮り 23.3%
・アーティスト 15.3%
意外というべきなのか、自撮り(正確には他人に撮ってもらった参加者の集合写真も含む)は全体の5分の1程度と、やや低めの数字に落ち着いている。SNSに投稿されるフェス写真の大半は、自撮りではなくフェスの会場のモノや風景の写真のようだ。
逆に、この結果で自撮り以上に議論を呼びそうなのが「アーティスト」の写真だろう。フェスの多くは、ライブ中のアーティストの写真撮影を禁止している。が、それでもやはりSNSにアップされているアーティストの写真は多く、フェス写真全体の約15%にものぼっている。
個人的には、ルールはルールとして守るべきだとは思うものの、これだけスマホが普及したなかで「ステージ撮影は完全禁止」というのは時代に合ってない感も否めないのだが、「二次利用が不安」「ライブに集中して欲しい」という運営・アーティスト側の考えも理解はできるし、ここは人それぞれ意見が分かれるところだとも思うので、この数字が「ライブでのアーティスト撮影問題」のなんらかの参考になれば幸いだ。
自撮り率が最も高いフェスは「フジロック」
少し話が重くなったが、続いては「ジャンル別のフェス写真ランキング」を見てみよう。SNSに挙がっているフェス写真を「どこで撮っているか」「何を撮っているか」で分類して主なものをランキングにしてみたのが以下である。

Instagramにアップされているフェス写真で勝手にランキング作ってみた編(C)エキサイトミュージック
・自撮り率が一番高いフェス
FUJI ROCK(36.0%) 次点:ROCK IN JAPAN
・会場に置かれた「フェスロゴ」オブジェで撮影してる率が一番高いフェス
COUNTDOWN JAPAN(58.0%) 次点:VIVA LA ROCK
・フェス飯やビールの写真が一番多いフェス
Risin Sun Rock(10.0%) 次点:ROCK IN JAPAN
・アーティスト写真が一番多いフェス
SUMMER SONIC(38.0%) 次点:FUJI ROCK
自撮り率がもっとも高かったのは、元祖・夏フェスの代名詞であるFUJI ROCK。フェスの環境が飛びぬけて過酷なだけに「装備をそろえて大人数で参加!」という形が多いらしく、参加者全員での(すごく楽しそうな)集合写真が非常に多かったフェスである。
また、フェスの会場に置かれる「フェスロゴ」オブジェが人気だったのは、圧倒的にCOUNTDOWN JAPANである。過半数がフェスのロゴを撮影しており、まさに「今からカウントダウンするぞー!」感のある写真がたくさんアップされており、行けなかった身としては大変羨ましい限りであった。
さらに、もっとも「フェス飯」の写真がアップされていたのは、北海道で開催されているRising Sun Rockである。
北海道という土地柄、とにかくご飯がおいしいというのもあると思うが、Rising Sun Rockの写真を調べ始めた途端、にわかにご飯の写真が増えて「さすがRising Sun Rock……!」と変な方向に感心してしまった。フェスの特徴が現れているいい例だと言えると思う。
また、前述した「ライブ中のアーティスト写真」が最も多かったのは、ぶっちぎりでSUMMER SONICである。これはSUMMER SONICが洋楽アーティストを中心としたフェスで、かつ洋楽アーティストはライブ中にスマホ撮影可のことが多いので、その流れを汲んでのことだと思われる(付け加えておくと、サマソニ公式は「撮影禁止」をうたっているので、必ずしも皆撮っているから撮っていいわけではない)。
インスタから学ぶ フェスごとの一番人気の撮影方法
それでは最後に、それぞれのフェスごとの「一番人気のフェスの写真」を見てみよう。

~Instagramから学ぶ~それぞれのフェスの一番人気の撮影方法は?(C)エキサイトミュージック
<それぞれのフェスの一番人気の撮影方法>
・COUNTDOWN JAPAN:会場に置かれた「フェスロゴ」オブジェ
・FUJI ROCK:フェス会場での集合写真
・Rising Sun Rock:フェス会場の装飾や、空などの景色
・ROCK IN JAPAN:会場に置かれた「フェスロゴ」オブジェ / フェス会場の装飾や、空などの景色
・SUMMER SONIC:ライブ中のアーティストの写真 ※公式での撮影禁止
・VIVA LA ROCK:会場に置かれた「フェスロゴ」看板
FUJI ROCKやRising Sun Rock、ROCK IN JAPANのような野外フェスは「会場の写真」、それ以外の屋内型フェスは「オブジェやステージの写真」が人気のようだ。それぞれのフェスの特徴がなんとなく現れているこちらの表、ぜひ今年のフェスに行く際の写真撮影の参考にしてもらえれば嬉しいと思う(繰り返すが、現状のSUMMER SONICは公式がアーティスト撮影を禁止している! いつの日か撮影解禁になる日を待とう!)。
まだまだ寒い日が続くが、夏フェスもきっとすぐそこである(と思いたい)。今年の夏は何をするか、ぜひ今から計画を練りに練って、ぜひ楽しいフェスライフを過ごして欲しい。
■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。
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