咲田「お店って、何屋さんですか?」
ミスジ「デリヘル」
1月11日(金)深夜にスタートしたドラマ24フルーツ宅配便』(テレビ東京)。
東京で就職したものの会社が倒産してしまった咲田(濱田岳)は、再就職のあてもなく田舎に帰ってきた。

原作は鈴木良雄の描く同名漫画だ。雑誌『ビックコミックオリジナル』(小学館)で連載中だ。ドラマの監督は、映画『孤狼の血』で第43回報知映画賞の「作品賞・邦画」を受賞した白石和彌が務める。
DVから逃げても、また暴力を受ける風俗嬢・ゆず
ミスジの思いつきで、デリバリーヘルス「フルーツ宅配便」で働くことになった咲田。まずは、事務所兼女の子の待機所に案内される。
事務所にいたのは、初対面の咲田に食べかけのおにぎりを渡してくるなど、行動が読めない送迎係のマサカネ(荒川良々)。事務や女の子への講習を担当しているみず子(原
扶貴子)。そして、フルーツ宅配便で働く女の子たち、ミカン(徳永えり)、イチゴ(山下リオ)、レモン(北原里英)だった。
ある日、額から頬にかけてアザのあるゆず(内山理名)が面接を申し込んできた。幼い娘・律子(浅田芭路)と二人暮らしのシングルマザーだ。ミスジはゆずを採用したが、ゆずは初めてついた客に「チェンジ」されてしまった。
二度目についた客は、ゆずの頭にタオルを巻き顔半分を隠した。
客「これでいいかあ。チェンジしないであげるから、サービスしてね」
ゆず「……サービスって?」
客「本番に決まってるでしょ。ちゃんと金払うから」
ゆず「お店から禁止されてるのでそれは……」
客「はあ? 本番もできねえで、そんな顔で客取れると思ってんの? 風俗も接客業ですよお〜!?」
ゆずの顔のアザは、夫からのDV(ドメスティックバイオレンス)で、寝ている間にアイロンを顔に押しつけられたせいでできたものだ。夫は逮捕され離婚したが、ゆずの名義で借金を作っていて、その返済のためにデリヘルで働いている。心身への暴力から逃げ出しても、逃げた先でまた心身への暴力が待っている。
白石和彌が描く「日常を逸脱しない風俗嬢」
監督の白石和彌は、デビュー作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』や日活ロマンポルノ『牝猫たち』などで、過去にも風俗嬢を描いてきた。『フルーツ宅配便』の登場人物は、悲劇的な状況でも「日常」から逸脱しない。
「ゆず」の物語は原作に沿いつつもエピソードが加筆されている。原作でのゆずは、本番強要客に遭ったあとに行方がわからなくなる。ドラマでは、その後も本番をすることで金を稼ぎ、咲田に保証人になってと頼む。
ゆずと律子の生活を咲田は見る。
ラスト。
咲田は、最初は嫌がったマサカネのおにぎりを食べる。それは、彼らと同じ食べ物を食べ、同じ場所で、日常で生きていってみようというように。
1話完結型の本作。次回は、借金を抱えていることを母親に言えないモモ(成海璃子)と、整形をしたいスイカ(うらじぬの)が登場する。
(むらたえりか)
▼配信サイト
・ひかりTV(テレビ東京オンデマンド)
・TVer
ドラマ24『フルーツ宅配便』(テレビ東京)
毎週金曜 深夜0時12分から放送
出演 濱田岳、仲里依紗、前野朋哉、徳永えり、山下リオ、北原里英、原扶貴子、荒川良々松尾スズキ、ほか
原作 鈴木良雄『フルーツ宅配便』(小学館・ビッグコミックス)
脚本 根本ノンジ
監督 白石和彌、沖田修一、是安祐
楽曲制作 高田漣
主題歌 EGO-WRAPPIN’「裸足の果実」(NOFRAMES / TOY’S FACTORY)
エンディングテーマ 超特急「ソレイユ」(SDR)
チーフプロデューサー 浅野太(テレビ東京)
プロデューサー 濱谷晃一(テレビ東京)、木下真梨子(テレビ東京)、赤城聡(フラミンゴ)、押田興将(オフィス・シロウズ)
制作 テレビ東京 オフィス・シロウズ
製作著作 「フルーツ宅配便」製作委員会