
H!dE/1月23日に1stアルバム『STORIES』をリリース
見ると恋が叶うとYouTubeを中心に話題になり、再生回数が630万回を超えた「Pinky Ring」。そのH!dEがシンガーソングライターとしての次なる展開を予感させるアルバム『STORIES』をリリースした。H!dEらしさ満載の切ないラブソングはもちろん、ライブでの盛り上がりが目に浮かぶアッパーチューン、コミカルな男心を描いたポップソング……など全11曲を収録。新しいH!dEがめいっぱい詰め込まれた初のオリジナルアルバムだ。
(取材・文/前原雅子)
新しいH!dEということを頭に置いて制作
────ミニアルバムやベストアルバムはありましたけど、オリジナルアルバムは初めてになるんですね。
H!dE:そうなんです。ベストアルバム『うたものがたりコレクション』に新曲を2曲ほど入れたんですけど、全部新しいオリジナル曲でっていうのは初めてですね。
──初のオリジナルアルバム制作はどうでした?
H!dE:これまでは1曲ずつ完成させて配信なり、ミニアルバムなりの形でリリースしていて。しかも“うたものがたり”シリーズというもののなかで作っていたので、テーマによっては繋がった何曲かで一つのストーリーを表現することもあったし、脚本を考えて曲を作っていくようなことも多かったんですね。だけど今回は曲ごとに違うテーマの曲を11曲完成させないといけなかったので、作り方もだいぶ違いましたね。曲調にしても全体のバランスを見ながら、この1曲をどうするか考えていきましたし。
──制作に入る前にアルバム全体のビジョンなども考えて。
H!dE:新しいH!dEということを頭に置いていました。もちろん今までのH!dEらしさも大事にしながらですけど、自分のなかからは出てこない言葉やメロディーやサウンドを探していきたかったというか。
──それで今回はいろんな作家の方と一緒に曲を作ることにしたのでしょうか。
H!dE:そうです。自分で「H!dEはこういうものだ」みたいに固執すると、結局は今までの世界観の作品になってしまうと思ったので。他の方から見たH!dEと自分が思うH!dEにズレがあるなら、そのズレとどう歩み寄るのか、そこにも興味があったんですよね。いろんな作家さんと話し合いながら共作することで、何か新しいものが作れないかなって。実際、今までだったら使わなかった言葉を受け入れられたりして、僕にとってはすごい新しいチャレンジになりました。
──どなたと共作するか、あらかじめ決めていたのですか。
H!dE:全体をプロデュースしてもらった浅田(祐介)さんと相談しながら曲ごとに考えていきました。浅田さんと一緒に作った「最後のキス」「星の相合傘」に関しては、どういうサウンドにするかを先に話し合って決めてから浅田さんにトラックだったりメロディーを起こしてもらって。それに合うテーマや歌詞を考えていった感じですけど、それ以外の曲はこれまでなかったコード進行を先に考えて、そこに僕がメロディーをつけていくことが多かったです。

──これまで自分で楽曲を作る時は、メロディーとコードが一緒に出てくる感じだったんですか。
H!dE:今までは基本、鼻歌メインというか。鼻歌で歌詞とメロディーをどんどん出して簡単なコードをつけて、それをアレンジャーに渡すっていうことが多かったですね。切ない感じでとか、だいたいの雰囲気を伝えながら。
──そういう、いつもと逆の順番による曲作りは新鮮でした?
H!dE:新鮮でした。ちょっと違う感じで作ってみようと思っても、鼻歌で作り始めたりすると、よく使うコード進行の似通ったものになりがちだったので。今回は作り方を変えたことで、これまでになかったコード進行になったり、コードが違うことで今までにないメロディーが出てきたりして。いいチャレンジになったと思いました。
──なかでも「これは今までなかったな」という曲は?
H!dE:メロディーでいうと「忘れ雪」ですね。失恋がテーマのバラードなんですけど、今までだったら言葉を詰めていったり、リフを意識して作ったりすることが多かったと思うんです。でもこの曲はゆったりしたままのバラードとして完成させていて。最初はサビとか、どうなのかな……?って思ったんですけど、自分でも納得する形になったのですごく新鮮な感じがしました。だからなのか、出来上がったものを今聴いても新鮮なんですよね。あとメロディーとは別の話なんですけど、「ハッピーエンド」も今までになかった曲だと思います。
──ちょっとコミカルな曲ですよね。
H!dE:そうなんです。恋愛映画とかのあるあるを書いてみたというか。聴いてクスッと笑えるような面白い、遊び心を入れて作らせてもらった曲で。今までは想いを伝えるとか、誰かの主観に立った恋愛ソングが多かったんですけど、この曲に関しては恋愛ドラマとか映画とかを調べたりしながら、“わかるわかる”みたいな歌詞を書かせてもらいました。
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