2月6日に『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第5話が放送された。今回のテーマは、「外見」。
この縦軸が、そのまま驚きの事実へと繋がっていった。(関連)
北川景子「家売るオンナの逆襲」は外見至上主義を否定しない「化粧した顔も本物なんだ」5話
家売るオンナ DVD-BOX/バップ

ブサイクだから努力した


テーコー不動産に新規客の田部竜司(柄本時生)と婚約者の宮寺奈々(知英)がやって来た。田部の家選びにはこだわりがある。
「住む家は外観が良くないと嫌なんですよ。ガッカリするような外観だと帰る気なくなるじゃないですか。素晴らしい外観だと早く家に帰る気になるしね」

口がよく回る田部の横でしおらしくしている奈々は超美人だ。
「僕ね、東大卒なんです。何で東大に行ったと思います? 美人を妻にするためですよ。僕はこんな外見だから色々と努力しました。自分のスペックを上げるためにね」

「外見を重視する=浅はか」と世のドラマは描きがちだが、今作は違う。田部は冴えない容姿のせいで受けた屈辱をバネに変える努力の人だった。田部が日記代わりに付ける「がんばりノート」に、彼の思いが記されている。
「同期のイケメンに仕事を奪われた。
同じような成果を上げたのに悔しい。でも、僕は負けない。ブサイクでも頑張る。頑張って必ず一番になってみせる」
ブサイクという宿命に逆らい奮闘する田部の姿に、奈々は惹かれていた。

なぜ、田部は美人を妻にしようと躍起になっているのか。
「僕の父と母もブサイクです。僕はね、ブサイクの系譜を僕の代で断ち切りたいんです。そのために美人と結婚して、遺伝子を美形寄りにしたかったんです」(田部)

コンプレックスを糧に頑張った彼の姿勢を間違っているとは思わない。言っている内容にも一理あると思う。“外見至上主義”の考え方も人それぞれの生き方だ。

物件の内見中に浴室のシャワーが誤って作動し、奈々は水浸しになってしまった。化粧の落ちた彼女を見ると、さっきまでの美人とはまるで別人のブスがそこにいた……。


田部 一体どういうことなんだ?
奈々 お化粧……、お化粧してたんです。
田部 化粧でそんなに変わるのか?
奈々 最近はそういうこともできるんです。
田部 目を倍にもできるのか?
奈々 最近はできるんです。
田部 冗談じゃない! ブスを嫁にしては僕の人生設計は崩壊してしまうんだよ! 今までの努力が水の泡だ! 奈々、君の化粧はまるでトリックアートだ。婚約は解消だ。

「いい大学に入る努力」と「綺麗になるため化粧する努力」は同列?


このトラブルを三軒家万智(北川景子)がどのように解決するかが今回の見どころだ。ただ、その前に聞き逃せないセリフが登場していた。

奈々の素顔を見た田部は、庭野聖司(工藤阿須加)に連れられてBAR「ちちんぷいぷい」を訪れた。奈々の素顔を知り「騙された」とくだを巻く田部に、ママの珠城こころ(臼田あさ美)は素朴な疑問をぶつける。
「でも、綺麗に見えるために化粧する努力と、いい大学入っていい会社に就職する努力と、何が違うの?」

三軒家は田部に家を売ると同時に、田部と奈々の復縁を試みた。内見中、室内にウエディングドレスを着た素顔の奈々の映像が流れる。そのパネルをぶち破り、ウエディングドレスを着た化粧美人の奈々が登場!

三軒家は田部に“ギャップ萌え”の魅力を訴えた。
「頭にこびり付いて離れない奈々様の素顔。
でも、その素顔を知っているからこそ、化粧をした奈々様がより美しく見えるのです。表面だけでなく奈々様の真実の姿を知っている。そのことでより深い愛着を持つことができるのです。他人の知らない一面を知っていると思って興奮するのです!」
この理論に田部がコロッと落ちる展開には強引さを感じてしまう。さすがに、安易だと思う。ただ、脚本が伝えたいメッセージは理解できるのだ。

ブサイクの系譜を断ち切るため、美形の遺伝子を欲した田部。でも、化粧をすることで“化ける”ことも可能ではないのか? それを証明しているのが奈々だ。いや、化粧だけじゃない。生まれてきた子どもがブサイクだったとしても、整形手術で取り戻すこともできる。それが今の時代である。
ブサイクに負けず努力した田部に奈々は惹かれた。
ならば、努力で綺麗になる能力を身につけた奈々が愛されてもいいのでは? 「ブサイクだから頑張ってスペックを上げた田部」と「ブスだから化粧の腕を頑張って磨いた奈々」は似た者同士だ。頑張り屋の父と頑張り屋の母の間に生まれる子どもは、頑張る能力を受け継いでいると思う。かけがえのない遺伝子のはずだ。

「偽りじゃない! その顔もまた、本当の奈々なんだ」(田部)

「外見より中身を見るべき」というありきたりな着地点ではなく、「化粧した顔も本物なんだ」を答えに据える流れは素敵だったと思う。人間は、頑張ることで変われる。

三軒家と会うために整形していた


遂に、留守堂謙治(松田翔太)の正体が明らかになった。彼は三軒家の小学生時代のクラスメートだった。

幼い頃、デブで貧乏の留守堂はいじめられっ子だった。そんな彼を気に掛けてくれたのは、クラスの人気者の三軒家。彼女はプールで溺れた自分を助け、人口呼吸してくれた。貧困な自分の家に餃子を届けてくれた。以来、留守堂はずっと三軒家を想い続けた。
高2の頃、ホームレスになった三軒家は「帰る家がほしい」と言った。だから、不動産屋になろうと留守堂は決めた。

三軒家 なぜ、顔を変えたんですか?
留守堂 別人としてあなたに会いたかったから。

三軒家との再会の日に備え、顔を変えたし名前も変えた留守堂。今回のテーマは「外見」である。留守堂が整形をし、体型を変え、別人になった理由は今回で明らかになった。人生を捧げるほどの三軒家への想いが彼を突き動かした。
田部も奈々も留守堂もリンクしている。「思いの大きさで人は変われる」という縦軸で3人は繋がっている。

ただ、解せないことが1つだけある。留守堂はそれ程に想う三軒家となぜ張り合うのだろう? 何しろ、留守堂は今まで二度も三軒家から客を奪っている。好き過ぎて気を引きたかったということ?
三軒家と留守堂は、どうやら今夜放送の第6話で共闘するようだ。

(寺西ジャジューカ)

『家売るオンナの逆襲』
脚本:大石静
主題歌:斉藤和義「アレ」(スピードスターレコーズ)
音楽:得田真裕
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:小田玲奈、柳内久仁子(AXON)
協力プロデューサー:水野葉子
演出:猪股隆一、久保田充 他
制作協力:AXON
製作著作:日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中
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