映画ドラクエ、山崎貴総監督が語るCVに俳優を起用する理由「実写になっても違和感のないキャストを」

映画ドラクエ、山崎貴総監督が語るCVに俳優を起用する理由「実写になっても違和感のないキャストを」

あの日夢中になった“私たちのドラクエ”が、この夏スクリーンに蘇る──。人気RPGシリーズ『ドラゴンクエスト』を題材にした3DCG映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が8月2日、全国の東宝系映画館で公開される。

今回公開となる『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は、1992年に発売された「ドラゴンクエストV 天空の花嫁(以下、ドラクエV)」を原案に、全編3DCGアニメ映画として製作された。主人公キャラクター・リュカを佐藤健、リュカの父親・パパスを山田孝之、そしてストーリーで重要な役割を持つふたりのヒロイン、ビアンカとフローラを有村架純と波瑠といった実力派俳優たちが演じている点も話題だ。

初のフル3DCGアニメーション映画“ドラクエ”には、一体どんな思いが込められているのか。製作総監督の山崎貴氏に聞いた。

文/天谷窓大 編集/日野綾(エキサイトニュース)

「実写のドラクエをつくるとしたら」でキャスティング


映画ドラクエ、山崎貴総監督が語るCVに俳優を起用する理由「実写になっても違和感のないキャストを」

── 実力派俳優たちで固められたキャスティングが注目されていますが、起用のコンセプトは?

山崎貴総監督(以下、山崎監督):実写版映画ドラクエを作るとしたらこの人、というコンセプトでキャスティングを行いました。

なぜ(専門の)声優を使わなかったのか、とよく聞かれるのですが、僕らは役者さんの持つ生身の雰囲気や資質にインスピレーションを受けながら作っていきたかったんです。極端な話、急にアニメではなく実写版映画になったとしても違和感のないキャストで行きたかったんです。

── 今回は先にセリフを録音し、そこに映像を当てはめていく「プレスコ」という手法で製作されたと伺いました。
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山崎監督:僕らが作ったものに後からセリフを吹き込んでもらうのではなく、まず役者さんたちにベースの“お芝居”を作ってもらい、それを僕らが記録させてもらう形で作っていこうと思ったんです。

特に会話シーンは、すべてリアルな掛け合いで録りたかった。なので、シーンごとに登場キャスト全員が集まって収録するという手法をとりました。ほとんど実写映画の撮り方ですね。1から10まで僕らが管理した世界を作り上げるのではなく、俳優陣の演技をいかに殺さずCGに落とし込んでいくかというのが大きなテーマでした。

山田孝之くんに登場してもらうことは最初から考えていた


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── 主人公・リュカ役を務めた佐藤健さんの印象は?

山崎監督:すごい勘のいい人だな、と。3DCG作品におけるセリフのトーンって、難しいんですよ。実写の演技よりも声によって情報量を多くしていかなきゃいけない。かといって一般のアニメーション作品くらいに情報を乗せてしまうと過剰になってしまう。僕の見た限り、佐藤くんはそのあたりのさじ加減をスッと短時間で体得していたように思います。僕らが求める演技をシナリオから察知して次々と繰り出してきたり、とてもクレバーな印象を受けました。何より彼自身がすごいゲーマーで、ドラゴンクエストに対する思いが半端なかったんですよね。まずやってみてほしい、とお願いして見せてもらった演技がすごく良くて、もうこれで行こう、となりました。

役者さんには2通りのタイプがいて、こちら側で細かく演出する必要のある人と、その人の存在感そのものでシーンが成立する人がいます。佐藤くんはまぎれもなく後者でしたね。

──ドラクエシリーズのCMに登場したり、“ドラクエのパロディ”ともいえるテレビドラマ『勇者ヨシヒコ』(テレビ東京系)では主演を務める山田孝之さんがリュカの父親・パパス役を務めている点も興味深いです。何かこれらとの関連はあるのでしょうか?

山崎監督:山田くんに登場してもらうことは、最初から前提として考えていました。山田くんにはキャストとしていてもらいたいんだよね、作品のどっかにいてほしいよね、と(笑)。彼の役者さんとしての技量はものすごいし、何よりドラクエ好きが集まったキャスト陣のなかでも、とびきりドラクエを愛している“代表”みたいな人にいてもらえたらいいな、という気持ちが大きかったです。
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『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』はリュカとパパスの父子から始まる家族3代の物語でもあります。山田くんにはその根本となる役をやってもらおうという話になりました。彼も歳を重ねて“パパス=父親的”な風格が出てきていて(笑)。その感じが素晴らしかったですね。

──今作でストーリーの大きな分かれ道となるふたりのヒロイン、ビアンカ役とフローラ役に有村架純さんと波瑠さんがキャスティングされた経緯は?

山崎監督:今作の原案となった『ドラクエV』でも、『どちらをお嫁さんに選ぶか?』がストーリー展開の大きなポイントでした。なので今回のキャスティングも『(観客の方に)どれだけ迷ってもらえるか』という基準で行いました。実際、有村さんと波瑠さんがいて『どっちをお嫁さんにする?』と聞かれたら、すごく迷いませんか?(笑)
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ビアンカは気が強いけれど優しさを持っている。一方、フローラはお嬢様風の優しい雰囲気だけど、芯の強さがある。有村さんも姉御的な雰囲気がありつつ凄く優しさを持っている感じがするし、波瑠さんもお嬢様的な雰囲気がありつつ芯の強い感じがする。そんな本人たちの資質とキャラクターの持つ性格を合わせてみたかったというのがありますね。
映画ドラクエ、山崎貴総監督が語るCVに俳優を起用する理由「実写になっても違和感のないキャストを」

「派生物」ではなく、あくまで独立した作品として


── 当初は総監督就任のオファーを断られていたと伺いました。

山崎監督:最初は普通にオファーを断っていました(笑)。そもそも、ゲームを映画化するということに反対だったんです。何十時間もかけて、キャラクターと一緒に思い出を紡いでいくというゲームの世界観を2時間弱の映画で表現しようとしても、所詮ゲームの“派生品”や“副読本”のようになってしまうではないか、と。

でも、何度断ってもオファーしてくるんです。プロデューサーが(苦笑)。やらないぞと思っていたのに、いつのまにか『こういうやりかたがあるんじゃないか』とあれこれ考えている自分がいたんですよね。考えが固まるまで非常に長い時間がかかりましたが、あるとき(映画を)あくまで独立した作品として楽しめるアイデアが浮かんで。『これならいけるかもしれない』と、オファーを受けることにしました。
映画ドラクエ、山崎貴総監督が語るCVに俳優を起用する理由「実写になっても違和感のないキャストを」

── 山崎監督にとって「ドラゴンクエスト」はどんな存在ですか?

山崎監督:“夏休み”というイメージがすごくあるんですよね。『ドラゴンクエスト』って。夏休みに思わずはまってしまって、朝までプレイしちゃう感じというか。

今回、製作にあたって、多くの「ドラクエ」ファンに話を聞いたんですが、みんな「ドラクエ」の話になると目を輝やかせるんですよ。もはや「ドラクエ」はゲームという枠を超えた、みんなにとって何か大きな存在なんだなと。昔はよく『ゲームばかりやっていると……』なんてネガティブに捉えられていたものですが、今はもう、そういう時代ではないんだ、と強く感じました。
映画ドラクエ、山崎貴総監督が語るCVに俳優を起用する理由「実写になっても違和感のないキャストを」

── 若い世代には「ドラクエ」を知らないという方もいるかと思います。そうした方たちはどのように作品を楽しんでもらいたいですか?

山崎監督:実は僕自身、ライトな「ドラクエ」ユーザーなんですよ。この作品はどちらかといえば、「ドラクエ」にハマっている人たちのストーリーや思いに僕が感化されることで作り上げられた部分が大きいです。

「ドラクエ」の世界への入口はいくつあってもいいと思います。むしろ知らない人こそ、この世界に入ってきてほしい。ゲーム経験のない人たちも、この映画をきっかけにその魅力に目覚めてくれたら嬉しいですね。

作品情報


映画ドラクエ、山崎貴総監督が語るCVに俳優を起用する理由「実写になっても違和感のないキャストを」

映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
2019年8月2日(金)公開
原作・監修:堀井雄二
音楽:すぎやまこういち
総監督・脚本:山崎貴
監督:八木竜一 花房真
キャスト:佐藤健 有村架純 波瑠 坂口健太郎 山田孝之
制作:2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会
配給:東宝
公式サイト:https://dq-movie.com/
(C)2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会
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■ストーリー
少年リュカは父パパスと旅を続けていた。その目的は、ゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母を取り戻すこと。旅の道中、遂にゲマと遭遇し、魔物たちと激 しい戦いを繰り広げるパパス。しかし一瞬のスキをつかれ、リュカが人質にとられてしまい、手出しができなくなったパパスは、リュカの目の前で無念の死を遂げる――。

それから10年。故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」というパパスの日記を発見する。父の遺志を受け継ぎ、リュカは再び冒険の旅にでることに。立ちはだかるいくつもの試練、そしてビアンカとフローラ、2人の女性をめぐる究極の選択。果たして冒険の先に待ち受けるものとは!?

伝説の物語が、こんどは世界を変える。

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