そんな中、一風変わったサウナドラマが8月25日からスタートした。
主演は「おっさんずラブ」の武川政宗役で大ブレイクした眞島秀和。NHKの土曜ドラマ「サギデカ」にも準主役で登場している。いまや女性にすさまじい人気の眞島秀和が、毎回! 全裸で! 登場するのが「サウナーマン」である。

眞島秀和 PHOTO BOOK 『 MH 』/ ワニブックス
「サウナーマン」はサウナ版「深夜食堂」?
オフィシャルサイトには「サウナの中では、外見も。地位も。名誉も。関係なし」「10年間涙を流していないヨシトモ(眞島秀和)がサウナにやってくる様々な客たちの熱い人間模様を通じて心を取り戻していく人情ドラマ短編集!」と書かれている。
放送開始前、誰かが「『サ道』が『孤独のグルメ』なら、『サウナーマン』は『深夜食堂』みたいになるのでは?」と書いていた。なるほど、言い得て妙だ。「孤独のグルメ」と「サ道」は、主人公がひたすら食事・サウナを堪能することに注力していたが、「サウナーマン」は「深夜食堂」のようなハートフルな人情ドラマを見せてくれるのだろう。
だが、実際に放送されたドラマのテイストは、なんとも不思議なものだった。
冒頭、「泪湯」という銭湯に向かう主人公のヨシトモ(眞島秀和)が映し出される。音楽もいきなり黒衣が出てきてヨシトモの衣服を剥ぎ取る演出も非常にポップだ。
サウナの中には、汗を流しながら涙を流す常連客の男・南野シューイチ(山中崇)がいた。南野の身の上話を無表情で聞くヨシトモ。南野が指差した先には「汗と一緒に涙も流そう」という額縁が飾られていた。
なるほど、本場フィンランドのサウナは神聖な教会に見立てられることがある。サウナに集う男たちが、汗と涙を流したりしながら心を解放するドラマなのかもしれない
南野が紹介する常連客は、イケメンなのに振られてばかりいる諸星愛海(七瀬公)、ギャンブル狂でバツイチの刑事・佐藤(仁科貴)、モヒカンをやめようか悩んでいる大学生・稔(北川尚弥)。ん? モヒカン?
「ここは、すべてを落としきっていい場所なんだ。愚痴、弱音、大歓迎」
南野はつぶやくように言うが、ヨシトモは微動だにしない。彼は10年間、涙を流していない感情を失くした男だったのだ。
笑顔の常連客たちがヨシトモに握手を求めるが、絶対に触れられたくないヨシトモは華麗なステップで握手攻勢をスローモーションでかわし続ける。全員全裸で。これで「第1汗」は終わり。
「サウナーマン」は短いエピソード3つによって構成されている30分ドラマだが、「第2汗」も「第3汗」も涙どころかイイ話感が微塵もない! どこが「深夜食堂」だよ!(制作者サイドはそんなこと言ってない) チラチラと写る股間をモザイクで隠していたりするあたりも、真面目なのか不真面目なのかわからない。
第1話を見る限り、「サウナーマン」は「人情ドラマ」の形式を借りたシュールなショートコント集のように見える。とはいえ、主演の眞島は「登場人物の人間ドラマにスポットを当てたハートフルコメディー」と聞かされている模様。はたして、ここからどんなドラマが紡がれていくのだろうか? ヨシトモはどんなことで涙を流すのだろうか?
第2話では、眞島秀和の裸体のアップからスタート(妙に乳首が印象に残る)。さらに今後は、猪塚健太、小澤亮太、佐伯大地(「ノーサイドゲーム」でサイク>ロンズのエース役の彼)、小南光司ら2.5次元系舞台の人気者が大量出演する。もちろん、全員全裸だろう。ファンなら必見である。
個人的には、レギュラーの山中崇がサウナの中でずっと金属のネックレスをしていたのが気になった。そんなのつけてたらヤケドするよ! ひょっとしたら、あそこはサウナではなかった……というオチがあったりするのだろうか? (2話公開中)
(大山くまお)