「ううん、そうやって男の子がだんだんムキになっていく顔が好きなだけ。ふふ」
土曜ドラマ 『俺の話は長い』（日本テレビ系）は、家族の会話劇だ。
11月9日（土）放送の第5話では、三枝明日香（倉科カナ）が初めて登場した。満が通う「Bar クラッチ」のオーナーで、バーテンダーの海星（杉野遥亮）を通して満に飼い犬の散歩を依頼していた女性だ。
満が落ち込んでいる女性を気遣う回だった。
前半の「其の九 銀杏と爪切り」では、姉の綾子（小池栄子）が落ち込んでしまう。娘・春海（清原果耶）の好きな男の子・陸（水沢林太郎）の連絡先を、夫の光司（安田顕）が知っていた。夜に突然電話できちゃうくらい光司と陸が親しく連絡を取り合っていたことを、綾子（と、房枝（原田美枝子））だけが知らなかった。綾子はショックを受ける。
夕ご飯中に黙り込んでしまうくらいショックを受けていた綾子。普段、満や光司、春海に負けじと言い返している様子からの落差。綾子は、どこかで「自分が一番春海のことを知っている、わかっている」と思っていたんだなあ。そんな驕りが、恥ずかしくもあったのかもしれない。
満「姉ちゃんもそういう立場になったってことだよ」
綾子「立場？」
満「小さい頃は、自分が親を欺く立場の人間だっただろ」
綾子「いや、欺いたことなんかないし」
満「いや、何言ってんの？ 俺、何回協力させられたと思ってんの？ 姉ちゃんに」
綾子「全然覚えてない」
満は、綾子が初めてのデートのときに、「満と映画を見に行く」と父に嘘を吐いたことを持ち出す。デートが終わるまで満を待たせ、帰り道に映画の内容を吹き込んだ。反論があるかと思いきや、綾子は「酷い話だねえ〜」と言う。
そのときに見た（満は見ていない）映画の名前と主役の俳優が思い出せない。
満「ほら、あの人が出てるやつじゃん」
綾子「そう、あの有名な男の人ね」
満「ああ〜、顔はもう出てる」
「あの有名な男の人」って広すぎるだろ！ とツッコまずに、「顔はもう出てる」と一緒になって宙を見上げる満。そうだよなあ、日常の掛け合いって別にツッコんだりツッコまれたりすることじゃないもんなあ。改めて気づく。
満たち岸辺家、秋葉家の仲直りに「はい、これで仲直り」という区切りはない。満と綾子の会話に「何騒いでんの？」と春海が入ってくる。気まずい顔の綾子。
春海「その映画、なんて映画だったの？」
満「……聞かれてるよー」
綾子「……『フォレスト・ガンプ』」
春海が投げたボールを、途中で満が拾い、綾子にパスしてあげる。区切るのではなくグラデーションで仲直りし、家族は日常の会話に戻っていく。
映画と俳優の名前が思い出せなかったという満たちに「スマホで調べれば良いじゃん」と春海が言う。春海に対する満の反論は、『フォレスト・ガンプ』（1994）の名言「ママがいつも言ってた。『人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないと分からない』って」にかかっているようで、厳密にはそうでもないという感じも良かった（だって、満は見てないからね）。
「その十 シャンパンと合い鍵」では、明日香が登場。犬の散歩だけでなく、満に買い物まで頼む。お駄賃をあげるからと言っていたのに、満が帰ると言い出すと「報酬を渡さない」と言い出す。
明日香「ううん、そうやって男の子がだんだんムキになっていく顔が好きなだけ。ふふ」
白いテロテロの部屋着に、ピンクのガウンを着た明日香。タワマンの高層階であろう広い部屋にひとりで住んでいる。飼い犬の服は三万円、光司のスーツより高い。
明日香「今日、誕生日なの」
満「ええ？ 嘘でしょう」
明日香「免許証見せようか？ ……お願いします、一緒に食べてもらえませんでしょうか」
明日香は、「Bar クラッチ」の他にもいくつも事業を展開しているやり手の経営者。なのに、というべきか、だから、というべきか、人を試すしさみしがりだ。
満のほうは、プライドをもてあそばれて怒りで帰るかと思いきや、「誕生日なの」と言われて一緒にいることを選ぶ。誕生日にひとりでさみしいとか、好きな人や友だちと同じ高校に行きたいとか、そんなこどもっぽいが当たり前の感情を満はバカにしない。それが、誰も満を憎めない理由のひとつなのかもしれない。
満「おやすみなさい。ハッピーバースデー」
綾子に責められて、自分が大切にしていたコーヒーの道具を売り払い、房枝にコーヒーを淹れるという毎朝の日課もやめた満。次回の予告では、満が明日香にコーヒーを淹れているシーンが映っていた。満は過去にヒモだった経験もあるが（満は「同棲してただけ」と言う）、またヒモに戻ろうと思っているのか、それとも明日香との出会いがひとり立ちに繋がるのか。
（むらたえりか）
＝配信サイト＝
hulu：https://www.hulu.jp/orebana
日テレ無料！（TADA）：https://cu.ntv.co.jp/orebana_01-01/
＝番組情報＝
土曜ドラマ 『俺の話は長い』（日本テレビ系）
毎週土曜日よる10時〜
出演：生田斗真、安田顕、小池栄子、清原果耶、杉野遥亮、水沢林太郎、浜谷健司（ハマカーン）、本多力、きなり、西村まさ彦、原田美枝子、ほか
脚本：金子茂樹
音楽：得田真裕
主題歌：関ジャニ∞「友よ」（インフィニティ・レコーズ）
コーヒー指導・監修：篠崎好治
動物指導：ZOO動物プロ
国語指導：藤本裕子
チーフプロデューサー：池田健司
プロデューサー：櫨山裕子、秋元孝之
演出：中島悟 ほか
制作協力：オフィスクレッシェンド
製作著作：日本テレビ
番組公式サイト：https://www.ntv.co.jp/orebana/
土曜ドラマ 『俺の話は長い』（日本テレビ系）は、家族の会話劇だ。
満（生田斗真）たちの掛け合いの軽やかさとテンポの噛み合いの巧みさが、回を追うごとにレベルアップしていた。どこまで上手くなっちゃうの。
11月9日（土）放送の第5話では、三枝明日香（倉科カナ）が初めて登場した。満が通う「Bar クラッチ」のオーナーで、バーテンダーの海星（杉野遥亮）を通して満に飼い犬の散歩を依頼していた女性だ。
家族の仲直りはグラデーション
満が落ち込んでいる女性を気遣う回だった。
前半の「其の九 銀杏と爪切り」では、姉の綾子（小池栄子）が落ち込んでしまう。娘・春海（清原果耶）の好きな男の子・陸（水沢林太郎）の連絡先を、夫の光司（安田顕）が知っていた。夜に突然電話できちゃうくらい光司と陸が親しく連絡を取り合っていたことを、綾子（と、房枝（原田美枝子））だけが知らなかった。綾子はショックを受ける。
夕ご飯中に黙り込んでしまうくらいショックを受けていた綾子。普段、満や光司、春海に負けじと言い返している様子からの落差。綾子は、どこかで「自分が一番春海のことを知っている、わかっている」と思っていたんだなあ。そんな驕りが、恥ずかしくもあったのかもしれない。
満「姉ちゃんもそういう立場になったってことだよ」
綾子「立場？」
満「小さい頃は、自分が親を欺く立場の人間だっただろ」
綾子「いや、欺いたことなんかないし」
満「いや、何言ってんの？ 俺、何回協力させられたと思ってんの？ 姉ちゃんに」
綾子「全然覚えてない」
満は、綾子が初めてのデートのときに、「満と映画を見に行く」と父に嘘を吐いたことを持ち出す。デートが終わるまで満を待たせ、帰り道に映画の内容を吹き込んだ。反論があるかと思いきや、綾子は「酷い話だねえ〜」と言う。
そのときに見た（満は見ていない）映画の名前と主役の俳優が思い出せない。
満「ほら、あの人が出てるやつじゃん」
綾子「そう、あの有名な男の人ね」
満「ああ〜、顔はもう出てる」
「あの有名な男の人」って広すぎるだろ！ とツッコまずに、「顔はもう出てる」と一緒になって宙を見上げる満。そうだよなあ、日常の掛け合いって別にツッコんだりツッコまれたりすることじゃないもんなあ。改めて気づく。
満たち岸辺家、秋葉家の仲直りに「はい、これで仲直り」という区切りはない。満と綾子の会話に「何騒いでんの？」と春海が入ってくる。気まずい顔の綾子。
春海「その映画、なんて映画だったの？」
満「……聞かれてるよー」
綾子「……『フォレスト・ガンプ』」
春海が投げたボールを、途中で満が拾い、綾子にパスしてあげる。区切るのではなくグラデーションで仲直りし、家族は日常の会話に戻っていく。
映画と俳優の名前が思い出せなかったという満たちに「スマホで調べれば良いじゃん」と春海が言う。春海に対する満の反論は、『フォレスト・ガンプ』（1994）の名言「ママがいつも言ってた。『人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないと分からない』って」にかかっているようで、厳密にはそうでもないという感じも良かった（だって、満は見てないからね）。
イラスト／たけだあや
「おやすみなさい。ハッピーバースデー」
「その十 シャンパンと合い鍵」では、明日香が登場。犬の散歩だけでなく、満に買い物まで頼む。お駄賃をあげるからと言っていたのに、満が帰ると言い出すと「報酬を渡さない」と言い出す。
明日香「ううん、そうやって男の子がだんだんムキになっていく顔が好きなだけ。ふふ」
白いテロテロの部屋着に、ピンクのガウンを着た明日香。タワマンの高層階であろう広い部屋にひとりで住んでいる。飼い犬の服は三万円、光司のスーツより高い。
それで自分のために働いてくれた満を、お金をダシにからかう。書き出すと嫌な女〜という感じがするが、そうは見えないのは笑顔に無邪気さとこどもっぽさが見えるからか。
明日香「今日、誕生日なの」
満「ええ？ 嘘でしょう」
明日香「免許証見せようか？ ……お願いします、一緒に食べてもらえませんでしょうか」
明日香は、「Bar クラッチ」の他にもいくつも事業を展開しているやり手の経営者。なのに、というべきか、だから、というべきか、人を試すしさみしがりだ。
満のほうは、プライドをもてあそばれて怒りで帰るかと思いきや、「誕生日なの」と言われて一緒にいることを選ぶ。誕生日にひとりでさみしいとか、好きな人や友だちと同じ高校に行きたいとか、そんなこどもっぽいが当たり前の感情を満はバカにしない。それが、誰も満を憎めない理由のひとつなのかもしれない。
満「おやすみなさい。ハッピーバースデー」
綾子に責められて、自分が大切にしていたコーヒーの道具を売り払い、房枝にコーヒーを淹れるという毎朝の日課もやめた満。次回の予告では、満が明日香にコーヒーを淹れているシーンが映っていた。満は過去にヒモだった経験もあるが（満は「同棲してただけ」と言う）、またヒモに戻ろうと思っているのか、それとも明日香との出会いがひとり立ちに繋がるのか。
（むらたえりか）
＝配信サイト＝
hulu：https://www.hulu.jp/orebana
日テレ無料！（TADA）：https://cu.ntv.co.jp/orebana_01-01/
＝番組情報＝
土曜ドラマ 『俺の話は長い』（日本テレビ系）
毎週土曜日よる10時〜
出演：生田斗真、安田顕、小池栄子、清原果耶、杉野遥亮、水沢林太郎、浜谷健司（ハマカーン）、本多力、きなり、西村まさ彦、原田美枝子、ほか
脚本：金子茂樹
音楽：得田真裕
主題歌：関ジャニ∞「友よ」（インフィニティ・レコーズ）
コーヒー指導・監修：篠崎好治
動物指導：ZOO動物プロ
国語指導：藤本裕子
チーフプロデューサー：池田健司
プロデューサー：櫨山裕子、秋元孝之
演出：中島悟 ほか
制作協力：オフィスクレッシェンド
製作著作：日本テレビ
番組公式サイト：https://www.ntv.co.jp/orebana/
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