塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

大ヒット中の映画『HiGH&LOW THE WORST』で話題の新キャラクター、小田島有剣。舞台となる鬼邪高と敵対する“殺し屋集団”鳳仙四天王のひとり。坊主がトレードマークの鳳仙にあって金髪ハーフアップという脱力系ヤンキーで、策士だけどどこかセクシーさをまとう彼を演じたのが塩野瑛久だ。

EXILE HIROがプロデュースした2019年春に公開した映画『PRINCE OF LEGEND』では、マジメなメガネ王子・久遠誠一郎を演じた。同じ高校生でありながら真逆のキャラクター。その変身ぶりはまさに、“カメレオン”。注目の若手俳優・塩野瑛久に、そのキャラクター作りの極意を訊いた。

取材・文/坂本ゆかり 撮影/キムラタカヒロ
ヘアメイク/稲越夕貴(株式会社パンチ) スタイリング/高森聖弥(株式会社パンチ)
衣装協力:COMMUSE
編集/田上知枝(エキサイトニュース編集部)


作品のピースの一片として、必要な存在でありたい


塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

――『PRINCE OF LEGEND』の久遠誠一郎と、『HiGH&LOW THE WORST』の小田島有剣……、同じ役者さんが演じているとは思いませんでした。

塩野:それはうれしいですね。小田島は、参謀で頭がいい。そして、金髪……というのは最初からあった設定なのですが、それ以外の脱力した感じなどは僕のアイディアです。『PRINCE OF LEGEND』の久遠誠一郎も頭脳派だったけど、それとはまた違うものにしたかったし、こういうキャラクターがいる方がバランス的におもしろいと思って。鳳仙の頭・上田佐智雄を演じた志尊淳くんにも、「“そう来るか!”ってビックリした」って言われたけど、あの小田島のキャラができたとき、みんなの視線が痛かったんですよ。でも、「関係ねぇや」って(笑)。

塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

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塩野:台本を最初に読んだ段階では、メインはもちろん花岡楓士雄(川村壱馬)、村山良樹(山田裕貴)のいる『HiGH&LOW』の鬼邪高で、『クローズ/THE WORST』の鳳仙は、上田佐智雄(志尊淳)だけがクローズアップされた物語でした。だから鳳仙の俳優チームには、「憧れの鳳仙の制服を着る夢が叶ったのに、何も残せず終われるか」という想いがあったんです。

でも、完成作では鳳仙の印象ってすごく強かったじゃないですか。それは俳優たちが、「埋もれずにいくのはどうしたらいいか」ってことをすごく話し合って、作っていったからなんです。そんな風に僕らが話している様子や熱量を監督も見ていて、『クローズ』へのリスペクトの上に、鳳仙のテーマソングで高架下を歩くという冒頭のカットを作ってくださった。そこで一気に鳳仙の印象が強くなったんだと思います。

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――その中でも小田島というキャラクターは、めちゃくちゃ爪痕を残しましたよね。それは、想定内でしたか?

塩野:想定外……です。試写を見た後、マネージャーに、「この人数だし、けっこう頑張ったつもりだけど、やっぱり限界あるね」って言って帰ったくらい。嬉しい誤算でした。

――ここで何かを残せないと、世に出られないという想いがあった?

塩野:出てくる出てこないも大事なんですけれど、この作品のピースの一片として、必要な存在でありたい。作品を紡ぐ物語の一部として、大きいピースにはなりたいって役者はみんな思っているんですよ。わがままだけど(笑)。

塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

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映像は感覚でできるお芝居で、舞台は計算でできる芝居


――久遠誠一郎と小田島だけでなく、近作だとドラマ『Re:フォロワー』の原田、舞台『里見八犬伝』の犬坂毛野……、同じ役者とは思えないカメレオンぶりです。塩野さん流の役作りの極意みたいなものを伺いたくて。

血の通った人間であるってことは大事にしています。あと僕は、自分の中にないものって出せないタイプなので、役にはどこかに自分と共通する部分があると思います。

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――演じている時は冷静な自分がいるのか、それとも憑依されたように役になりきっているのかは?

塩野:圧倒的に前者ですね。僕は感覚で演じるタイプではないと思います。小田島を演じる前は、とにかく脱力する(笑)。『里見八犬伝』では首が長く見えるように、背筋を伸ばすけど肩を入れて、けれど首が太くならないように肩を落とす……みたいなことを意識して。そうやって計算している部分が大きいです。

これは持論ですけど、映像は感覚でできるお芝居で、舞台は計算でできる芝居だと思っています。でも計算でできるならば、計算で感覚に寄せることもできるはずなんですよ。それには、演技のメソッドも重要で。

例えば、重心を落とせば落とすほど感情が入りやすくなる。丹田(へそ下部分)をグンと落とすと落ち着いた低い声が出て、丹田を上げると、ちょっと作った高い声が出る。舞台で、小さい声なんだけどすごく響く声の人っていますよね。それって喉じゃなくて、丹田の使い方なんです。そういう勉強も、すごく楽しいです。

塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

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――考えて演技をするタイプなんですね。ご自身の演技における課題はありますか?

塩野:「天真爛漫が演じられない」ってことですね。どうしても純粋じゃなくて、裏をかきたくなってしまう。ひねくれているんですよ、たぶん(笑)。だから、そういう役を演じるのは難しくて。

――天邪鬼?

塩野:かなり(笑)。ドラマ『Re:フォロワー』でも西田(大輔)監督の舞台のようなキレイな殺陣に反抗して演じていたら、酸欠で立てなくなって。それで監督に、「お前は考えすぎだ。もっと引き算を覚えろ」って言われたんですけど、「でも役に関しては、最近では珍しいぐらい反抗心があるし、役を愛してるのはすごく伝わる」と言ってもらえたのはうれしかったですね。

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――そんな風に、演出家や監督との関係で印象に残っていることはありますか?

塩野:初主演舞台『純平、考え直せ』(2014年)でヤクザの鉄砲玉役をやった時は、ボケットに手を入れるの禁止、指差すの禁止、腕を前に組むの禁止、相手に触れるの禁止って、全部禁止されたんです。いかにしてそこに、その人物として立っていられるかを試されたというか。舞台に素で立つって難しいんです。つい身振り手振りをしたくなる。それを全部禁止された時に、何がそこに残るか……というのが大事だと気付かされました。

しがみ付いて、続けていくことが大事


塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

――今まで演じてきた役の中で、自分のターニングポイントとなった役は何ですか?

塩野:やっぱり、『HiGH&LOW THE WORST』の小田島じゃないですかね? 

――では、演技が楽しくなった作品は?

塩野:さっき言った初主演舞台『純平、考え直せ』ですね。初日でもなければ千秋楽でもない、中日の昼間のカーテンコールで、嗚咽が止まらなくなったことがあったんです。カーテンコールはスンとして終えようって、変にカッコつけていた時期だったのに、カッコつけていられなくなって。何がそうさせたのか、ぜんぜんわからないですけど(笑)。

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――何かが降りてきた?

塩野:出ずっぱりの舞台だったので、入りこみやすい環境ではありました。やっているうちに何か違う考え方が浮かんで、この役はこの時こう思ってたかもしれないって感情が芽生えて、そこに火がつくと、爆発したみたいになっちゃう……。不思議な体験でした。

――役者になるきっかけって、そもそも何だったんですか?

塩野:成り行きです(笑)。実家がクレープ屋なんですけれど、お客さんが母親に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」への応募を勧めてくれて。最初はイヤだったのですが、「誰にも言わなきゃいいか」って出したら賞をいただいてしまって(笑)。

芸能界への憧れは少しあったけれど、役者になろうという気持ちはなかったんですよね。何か名前を残す存在にはなりたいなとは思っていたけど……。

塩野瑛久「僕は、掴めない人間でいたい」 役により全く別の顔を見せるキャラクター作りの極意

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――今、役者は天職だったと思いますか?

塩野:思いますね。ほかに僕にできる仕事って、ないと思います。好きだし。あのとき勧めてくれたお客さんと母親と、写真を撮ってくれた姉に感謝ですね(笑)。

先輩俳優の木下ほうかさんが、「長く続けていれば、いいことがある」っておっしゃっていたのが印象的で。30歳くらいになると生活を考えて、どんどんライバルが減っていくんですって。そこを乗り越えて頑張っていれば、必ずスポットを浴びる時が来るってことなんだと思うんですけど、「なんて重い言葉だ!」って思いました。僕らの世代の役者ってすごく多いから、しがみ付いて、続けていくことって大事だなと思っています。

社交的ではないけれど、社交的に振る舞うことはできる


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――ここからは、プライベートなお話をうかがっていきましょう。素の塩野さんはどんな人ですか?

塩野:理屈っぽい。

――友達は多いタイプですか?

塩野:(即答)少ないです。いつも決まった人と遊んでいます。社交的ではないけれど、社交的に振る舞うことはできます。

――同業の役者さんとの交友関係は? 『HiGH&LOW THE WORST』では川村壱馬さんに懐かれていたようですが(笑)。

塩野:先月は、壱馬の家に3~4回行きましたね(笑)。しかもほぼ朝まで、ずっとしゃべっていて。先日も、前田公輝くん(『HiGH&LOW THE WORST』の轟洋介役)とゴハンに行く約束をしていたら、壱馬から「明日何してます?」って連絡が来たので、2人で壱馬の家に行ったら志尊くんもいて。4人ですっごい盛り上がりました。

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――豪華! 言える範囲で、どんな話をしたのか教えてください。

塩野:言えない話ばかりです(笑)。あ、でもスゴイなと思ったのは、ちょっと偏見を持って『HiGH&LOW THE WORST』を観ていない役者友だちに、「何が悪かったか教えて」って言って、ある人が『HiGH&LOW THE WORST』のムビチケを自分で買って渡したって話を聞いたんです。それ、カッコよくないですか? 俺もやろうと思いました(笑)。

――川村壱馬さんは、役者さんをやるようになってからTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEでのライブパフォーマンスが変わった気がします。

塩野:影響あると思いますよ。壱馬は貪欲なんですよ、いろんなことに対して。撮影のときは、ずっと役者ばかりの鳳仙チームに入り浸っていたんです。それって、演技に対するアンテナを張っていたってことじゃないですか? お芝居を追求した人とそうじゃない人のパフォーマンスには、差が出ると思います。GENERATIONS from EXILE TRIBEの(佐野)玲於も、良い作品に出ていますが、やっぱり目を惹くんですよね。豊かで、だけど掴めなくて……。(片寄)涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)は、『少年クロニクル』ツアーを見た限り、肩の力が抜けた感じがしたし。アーティストは、ステージでそういうところも見えちゃいますね。

役との違いを知られると、“役を頑張っている人”になっちゃう


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――2019年は、小田島という当たり役にも出会えましたが、どんな年でしたか?

塩野:楽しかったですね。いろんな役ができて、それについてたくさん考えられて。頭を使うのは嫌いじゃないです。いろいろなことに気付けた年でもあるかな。それによって、自分の方向性も少しずつ柔軟に変わっていったけど、芯は変わらない。そういう部分は、かなり見直せた感じがしますね。

――考えるのが好きだから、役者さんだけじゃなくて、作る方もやってみたいんじゃないかなと感じました。

塩野:『Re:フォロワー』で共演している西銘駿にも「やった方がいいですよ、絶対おもしろいですもん」って言われるのですが、果たして僕にさばききれるかな……。でも僕、感覚的なものを言語化して伝えるのは得意なので、役者に伝わるように説明する自信はあるんです。機会があれば、やってみたいですね。

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――2020年はどうしたいですか?

塩野:「カメレオン」って言っていただきましたが、それは僕がまだあまり露出をしてないからで、皆さんに知られたらそう見えなくなっちゃうと思うんです。知名度が上がると、どういう人なのかも知られる。役との違いを知られると、“役を頑張っている人”になっちゃう。それがすごくもどかしいのですが、そこも超越していきたいですね。めちゃくちゃハードルは高いですけど(笑)。

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――自分の色を確立するということですか?

塩野:いや、自分の色を消すこと……かな。でもそのためには、個人に強烈な色がないとダメなんです。いい顔ばっかりしてたら、成し遂げられないと思うんですよ。今は俳優然とした人は煙たがられるから、柔軟な俳優が増えている。それでテレビの人気者になると、ミステリアスな部分がなくなっちゃう。僕は、掴めない人間でいたいですね(笑)。

でもどんなに役者が頑張っても、作品って観てもらわないと完成しないんです。たくさんの人が観るからおもしろさが伝わる。口コミで広がってっていうのが本当に大事だと思います。役者としてはとにかく観ていただいて、おもしろいと思っていただければ、もうこれ以上に幸せなことはないですね。

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(エキサイトニュース編集部)

公演情報


舞台『DECADANCE』―太陽の子―
2020年1月24日(金)~2月1日(土)東京・EX THEATER ROPPONGI
2020年2月8日(土)~2月9日(日)大阪・森ノ宮ピロティホール
詳細:http://disgoonie.jp/decadance/

Profile
塩野瑛久
しおのあきひさ

1995年1月3日生まれ。東京都出身。2011年、「第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」審査員特別賞とAOKI賞をW受賞し、CX / KTV『GTO』の水原僚一役でドラマデビュー。2014年11月上演の舞台『純平、考え直せ』では初の主演を務めた。

来る12月24日には東京・よみうり大手町ホールで、副リーダーを務めているオスカープロモーションの男性エンターテイメント集団「男劇団 青山表参道X」のファンイベントを開催。W主演ドラマ『Re:フォロワー』が(テレビ朝日系 深夜2:30~ほか)放送中。2020年1月からは主演舞台『DECADANCE』―太陽の子―が決定している。


関連サイト
オスカープロモーションによるプロフィールページ@akihisa_shiono

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