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今回紹介するのはネットフリックスにて現在配信中の『将軍様、あなたのために映画を撮ります』である。なんのこっちゃというタイトルだが、北朝鮮に拉致された映画監督とその妻がいかにして現地で映画を撮り、そして脱北したのかを追ったドキュメンタリーだ。
食い詰めた韓国人映画監督、北朝鮮に拉致される!
先代の北朝鮮指導者、金正日が映画マニアだったことはよく知られている。数万本のビデオを個人で所有し、『映画芸術論』という自筆の映画論も執筆。少し昔に日本でも話題になった怪獣映画『プルガサリ』を作らせたのも、金正日だと言われている。北朝鮮最高の特権階級であった彼はその立場を生かして世界各地の映画を見ることができ、さらに自国での映画制作に好きなように口を出せる立場にあった。
『将軍様、あなたのために映画を撮ります』の主人公と言えるのが、シン・サンオクという映画監督と、その妻で元女優のチェ・ユニだ。シンは韓国映画界で活躍し、さらに自身の制作会社も設立した映画監督だったが、スタジオを運営する商売人としての才覚はなかった。結果、シンが運営するスタジオは経営破綻し、いつしか借金まみれになってしまう。
このドキュメンタリーは、まずこのシンが韓国映画界でどのような活躍をし、どのように没落していったのかを、主に妻チェとシンの養子2人の目線から語る構成だ。調子が良かった時はいいけれど、資金に行き詰まってからは自宅に借金取りが押し寄せ、おまけにシンの不倫が発覚して夫婦は離婚。夫と別れたチェの方も金に困るようになったことが、本人たちの口から説明される。
なんでシン・サンオクがプルガサリを監督したことには触れてないの? 知らないの?
金正日本人ってカネ本位の日本人と錯視した。