
『刀剣乱舞』『おそ松さん on STAGE』『NARUTO-ナルト- ~暁の調べ~』『僕のヒーローアカデミア The “Ultra” Stage』など多くの舞台で活躍する俳優・北村諒。2.5次元の作品からオリジナル作品まで、ジャンルを問わないさまざまな役を演じられるのが彼の魅力だ。しかし、読者モデルだった彼が演技の世界に飛び込んだばかりの頃は、「役者をやるなんて思っていなかった」とのこと。そんな彼が芝居に開眼するきっかけになった作品とは――? さらに、舞台経験を積む中で感じた、作品との向き合い方や自分らしさの発見など、北村の役者としての軌跡を追った。
ヘアメイク/AYA(株式会社パンチ/BVC) スタイリング/高森聖弥(株式会社パンチ/BVC)
衣装協力/COS、BUFFALOBOBS
編集/田上知枝(エキサイトニュース編集部)
最初の舞台で、演じることが一気に好きになった

――北村さんがこの仕事を始めるきっかけは何だったんですか?
もともとは読者モデルをやっていて、そこで今の事務所に声を掛けてもらったのが始まりです。
――その時から役者を目指していたんですか?
いや、そういうのはまったくなくて。当時は特別これがしたいっていうのもなく、たまたま機会をいただけたので(事務所に)入ってみようかなって感じでした。当然お芝居の経験もなかったですし、前から目指していたっていうわけでもなかったので、演技レッスンも行きたくなくて……。超サボってました(苦笑)。
――そんな北村さんがお芝居の道を志すようになったのには、何があったのでしょう。
レッスンに行かなすぎるのを見かねた当時のマネージャーさんが、「レッスンに行かないなら、現場で学んでこい」ということで舞台の仕事を入れてくれたんです。正直なところ、最初は稽古も行きたくなかったんですけど(苦笑)、でも、その本番の舞台に立ったらすごく楽しくて。



――舞台というのは『闇の皇太子』(2012年)ですね。どんなところに魅力を感じたんですか?
共演者の方やお客さんたちと一緒の空間を作っている感じとか、お客さんの反応とか。お芝居ってこういうことなんだ! っていうのを初めて肌で感じられて、演じることが一気に好きになりました。
――実際、2012年10月に『闇の皇太子』が上演された直後、11月には再び『眠れぬ町の王子様~prince of the sleepless town~』という舞台に出演されていますね。
両作とも同じ演出家の方(加藤真紀子氏)だったんです。それも相まって、1作目の本番を経て2作目の稽古に入ったら、今度は稽古の時から楽しくて。わからないなりにいろいろ試したり、それを演出家さんに褒めてもらえたり。これでいいんだっていう手応えを感じたりしましたね。

――役者の道に進もうっていうのも思いました?
その時はまだ、一生やっていこうとは思っていなかったような気がします。ただただ楽しいとか、今いただけている仕事を一生懸命やろうとか、そんな感じでしたね。

自分の中で100%作り込まず、稽古場で臨機応変に対応できるように

――その後いろいろな舞台作品に出演していきますが、北村さんの中でターニングポイントになった作品とは?
自分の中で2つあって、一つは『弱虫ペダル』(2014年)という作品に出会ったこと。もう一つは『RE-INCARNATION RE-VIVAL -』(2014年)って作品で西田大輔さんといった先輩方と出会えたことが大きかったです。
――それぞれの作品でどんなことを感じましたか?
『弱虫ペダル』ではたくさんの同世代の人たちとご一緒させていただいて。そこでお芝居というものに本気で戦っている皆さんの姿を目の当たりにして、自分はこのままじゃダメだなって思わされたんです。とにかくがむしゃらに、必死にやって、認めてもらえるようになりたいと強く思いました。その後の『RE-INCARNATION RE-VIVAL -』では、西田さんをはじめとするいろんな先輩方とご一緒させていただいたことで、役者とはなんぞやっていうのを肌で感じたというか。さまざまな経験をして、命をかけてお芝居をしている姿がカッコよかったですし、そういう先輩方の中で揉まれたっていうのはありましたね。
――そこから自分の中で変化したことはありましたか?
それまで自分のことしか考えられていなかったのが、作品全体を見られるようになったというか、作品をより面白くするにはどうしたらいいかってことに意識が向くようになりました。

――作品をより面白くするためには、台本に書かれていない部分まで考えを巡らすってことでもありますよね。いつも台本を手にした時に行うことってどんなことですか?
それは原作があるものとないものとで変わってきて、やっぱり2.5次元と呼ばれる作品の場合は、原作があるので、まずはそれを読み込んだりします。でも、どんな作品でも一番大事にしているのは、稽古場の雰囲気や役者同士の掛け合いの空気感ですね。実際に会話しないとわからない部分もあると思うので。最終的な調整は稽古場で、相手の芝居に合わせていきたいなって思うんですよ。なので、台本をもらって台詞を覚えながらも、自分の中で100%作り込むのではなくて、敢えて6、7割くらいにしておいて、稽古場で臨機応変に対応できるようにしています。
――原作がある作品とオリジナル作品との違いを北村さんはどう感じていますか?
オリジナル作品は0を1にするか、原作があるものは1を10にするか、でしょうか。オリジナルだと自分のもとには台本だけがあって、脚本家さんや演出家さんの頭の中にその世界が広がっているので、それを一緒に具現化していくというか。どうなるかわからないっていうのが楽しいところでもあるし、どれだけ自分の魅力を出せるかってところでもあります。逆に原作ものの場合はもともとのキャラクターがあるので。でも、そこでただ似せるとか、モノマネとかにはなりたくないんですよ。原作にもアニメだったりゲームだったりいろいろありますが、その前に漫画がある作品であれば漫画を一番優先して役作りに活かしたいなって思っています。
――それはどうしてでしょう?
漫画を読んで自分が思い描いたキャラクターというか、漫画から受け取った自分の正直な感想を大事にしたいというか。その上で、アニメ化もされているものなら声優さんのお芝居だったり、アニメの演出を取り入れたり。キャラクターの魅力を引き出すにはどうしたらいいかというのを一番に考えます。

――原作ものの場合、原作ファンの方もいらっしゃるので、そのキャラクターの魅力と自分の個性のバランスが難しいですよね。
そうですね。でも、キャラクターの枠の中で収まりたくもないなっていうふうにも思うんですよ。収まっちゃったら舞台でやる意味もないですから。そのキャラクターでありながら、どれだけ可能性を広げられるか――。自分がその役を演じる意味を見出したいし、キャラクターの良さと自分が持っているものを掛け合わせて、さらにいいものになったらいいなと思うので。そのキャラクターはそんなことしない! と思われる部分があったとしても、いや、わかんないじゃんって(笑)。僕はすると思うとか、目の前で起きたらそうなるでしょとか、そういうのをすごく大事にしながら作っているっていうのはありますね。
『憂国のモリアーティ』は新しい北村諒を提示できている気がする

――俳優・北村諒の強みだと思うのはどういったところですか?
う~ん、何でしょう……。あ、でも、お芝居をしている時に、けっこう俯瞰で舞台全体を見ていることが多いかも。
――例えば?
舞台装置の転換がこうなってるなとか、今誰かが何か落としたなとか、あっちのタイミングが変わったからこっちもそうしようとか。舞台ってリアルタイムで刻々と変わっていくものだから、それを俯瞰で見ながらお芝居ができるのはわりと強みかなって思います。
――これまでいろんな役柄に挑戦されていますけど、自分でも意外だったというか、これを自分が演じるのか!? と思う作品、役柄はありましたか?
しょっちゅうありますよ(笑)。それこそ、今(※取材時)やってる『憂国のモリアーティ』のシャーロック・ホームズ役も、自分でも意外な配役というか。


――意外というのは?
自分が勝手に思っている、世間が僕に抱いているイメージとは違うんじゃないかなって。実際のところはさておき、役としては爽やかな印象を持つ人も多いと思うんですけど、今回のシャーロック・ホームズは男らしいというか、ちょっとガサツで、頭がキレる人っていう役どころ。そのイメージは僕にないんじゃないかなって思ったんですけど、いざ演じてみるとすごく楽しいし、この役を演じられてよかったなって思ってます。
――キャスティングの理由とかって聞きました?
直接ではないんですけど、プロデューサーの方のインタビューを読んで知りました。5、6年の付き合いになる方なんですけど、そのインタビューによると、今までずっと一緒にお芝居をやってきて、年齢もそうだし、色気のある芝居ができるようになってきたからキャスティングしましたとおっしゃってくださっていて。そうやって僕を信頼してくださって、(役を)任せていただけたのが本当にうれしかったです。特に今回のような自分とは真逆の人間像の役は、演じていても面白いし、やりがいを感じます。役者としても新しい北村諒を提示できている気がしますね。



――新しい作品で新しい自分を表現する一方で、3月から上演される『「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 本物の英雄(ヒーロー)』は、昨年4月以来1年ぶりの作品となります。同じカンパニーで再び集まるというのは、新しい作品とはまた違う楽しさもあるのでは?
そうですね。1回やっているからわかっている部分もたくさんあるし、今回新しいキャストも追加されつつも基本的には変更がないので、キャスト同士の仲間感みたいなものもあるので安心するところも大きいです。
――今回の舞台はどういうものにしたいと思っていますか?
前回は初演ということで、とにかくみんな全力で意見を出し合って、試行錯誤しながら作っていったところがあるんです。今回はその時の経験を生かしながら、よりブラッシュアップして洗練された作品にしたいなと思っています。
ちゃんと面白い作品が作れる場所で勝負したい

――そんな北村さんは1月25日に29歳を迎えました。20代最後の年、これだけはやっておきたいというようなことってありますか?
それが、特にないんですよね。むしろ早く30代になりたいなって思います。
――そうなんですね。30代にはどんなイメージがありますか?
一番楽しい時期だなって思いますね。あと、この先何十年も生きていく中で、30代の生き方がけっこう大事なんじゃないかなって。20代のうちは失敗しようが、何をしようが、さほど問題じゃないというか。もちろん、基本的にはいくつになっても好奇心とか夢中になるものを忘れない少年の心でいたいなとは思うんですけど、今後、責任を感じたりする年齢になる上で、自分の中で1本筋の通った“芯”みたいなものを30代のうちに確立したいんです。年齢を重ねるからこそ、ちゃんと自分を見直すじゃないですけど、しっかり自分と向き合っていきたいなと思います。


――北村さんが役者として目指すものは何でしょうか?
何だろう? 基本的には、楽しければ何でもいいっていうスタンスです(笑)。あ、でも、今あるものをひっくり返したいというのはありますね。
――ひっくり返したい?
なんか、映画とかも知ってる顔しかいないじゃないですか。それは舞台にも同じことが言えるかもしれないですけど……。そういう意味で、僕自身はちゃんと面白い作品が作れる場所で勝負したいなって思うんです。それができるなら、ジャンルは舞台でも映像でも何でもいい。それをやることでいろんな盛り上がりがあったり、自分の糧になったり、新しい景色が見られるんだったら、どんどん挑戦していきたいなと思っています。

プレゼント応募要項
北村諒の直筆サイン入りチェキを抽選で3名様にプレゼントいたします。
応募方法は下記の通り。
(1)エキサイトニュース(@ExciteJapan)とエキサイトミュージック(@excite_music)の公式ツイッターをフォロー
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応募受付期間:2020年2月5日(水)~2月19日(水)
【#プレゼント】『#刀剣乱舞』や『#僕のヒーローアカデミア』など多くの舞台で活躍する俳優 #北村諒 の直筆サイン入りチェキを3名様に!
— エキサイトニュース (@ExciteJapan) February 5, 2020
【応募方法】
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【締め切り】
2月19日(水)
▼インタビュー&動画https://t.co/UsIf4HXRRH pic.twitter.com/jbyJ5CchaW
皆さんのご応募をお待ちしております!
(エキサイトニュース編集部)
公演情報
【北村諒 29th BIRTHDAY EVENT】
<大阪公演>
2020年2月9日(日)T・Bホール(2回公演)
※東京公演は終了
詳細:https://kitamuraryo.com/contents/277201
【「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 本物の英雄(ヒーロー)】
<東京公演>
2020年3月6日(金)~3月22日(日)品川プリンスホテル ステラボール
<大阪公演>
2020年3月27日(金)~4月5日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
詳細:https://heroaca-stage.com/
1991年1月25日生まれ、東京都出身。『闇の皇太子』で舞台デビュー。以降、『弱虫ペダル』シリーズ、『刀剣乱舞』『おそ松さん on STAGE』『NARUTO-ナルト- ~暁の調べ~』『僕のヒーローアカデミア The “Ultra” Stage』など、多くの舞台に出演。2016年、松田凌と宮崎秋人との3人で結成したユニット「Unknown Number!!!」でCDデビューを果たしているほか、Acid Black CherryやSuGなどのミュージックビデオにも出演している。