マロの生前葬や万引き騒動など、狂乱の「やすらぎの刻」パートから、再び菊村栄(石坂浩二)の脳内ドラマ「道」パートへ。

ジェリー藤尾が「遠くへ行きたい」を熱唱
みんなで合唱して欲しい、2次会で「マロ紙幣」を使って博打をやりたい……などなど、やりたい放題の生前葬を自ら企画するマロ(ミッキー・カーチス)。
しかし実は、もう身体がボロボロでモルヒネを使って痛みを緩和しているという。「余計な延命処置をしないでくれ」という事前指示書も主治医に渡しており、覚悟を決めての生前葬だったのだ。
みんな「またマロがバカなことを……」と、苦笑いで協力している中、マロの異変に勘づいていたのが辛坊修(ジェリー藤尾)。
古くからの大親友だったが、マロに鼻毛が出ていると指摘したことで大げんかに。以来、30年以上も口をきいていないのだとか。
狂乱の生前葬当日、マヤ(加賀まりこ)が言いたい放題の暴露弔辞を読み上げる一方、マロが死ぬ覚悟をしていると知ってしまった菊村は「弔辞を書き換えなければ」と考えた。
「遠慮なく恐がれよ、恐がって震えろよ」
気持ちは分かるけど、楽しい生前葬をやろうとしているのに、そんなマジレスされたらドン引きだ。
ラストに呼び込まれたのは辛坊修。
「マロ、マブダチ! お前に最期の歌を歌うよ」
ということで「遠くへ行きたい」を熱唱。
言わずと知れたジェリー藤尾の超・代表曲に、「もはや本人役じゃん!」とは思ったが、さすがに年季の入った歌いっぷりと、それを見つめるミッキー・カーチスの表情に引き込まれる。
もはや演技なのかどうかもよく分からない、人生を全部込めたシーンに凄みを感じた。
高倉健気分の橋爪功がスナックのママに入れあげる
「バカな一日はかくて終わった。やっと私はシナリオへ戻れた」
と「道」の執筆を再開した菊村。
憧れの脚本家・向井爽吉が「やすらぎの郷」に入っていたと知り、死ぬ直前まで書いていた原稿を読めたことで大感激。
「すっかり忘れていた神様が死ぬ間際まで書いてらしたんだ。96のシナリオライターが、学生が使うような大学ノートに……」
「あんなノートにオレも昔は書いていた。湧いてくる創意をノートにぶつけてたんだ」
こんな思いを抱きつつ、どんな感動のシナリオを書くのかと思ったら、「道」パートもなかなかバカな展開だった。
幼なじみのハゲ(ミッキー・カーチス)とニキビ(山本圭)に「おっぱいがデカくて尻が張っとる」色っぽいママさんがやっているスナック「オモチャ」を教えられた根来公平(橋爪功)は、
「(高倉)健さんみたい」
とおだてられたことで、一気に「オモチャ」のママ・みどり(高橋由美子)にハマってしまう。
健さんの映像を見て仕草を学び、健さんが着ていそうなコートを古着屋で購入し、「女房は死んだんだ」「(子どもが)ひとりいたんだけども、行方不明だ」と嘘を重ねる。
いい歳こいて女に入れあげるバカな男の見本のような行動を繰り返す公平だったが、みどりの方も意外と乗ってきた。
高橋由美子は例の不倫報道以来、久々にドラマで見たけど、やたらと色っぽいのだ。文春に直撃された時の「私、もっと色々やってっから!」というドエロい捨て台詞が頭によぎってしまう。
公平のバカな努力が実を結んだのか(?)、みどりとキスをしそうな雰囲気になったところで、メチャクチャいかつい“お兄ちゃん”が店に入ってきた。
「高橋由美子と血がつながってるの!?」と思ってしまう程の「マッドマックス」感のあるビジュアルのせいでパッと見、誰だが判別できなかったが、このお兄ちゃん、真木蔵人じゃん!(二世役者がよく出るドラマだ)
高橋由美子の不倫報道に加え、真木蔵人の過去のDVスキャンダルが脳内に渦巻き、どうしても「美人局!」としか思えないのだが、ここからどういう展開になるのか……。
しかし菊村よ、“神様”の遺作シナリオに感銘を受けて書き上げたシナリオがこれか!?
やすらぎもラスト2ヶ月!
週の冒頭に「やすらぎはラスト2ヶ月」ということで放送された予告もまたすごかった。
原発で働くことになった親と一緒に福島へ移住していったしのぶ(清野菜名)を心配していたが、やはり原発事故が描かれるようだ。
若い頃の公平(風間俊介)が再び登場したり、公平の子どもたちが逮捕されたり夜逃げしたり、里見浩太朗が登場したり……。
最後の最後までまったく予想がつかない!
(イラストと文/北村ヂン)
【配信サイト】
・Tver
『やすらぎの刻〜道』(テレビ朝日)
作: 倉本聰
演出:藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
主題歌: 中島みゆき「進化樹」「離郷の歌」「慕情」「終り初物」「観音橋」
音楽:島健
チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、服部宣之(テレビ朝日)、山形亮介(角川大映スタジオ)
制作協力:角川大映スタジオ
制作著作:テレビ朝日