本筋が謎過ぎて一話完結の単発事件が頭に入ってこない。
ちなみに本筋とは、ミスパンダ(清野菜名)は一体なんなのか? ミスターノーコンプライアンス(佐藤次郎)の目的は? 数年前に佐島あずさ(白石聖)を誘拐したコアラ男の正体は?などなど。本筋と呼んではいるものの、バラバラすぎてとても筋とは言えない状況だ。

偽パンダたちの残酷な生配信
7年前にショッピングモール爆破事件を起こした死刑囚・浜口(谷田部俊)。無罪を主張して再審請求が認められる見通しだったが、護送中に偽物のミスパンダと飼育員に連れ去られてしまう。偽パンダたちはパンダちゃんねるを乗っ取り、浜口の顔を水槽に浸けるなどの残酷な生配信を行った。
本物の飼育員である直輝(横浜流星)とミスパンダは、正体を突き止めようと奔走するものの、罠にハメられて浜口殺しの濡れ衣を着せられてしまう。
偽ミスパンダと飼育員の正体は?
ヒーローものではお馴染みの展開となっている偽物編。本筋に大きく関わってくるようで、その正体は次話以降に持ち越された。"男女ペア"という観点から、正体は誰なのか考えてみたい。
・陽一(結木滉星)と恭子(三倉茉奈)
爆破事件で弟を亡くした兄妹。動機も十分で、空手の有段者であることから、偽パンダたちが見せた素早い身のこなしも可能と思われる。怪しすぎて逆に怪しくないという考えもあるが、意外とこのドラマはストレートにくるので本命。
・警視庁捜査一課の刑事・三津谷(高橋努)と坂下(江口のりこ)
今話初登場でハブとマングースと呼ばれるほど仲の悪い2人。浜口が殺されたときもいち早く駆けつけた。情報がなさすぎて何もわからないが、「出世のために事件をねつ造」「実は爆破事件に関わっていた」など、動機は後からどうとでもついてきそう。
・前川雪乃(祷キララ)と小園武史(中田圭祐)
直輝の大学のゼミ仲間。全く怪しくないが、「とにかく裏をかく!」という意味ではこの2人。直輝を近くで見ているので犯行もしやすい。第5話で登場が少なかったのも、意識をさせないための演出かもしれない。
他に男女ペアというと、加賀春男(升毅)・佳恵(椿鬼奴)夫妻と、神代一樹(要潤)と佐島あずさ(白石聖)のマスコミペアが考えられるが、そこが来ちゃうと身体的なサイズやら運動能力やらで矛盾が発生しそうなのでおそらくはないと思われる。ペアではないが、東山楓(吉田美月喜)の可能性はわりとありそう。「ミスパンダに憧れる楓が誰かに洗脳されて偽ミスパンダに……」とか、「ミスパンダを超えたくて……」みたいな展開がありうる。
また、追い詰められたミスパンダたちに、ミスターノーコンプライアンスからは「自分がシロクロつけられる気分、どうですか?」の一言も。どうやら黒幕は彼のようで、目的が気になるところだ。
ヒロインの一世一代の告白をギャグに
過剰なほどにネガティブで、おそらくは男性との交際経験のないレン。いつもうじうじしていて、プロの囲碁棋士なのに相手に勝ちを譲ってしまうほどのお人好しだ。自分の我なんて通せるはずがない、そんなレンが勇気を振り絞って直輝に気持ちを打ち明けた。
「直輝さんと一緒にパンケーキを食べてるときが一番幸せです。今まで生きてきて、こんな気持ち初めで。私、直輝さんのことが好きです」
少女漫画ならクライマックス、少年漫画なら萌えポイントというヤツだろう。しかし、そんな一世一代の告白を無視して直輝は、「アマナマーナマーナマーナマーナ」(BGM)とレンに催眠術をかけてしまう。とんでもないタイミングの催眠術に、驚いて声を出して笑ってしまった。
さすがにレンがかわいそうではあるが、この演出は「このドラマは恋愛ドラマではありません」という制作陣からのメッセージだ。また、告白をなかったことにしてあげる直輝の優しさとも取れる。完全に笑わせる気だったとは思うが、ドラマの立ち位置をハッキリさせる良い演出になっている。
脱落勢が戻ってくるチャンスだよ
様々な展開がぶっこまれた第5話だが、なんと言っても一番のサプライズは精神科医・門田(山崎樹範)の死だ。前話でリコにレンの人格を入れるというマッドサイエンティストぶりを発揮し、今話でもレン(体はリコ)にパワハラまがいの態度を取るなど、存在感を発揮していただけに驚きも大きかった。
門田が殺され、ミスパンダ&飼育員が指名手配犯にされるなど、ようやく物語が転がってきた感がある。視聴率も下がり、脱落してしまった人は多そうだけど、戻ってくるタイミングとしてはすごくいいと思う。
(さわだ)
■「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」
出演:清野菜名、横浜流星、要潤、白石聖、山崎樹範、山口紗弥加、佐藤二朗
脚本:佐藤友治、蛭田直美ほか
演出:遠藤光貴、松永洋一、汐口武史
制作著作:読売テレビ
主題歌:Billie Eilish「bad guy」
白でも黒でもない世界で、パンダは笑う。