
上野樹里の熱演に圧倒される!
上野が演じるのは、主人公・田村心(しん/竹内涼真)の妻・由紀。だが、彼女は第1回で心との子供を出産後、急死していた。心は由紀の死後、父・佐野文吾(鈴木亮平)が犯人とされる無差別殺人事件の起こった宮城県音臼村を訪ねたところ、31年前の1989年にタイムスリップ、事件を阻止しようと村の駐在警官だった文吾と奔走していた途中、突如として2020年に戻り、死んだはずの由紀と再会する。由紀は死ななかったというだけでなく、そもそも心と結婚せず、したがって子供も儲けていなかった。心がタイムスリップしたことで未来が変わってしまったのだ。そこで由紀は、誰とも結婚せず(実家暮らしで名前も旧姓の岸田なので、そう推察される)、週刊誌の記者として、例の無差別殺人事件について取材を進めており、その奇妙な縁で心と巡り合う(余談ながら、由紀が在籍する「週刊実在」のロゴと表紙絵が、上野の義父である和田誠が長らくかかわってきたあの週刊誌を思い起こさせるのは気のせいだろうか?)。
妻とはほとんど別人になってしまった由紀だが、心は死刑囚となった文吾の無実の罪を晴らすべく彼女にある相談を持ちかける。それは、小学校で起こった無差別殺人事件の被害者の集まる会に出席して、父が無実である証拠になりそうな話を聞き出したいというものであった。だが、被害者たちは文吾の一刻も早い死刑を望んでいるだけに、そんな会に加害者の子供である心が出てはどんな目に遭うかわからない。由紀はそう言って止めるも、心がある人に「心の父親だから信じてみたい」と言われたとあまりに切々と話すので、ついには折れて被害者の集いの場所と日時を教える。もちろん「ある人」とは、妻の由紀のことだ。記者の由紀はそんなことは知らず(言っても信じないだろうが)、心を信じると言ってくれた人はきっとすてきな人なんでしょうねと口にする。これに心は「はい。俺の一番大切な人です」と返すと、由紀と別れた。