
真犯人に渡った大事なノート
50年前に連載が始まったあの国民的マンガの第1回でも、主人公の少年が、ある日いきなり、22世紀の未来から孫を名乗る同じ年格好の少年の来訪を受け、さんざんなことを言われる。いわく、大学受験に失敗したり、大卒後、就職できなくて自分で会社をつくったはいいがつぶしてしまい、借金を抱えたあげく、そもそもあなたの結婚した相手がよくないので、自分はそれを変えるために来たのだと。もちろん少年は怒り狂うわけだが、その自称・孫の言うことを最終的に信じて受け入れる。相手が、自分の失敗を回避するためにさまざまなひみつ道具を持った猫型ロボットを一緒に連れてきたからだ。22世紀の圧倒的に進んだ技術を前にすれば、たしかに信じざるをえないだろう。
これに対し、31年後の2020年の未来から来たという男に、それまでにさんざん事件に巻き込こまれたあげく、じつはあなたはいずれ殺人犯となり、逮捕後に生まれたあなたの子供である私も含めて家族を奈落の底に突き落とすので、それを回避しようとしたのだが……と唐突に告白されたのが、先週2月2日放送の日曜劇場「テセウスの船」(TBS系、日曜よる9時)第3話での佐野文吾(鈴木亮平)である。