『ジュラシック・ワールド/炎の王国』今夜、金曜ロードShow!にて本編ノーカットで地上波初放送

DNAをいじくり倒して作った新種が、ほぼほぼ主人公たちのミスにより(案の定)大脱走。秘書が酷い食われ方をしたり、オーナーが運転するヘリが墜落したり、パーク関係者もお客もドカドカ死ぬという超大規模な業務上過失致死傷事件を巻き起こし、大変な訴訟問題に発展したであろう前作の『ジュラシック・ワールド』

舞台はその3年後。
すっかり、無人の恐竜天国となっていたヌブラル島の火山が、このたび噴火寸前だということで、取り残された恐竜たちを別の場所に移すことに。しかし、その計画の裏にはある陰謀が……というお話なのですが、はい。もう悪い予感しかしません。

だいたい27年前の1993年に公開された1作目の『ジュラシック・パーク』以降、毎度のように恐竜絡みの大惨事が発生してしまうこのシリーズ。しかし、そうなるキッカケは毎回ことごとく人間側にあります。というわけで、過去にどんな事件が起こったのかザックリ年表にしてみました。

恐竜大惨事ザックリ年表


そうなんです。人類は毎回やらかしてしまうんです。全然成長しないんです。学習した個体は過ちを繰り返さないように「もうやめとけ」と制止するんですが、いかんせん未経験の個体や、歴史から学んでない個体が毎回同じ様な失敗をやらかします。もはやコレ、恐竜というか、人類史の縮図ではないでしょうか。

今回は前作のような単純な恐竜パニック映画というより、恐竜ゴシックホラーといった趣で、ジュラシック・パークとロストワールドへのオマージュとかリスペクトがてんこ盛り、正直前作よりメッセージ性もあって、むしろかなり好きなのですが、このシリーズに何を求めてるかで評価がパックリ別れる映画でもあります。
その上で一個だけ言わせていただきたい。

『炎の王国』という邦題が残念すぎる




この『ジュラシック・ワールド/炎の王国』。原題は『Julrassic World:Fallen Kingdom』。直訳すれば、『堕ちた(陥落した・崩壊した)王国』。邦題つけるのであれば本来「王国の陥落」あたりが適当ではないのかと思うのですが、いかんせんつけられた邦題は「炎の王国」。しかしこれにより、原題を知らない人には、作品のオチが全く伝わらないという残念な事態を招いております。

(※ここから先、ネタバレ地雷原なので未見の方はなるべく放送後に読んでください。)

幸い原題を知っていたので「王国の崩壊…あぁー、火山で崩壊する恐竜島のこと言ってるんだろうなー」と思いながら映画館に行ったら、その意味は予想の斜め上を行っていました。

諸々大惨事が起こった末のラスト、連邦議会で発するマルコム博士の「人間は恐竜と共存していかなければならない。ようこそ、ジュラシック・ワールドへ。」という決め台詞。ここで観客はハッとします、Fallen Kingdom(=崩壊する王国)とは、火山の噴火で消えた恐竜島のことかと思いきや、人間が王のように君臨していたこの世界(王国)の崩壊を示すダブルミーニングだったのだと。

すなわち、この映画は『GRAVITY』同様(こちらも邦題が『ゼロ・グラビティ』になっていてこれまたオチが伝わらない)、全体のテーマをタイトルで落とす系の作品だったのです。

つまり、この「炎の王国」という邦題。
「炎の王国」だと思って観に行くと、炎は前半の火山爆発シーン程度なので、タイトル負けするし、最後のオチの意味は全く伝わらないしで、もういろんな意味で残念極まりないのです。

新シリーズが“パーク”ではなく“ワールド”である意味

マルコム博士の「ようこそ、ジュラシック・ワールドへ。」という2作目のラストのセリフで、新シリーズのタイトルが“パーク”ではなく“ワールド”だったのは、単なるテーマパークの規模を指していたわけではなく、解き放たれた恐竜たちにより、人類がトップにいる王国が陥落し、この世界そのものが文字通りジュラシック・ワールドと化すことを意味していたのだと、観客側に初めて開示されます。

準備中の3作目では、旧シリーズでおなじみのマルコム博士の他に、グラント博士やサラたちも登場するらしいですが、果たしてやらかしまくってきた人類は今度こそ過去の失敗を学びとして生かすることができるのか。それともまたも大惨事を起こしてしまうのか。

ていうか、恐竜がそこらへんにウロウロしてる時点で、これ以上の惨事もないような…そんな、ジュラシック・ワールドシリーズ3作目のタイトルは『Jurrasic World:Dominion』(原題)。ドミニオン、直訳すれば支配権、…果たしてこの世界の主権を握るのは恐竜か、人類か、乞うご期待!


ちなみに、王国の崩壊が何をもたらしたのか、こちらで『炎の王国』の事件後が描かれた短編映画が観られるのでぜひご覧ください。
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