
VTuberグループ「ホロライブ」の2期生の一人として、2018年8月8日にデビューした湊あくあ。
いたずらや楽しいことが大好きな性格や、ハイテンションなリアクション、高いゲームスキルと歌唱力に、超高難度なゲームの耐久配信もやり遂げる精神力など、さまざまな魅力を併せ持ち、その人気はVTuber界でもトップクラス。
エキレビ!では、自身初のソロライブに向けて多忙を極めるバーチャルメイドアイドルへのインタビューを実施。この前編では、デビューからの2年間での成長や変化について、振り返ってもらった。
デビューした時から、面白いことは何でもやってみたかった
──デビュー2周年記念ライブも近づいてきましたが、2年前にデビューした時には、VTuberとしてどのような配信、活動をしていきたいと考えていましたか?あくあ 活動初期は猫もかぶっていたので、皆さんの印象とはちょっと違っていたかもしれないんですけれど(笑)。みんなに笑ってもらえるような配信をしたいと思っていました。私、小さい頃、お笑い芸人さんになりたいと思っていた時期もあって……。
──先日、配信でも仰っていた「自分が世界で一番面白い」と思っていた時期のことですね。
あくあ そういう浅はかなことを思っていた時期がありました(笑)。ホロライブに入った時も、自分でエンターテインメントを作れるようになりたくて、その表現場所として配信をやっていきたいと思っていたんです。だから、何か一つのことにこだわる気持ちはあまりなくて、面白いことは何でもやってみたいと思っていました。
──どちらかと言えば、VTuberよりもリアルのYouTuberに多い、ネタ動画も作るし、ゲーム実況もするといった配信スタイルをイメージしていたのですか?
あくあ はい、そういう感じに思っていました。
──では、デビュー当時には、いつかソロライブを開催してみたいなどとは、あまり考えていなかった?
あくあ 自分にライブができるなんて、想像もしていませんでした。
──8月8日(土)から9日(日)にかけて行われた24時間配信の中では、2年前の初配信をリスナーと一緒に観るという企画も行われていましたね。
あくあ 実は初配信のアーカイブって、デビューして1年経たないくらいの時期から、ずっと非公開にしているんです。

──なぜ記念すべきデビュー配信を非公開に?
あくあ 理由としては……面白くないからです(笑)。こんなものは表に出せないと思って非公開にしていたのですが、2周年というこの機会に、一度見直して、初心を思い返してみようかなって。それに、今、応援してくれている方たちの中にも、昔の私を知らない方は多いと思うんです。今ではたくさんの方が配信を観てくれているけれど、初配信の頃は、今のようにたくさんの人が観てくれていたわけではないですし。昔の私も知ってもらいたいという気持ちもありました。
──デビューから2年経ったからこそ、そう思えたということもありますか? 例えば、1周年の時には、まだ恥ずかしかった?
あくあ そうですね。1年前では観る気になれなかったと思います。今回、みんなと一緒に観ることができて、とても感慨深かったのですが、(内容的には)相当やばかったので(笑)。
──私は初々しくて可愛いなと思ったのですが、ご本人としてはそういった評価なのですね。
あくあ ひどかったです。実のある話を何一つできてなくて……。
キツさも楽しんでしまえることが、私の長所なのかな
──デビュー時期も近く仲良しなVTuberの犬山たまきさんとの対談配信で、デビュー当初は、どうやったらもっとたくさんの人に配信を楽しんでもらえるのかな、とよく相談しあっていた、という話がありました。大人気のあくあさんにも、そんな時代があったのだなと思ったのですが。当時、もっと多くの人に楽しんでもらえるようになるために変えたり、努力したりしたことはありますか?あくあ 自分にはアイデンティティになるようなものが何もないと、ずっと思っていて。全部のことが人並みか、人並み以下。「自分といえば!」と思えるような得意なもの、飛び抜けてできるものが何もなかったんです。だから、何かが欲しいとはずっと考えていました。唯一、私にもできるかなと思えたのは、何か一つのものにのめり込むことくらい。その中でも一番のめり込めるのがゲームでした。だから、もっとゲームを頑張ってみようと思ったんです。それまでやったことのないゲームにもいっぱい挑戦して、みんなに「上手くなったね」と言ってもらえるように、配信として楽しんでもらえるレベルまで上手くなれるように(配信外でも)頑張っていたし、今も頑張っています。

──あくあさんといえば、ゲームの上手いVTuberという印象は強いのですが、以前は好きではあるけれど、「特技です!」と言えるほど上手くはなかった?
あくあ むしろ、下手だったと思います。だから、配信を観ている人にも楽しんでもらえるくらい上手になれるように頑張ってみようと思ったんです。
──デビュー当時の配信をリアルタイムでは追えてなかったので、ゲームの下手なあくあさんは、なかなかイメージできないのですが……。
あくあ ありがとうございます。私、いまだに初めてやるゲームって下手なんですよ(笑)。でも、リスナーさんからは「成長速度は少年マンガの主人公並」とか言ってもらえるし、ゲームに関してだけですが、コツをつかむのは少し早い方かもしれません。
──最近のゲーム実況だと、超難易度で知られる『Jump King』をクリアーした耐久配信に驚きました。シンプルだけど繊細な操作が要求され、一瞬のミスでそれまでの頑張りがゼロにもなる非常にシビアなゲームでしたね。
あくあ ああいったキツさも楽しんでしまえることが、私の長所なのかなと思います。まあ、楽しいだけではなくて、辛いのは辛かったんですけれど(笑)。
──そういった長所に、自分で気づけたきっかけはあったのですか?
あくあ 何度も何度も敵に倒されながら、少しずつ上達していくような、いわゆる「鬼畜ゲー」をやっている時、「私は、壁が高ければ高いほど頑張れるタイプなんだな」って気づけました。
──ちなみに、ゲーム以外のことに関しても、コツコツと頑張れるタイプなのですか?
あくあ どうなんでしょう? どちらかと言えば、根気強いタイプなのかな……。というか、それくらいしかできないんです(笑)。自分は、秀でた才能がある天才型のタイプではないと思っているので。
2年間で、人間関係に関しては、ちょっとだけ前向きになれた
──VTuberとして活動してきた2年間で、自分が成長できていると感じたり、変わってきたなと感じたりしていることはありますか?あくあ 一つは、自分自身の人間関係についてですね。昔から人と全然喋れないタイプで、友達って作るのが難しいなとずっと思っていたんです。でも今は、2年前の自分では考えられないほど、たくさんの優しい人たちが仲良くしてくれて。その優しさに触れて、自分も人間関係に関しては、ちょっとだけ前向きになれたのかなって。そこは、この2年間で、すごく変われたことかなと思います。
──あくあさんが自分で強く意識して行動などを変えたというよりは、周りの優しい仲間たちと接していく中、自然に変化してきた感じですか?
あくあ 「変わらなきゃ、変わらなきゃ」と思っていた時期もあったんですけれど、やっぱり簡単には変われなくて……。でも、ホロライブに入ってからは、気づいたら少しずつ変われていけた感じなので、たぶん仰るとおり、周りのみんながずっと優しくしてくれたからだと思います。
──友達を作るのが得意な人って、たぶん、特に意識しなくても友達ができているから、「友達の作り方を教えて」と尋ねても、誰にでも有益なコツを教えてくれたりはしないですよね。かといって、そういう人のマネもなかなかできないですし……。
あくあ そうですよね! それはいまだに無理です(笑)。だから、コミュ強の(大空)スバルとか、(宝鐘)マリンちゃんたちには、いまだに憧れます! 本当にすごいなって。
──あくあさんにとって、身近なコミュ強と言えば、同期のスバルさんと、後輩(3期生)のマリン船長なのですね。
あくあ あの二人は、本当にコミュ強だと思います。しかも、コミュ強なりに気を使ってくれている部分もあると思うので、すごいなって。私は、スバルやマリンちゃんみたいには絶対になれないです(笑)。もちろん、二人も私にはなれないとは思うのですが。

──コミュ強でありながら、コミュ障を自認しているあくあさんが仲良くできているということは、仰るとおり、二人なりの気づかいもしていそうですね。
あくあ 私の前に扉があるとしたら、二人は「コンコン」ってノックして私を呼び出そうとするのではなくて。いきなり扉を「バコーン!」って開けて、自分から入って来てくれるみたいな(笑)。
──それだけ聞くと、少し乱暴ですが(笑)。ドアを開けた時にあくあさんが怪我したり、怖がったりしないような気づかいもちゃんとしてくれている?
あくあ そうです、そうです! 本当にそんな感じだと思います(笑)。
──では、ホロライブのメンバーの中で、あまり緊張しないで話せるようになった最初のメンバーは誰ですか?
あくあ 誰だろう……(猫又)おかゆかな?
──あくあさんよりも後にデビューしたホロライブゲーマーズのメンバーですね。たしかに、おかゆさんもコミュニケーション能力が高そうです。
あくあ 誰とでも仲良くなれるタイプですよね。
──ということは、ホロライブに入った後もしばらくは、他のメンバーと話す時には緊張していた?
あくあ しばらくというか、今でも緊張します(笑)。
──仲良しな相手とも話すのは緊張するタイプなのですね(笑)。
あくあ はい。でも、悪い意味の緊張ではなくて、ドキドキするみたいな良い意味での緊張ですけどね。
後輩も本当にすごい子ばかりなので、刺激を受けている
──私は、あくあさんの人見知りエピソードを聞くのが大好きなのですが。あくあ あはは(笑)。
──その中でも、ホロライブの事務所近くの道で、反対側を(先輩の)白上フブキさんが歩いていたのに、緊張して声もかけられなかったという話が特に好きです(笑)。
あくあ 無理でしたね〜(笑)。というか、今でも無理だと思います。自分からは声をかけられないので、フブキちゃんが気づいてくれるのを待ちます。
──あとは、あくあさんがお友達のVTuber数名とUSJへ行くことになり、待ち合わせしていた時のエピソードですが。にじさんじの鷹宮リオンさんとリゼ・ヘルエスタさんがUSJへ向かう電車に乗っていて。あくあさんに「今、どのあたり?」と連絡したら、「同じ車両の向かいの席にいるよ」と返事が来て、びっくりしたという話も好きです(笑)。友達が増えても、自分から話しかけるのが苦手なところは変わってないのですね。
あくあ 変わらないですね。誰かと待ち合わせをする時は、毎回、(チャットアプリの)Discordとかで「すぐ近くにいるよ」って連絡して、気持ち悪がられるのがテンプレになっています(笑)。
──人間関係の話で言えば、3期生、4期生といった後輩が加わったことも、あくあさんにとっては、大きな影響があったのではないかなと想像しています。ゲーマーズもフブキさん以外の3人(大神ミオ、戌神ころね、猫又おかゆ)は後輩ではありますが、どちらかと言えば同期のような関係性に見えていて。「あくあ先輩」と呼んでくれる3期生や4期生の存在に、新たな刺激を受けたところもあったのでは?
あくあ それは、すごくありました。仰るとおり、3期生よりも前、1期生からゲーマーズまでは同期的な感覚が強くて。3期生が初めての後輩みたいな感覚なんです。3期生のみんなが入ってくれた時には、「私、先輩になったんだ……」というフワフワした気持ちになったし。今でも、そういう感じはありますね。

──3期生、4期生は、「あくあ先輩」を非常にリスペクトしていると思うのですが、そのことが自信になったりも?
あくあ 「あくあ先輩、すごいです!」とか褒めてもらえることはとても嬉しいのですが、私の場合、褒めてもらえても「みんなだってすごいじゃん!」と思ってしまうので。自信になるという感じではないかも。でも、本当にすごい子ばかりなので、「私も頑張ろう!」と思うし、後輩ができたことで刺激を受けています。それに、後輩の子たちはグイグイ来てくれる子ばかりなので、友達も増えました。本当に嬉しいし、「いつも、ありがとうございます!」という感じです。(8月に)デビューしたばかりの5期生のみんなとも、早くもっと仲良くなりたいですね。
(丸本大輔)
※インタビュー後編はこちら
開催概要
「湊あくあ アニバーサリーライブ 2020 『あくあ色すーぱー☆どり〜む♪』」<開催日時>
2020年8月21日(金) 開場 19:30 / 開演 20:00 / 終演 22:00
ニコニコ動画・bilibiliの日中同時オンライン配信となります
<チケット>
通常チケット(前売り券/当日券): 4,000円(税込)
<配信ページ>
・ニコニコ動画:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv326873472
<公演公式ハッシュタグ>
#湊あくあソロライブ2020