東方神起ユンホ|過程ではなく結果で見せる魂のパフォーマンスで“キング”の称号を手に入れた「情熱の人」
イラスト/おうか

紅白に3度出演の実力&人気を誇る東方神起

今年、日本デビュー15周年を迎えた東方神起。4月の『東方神起 LIVE TOUR ~XV~ 追加公演』(東京ドーム)、『東方神起 15th Anniversary Event』(東京ドーム)、3万人との全国ハイタッチ会など、15周年を彩るさまざまなイベントが企画されていたが、残念ながらコロナ禍で見送りとなってしまった。ここで改めて、東方神起の二人の魅力を振り返ってみよう。


東方神起は、2004年に5人組ボーイズグループとして韓国でデビュー。グループ名は、“東方の神が起きる”という意味を持ち、アジア全域から世界にその名を広げられるようにという願いから名付けられた。

日本デビューは、2005年4月27日のシングル『Stay With Me Tonight』。韓国では5万人規模のスタジアムでショーケースを行うほどの人気の彼らだったが、日本では外タレ枠ではなく、J-POPの新人として地方での小規模なイベントに出演するなど地道に活動を重ね、2008年にはシングル『Purple Line』で初のオリコン1位を獲得。NHK紅白歌合戦にも3度出場している。

東方神起ユンホ|過程ではなく結果で見せる魂のパフォーマンスで“キング”の称号を手に入れた「情熱の人」
2005年4月27日にシングル『Stay With Me Tonight』で日本デビュー

ライブもライブハウスからスタートし、ホール、アリーナと一歩ずつステップアップしていき、2009年に夢の東京ドームに行きついた。
2011年からは2人での活動がスタート。2017年には5大ドームツアーと前人未到の日産スタジアム3Daysを開催し、海外アーティスト初の1ツアー100万人動員という快挙を達成している。

法律家を夢見た少年がエンターテインメントの世界へ

ユンホ(ユノ)は、東方神起のリーダー。1986年2月6日生まれの34歳。ソン・ガンホ主演映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の舞台にもなった、光州(カンジュ)の出身。法律家を夢見ていたが、中学時代に友達5人とダンスチーム「B.O.K」を結成し、地元ではファンクラブができるほどの人気となり(ちなみにB.O.Kのメンバーのひとりチェ・ヨンジュンは、『PRODUCE 101』シリーズのダンストレーナーや、SEVENTEENなどの振付師として活躍中)、SMエンタテインメント主催のオーディション『第1回SMベスト選抜大会』に参加し、ダンス部門で1位に輝き、14歳で練習生になった。

そのころ韓国はIMF危機の真っただ中。
ユンホの家も家計が苦しく、レッスンでソウルに上京しても節約のためにソウル駅で野宿することもあったそう。上京後は同時期に練習生をしていたSUPER JUNIORのメンバーたちと、32坪の宿舎にマネージャー含め23人で暮らしていたが、ヒチョル(SUPER JUNIOR)と仲が良かったユノは、長髪でピンクの服を着ていたヒチョルと連れだっているところを当時の彼女に女性だと勘違いされ、振られてしまったというエピソードも。

練習生時代からダンスでは群を抜いていたユンホは、ダナ(天上智喜/The Grace)のバックダンサー&ラッパーを担当するなど早くから実力が認められていたが、なかなかデビューにこぎつくことができなかった。

ついに夢が叶い、2004年にユンホは東方神起のリーダーとしてデビュー。アカペラのコーラスワークが美しい『Hug』をリリースすると、東方神起は瞬く間に人気が沸騰。その年の各種授賞式で新人賞と同時に本賞までも受賞し、トップアイドルとして君臨。
2005年には日本デビューし、東方神起という名前の通りアジアを中心に大ブームを巻き起こした。

東方神起ユンホ|過程ではなく結果で見せる魂のパフォーマンスで“キング”の称号を手に入れた「情熱の人」
2008年にシングル『Purple Line』で初のオリコン1位を獲得

男気の塊、ユンホ。その一方“天然”な一面も

ユンホの代名詞といえば「情熱の人」、そして「魂のパフォーマンス」。とにかくストイックにパフォーマンスでファンに応えるアーティストだ。

練習生時代から注目されているダンスは、今も若手の追従を許さない実力。常に新しい表現に果敢に挑み、王の貫禄を見せつけているが、それは、誰にも負けない練習量をもってなせることだ。


彼の所属するSMエンタでは、東方神起のユンホ、SUPER JUNIORのシウォン、SHINeeのミンホが「三大負けず嫌い」と呼ばれている。そんなユンホの負けず嫌いぶりがよく表れていたのが、フィギュアスケートのキム・ヨナの冠番組『キム・ヨナのキス&クライ』。番組で「努力する人であることを見せたい」と、ジャンプやスピン、ペアスケーティングなど初心者の域をはるかに超える演技を披露したが、それはケガをしても練習を続け、根性で見せたパフォーマンスだった。過程ではなく結果で見せるというユンホの生きざまは、「優雅に泳ぐ白鳥も水面下では激しく足を動かしている」という『巨人の星』の花形満の言葉のようだ。

ユンホの逸話として、「泣かない男」というものがある。ユンホのデビューを心待ちにしていた祖父がデビュー直前に亡くなったのだが、その祖父が彼に見せた最後の姿が笑顔で親指をあげたポーズだったという。
「その姿を見て、自分が考える高みに昇ったと思った時まで泣かないと誓った。そして僕がサムズアップをするのは、空にいる祖父との約束を守っているという証なんです」とバラエティ番組で明かしたが、そんな彼が号泣したのが、2015年、日本デビュー10周年にして、入隊前最後の日本ツアー『WITH』最終公演の東京ドーム。ファンとスタッフからサプライズで贈られたメッセージ映像を見て、「泣くのを我慢していたのに、幸せすぎて泣いてしまった」というのも彼の一本気な性格を物語っている。

男気の塊ユンホだが、ライブでのトークでは、しっかりものチャンミンに言われるがまま、天然ぶりで知られている。ライブが多い日本では衆知の姿だが、実はこの天然加減、韓国では最近まであまり知られていなかったのだ。除隊後の復帰プロモーションのためにリアリティ番組に出演し、家の中でも全力で踊っていたりするユンホの熱すぎる日常での生活が公開されると、純真な天然ぶりが大衆の知るところとなり、今やバラエティでも大人気に。


東方神起の活動以外にも、日本で『U KNOW Y』(2015年)、韓国で『TRUE COLORS』(2019年)というソロ・ミニアルバム、デジタル・シングル『DROP』(2017年)をリリース。また、俳優としてドラマなどに出演しているが、彼にとって主軸はやはり東方神起のようで、どちらも積極的とまではいかない程度にとどまっている。

東方神起ユンホ|過程ではなく結果で見せる魂のパフォーマンスで“キング”の称号を手に入れた「情熱の人」
2015年にソロ・ミニアルバム『U KNOW Y』を発表

日本デビュー15周年。二人とも30代半ばに差し掛かり、今後は「大人のアーティスト」として、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのかが楽しみだ。
(坂本ゆかり)

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