今こそ見てほしい超傑作 Netflixクリスマスアニメ映画『クロース』

超絶オススメのクリスマス映画

クリスマスシーズン到来!ということで、クリスマス映画を見たいけど、『ホーム・アローン』は何度も見たし、何か他に良い映画ない? という方に、今年ぜひともお勧めしたいのがこちら! 昨年の今時分配信スタートした傑作Netflixアニメ映画『クロース』だ。

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サンタクロース伝説の誕生秘話

サンタクロースは4世紀ごろのセント・ニコラウスの伝説が起源とされているが、それはそれとして、この映画は、

・サンタは赤い服を着てトナカイが引く空飛ぶソリでやってくる
・暖炉の靴下にオモチャを入れてくれる
・悪い子リストに載るとオモチャではなく石炭が届く
・サンタの家にはエルフが大勢いてオモチャを作っている

などなど、誰もが知るサンタクロースに関するエピソードや、サンタクロース誕生の裏に何があったかを新たな切り口で描く、『バットマン・ビギンズ』ならぬ『サンタクロース・ビギンズ』と言ってもいい作品である。

【あらすじ】
放蕩息子を絵に描いたような自堕落男ジャスパーは、郵便局長の父親により、6000通の手紙に消印を押さねば勘当だと宣告され、北極圏近郊の暗く凍てついた町スミレンズブルクに郵便配達員として送られてしまう。

今こそ見てほしい超傑作 Netflixクリスマスアニメ映画『クロース』

任期は一年。
しかし、その町は子供から大人まで、住民同士がクラム族とエリングボー族に分かれていがみ合っており、手紙を出すような人間は誰一人としていない絶望的な町だった。

ある日、木こりでオモチャ職人の男クロースと出会ったジャスパーは、起死回生の打開策を思いつくのだが……

伝説誕生のきっかけは超利己的

早く町を抜け出して、シルクのシーツで寝たいという超利己的な動機で始まったジャスパーの作戦は、オモチャがほしいという子供達のニーズとビタッと合致し、化学反応を巻き起こす。

今こそ見てほしい超傑作 Netflixクリスマスアニメ映画『クロース』

悪い子リストに載りたくない子供達は、大人達の対立など御構い無しに率先してボランティを行い、凍てついた町の対立に雪解けをもたらしていく、廃校寸前で魚屋と化していた学校は文字を習いたいという子供であふれ、ジャスパーの口からデマカセや、子供たちの勘違いが設定として肉付けされ、サンタクロースのキャラクター像が塑像のように出来上がっていった。

人の心を動かしたものは


今こそ見てほしい超傑作 Netflixクリスマスアニメ映画『クロース』

本作のテーマの一つに「本当に欲のない行いは人の心を動かす」というのがあるが、ジャスパーがもたらした結果を見ていると、動機などどうでもいいではないかと思えてくる。欲が絡もうが、絡むまいが、とにかく動き出さないことには現状は打破できないのだ。ちなみに、この映画では全てのキッカケはによってもたらされるので、鑑賞される際は風に注目していただきたい。

超最新2Dアニメーション

もう一つ見所なのが、このアニメが2Dで作られているという点だ。しかもただの2Dではない。海外アニメ映画は3DCGが主流の昨今、本当に2Dなのかと疑いたくなるような、全く新しく美しい2Dの世界を拝むことができる。

【映像を観る】『クロース』制作秘話 - Netflix<YouTube>
【映像を観る】The SPA Studios | "Klaus" Teaser Progression Shot<YouTube>
【映像を観る】The SPA Studios | "Klaus" Teaser Style Test #1<YouTube>

対立ムードが漂っている今こそ

配信がスタートしたのは2019年だが、住民がクラム族とエリングボー族とに分かれて激しく争っているスミレンズブルクの町は、コロナ禍、BLM、トランプ対バイデンなど一連のゴタゴタで、国民が二極化してしまった2020年のアメリカを彷彿とさせる。分断は他人事ではない、日本もまた上下左右の分断が顕著である。世界中のハートがコロナ禍でささくれている。

カッサカサになってしまったハートに、この映画をオロナインのように塗り込んで、少しでも優しい気持ちになっていただきたい。


【映像を観る】『クロース』予告編 - Netflix<YouTube>

ちなみに、日本語版吹替版でジャスパー&クロースをやっているのは、内山昴輝&玄田哲章のお二人なので、声優ファンの方々にもお勧めである。

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Writer

ウラケン・ボルボックス


東京から福岡に移住した映画好きのイラストレーター。主な著書『なんてこった!ざんねんなオリンピック物語』JTBパブリッシング、『侵略!外来いきもの図鑑もてあそばれた者たちの逆襲』PARCO出版。

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