『シンカリオンZ』のメインキャストによる鼎談を実施
2018年1月から2019年6月まで放送され、惜しまれつつも大団円を迎えた『新幹線変形ロボ シンカリオン』。今年4月からは、約2年ぶりとなるファン待望の新シリーズ『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』の放送がスタート。前シリーズから数年後の世界を舞台に、オカルトが大好きな小学5年生の新多シンと、小学5年生ながらシンカリオンZの武装強化車両「ザイライナー」の研究開発に携わっている天才・碓氷アブトら新たなキャラクターたち、そして新たなシンカリオンの活躍が描かれている。【関連記事】『新幹線変形ロボ シンカリオン』池添隆博監督が託した思い「『好き』を持っている子って素晴らしい」
群馬の「新幹線超進化研究所 横川支部」を拠点に、謎の敵・テオティの操る巨大怪物体と戦ってきたシンたちだったが、第8話からは前作と同じ「新幹線超進化研究所 大宮支部」へ引っ越し、研究員の三島ヒビキら懐かしいキャラクターも登場。6月18日(金)に放送された第11話では、前作で活躍したシンカリオン運転士の一人、清洲リュウジと、前作の敵勢力だったキトラルザスのソウギョクも登場し、ファンの期待はますます高まっている。
前シリーズから『シンカリオン』を追ってきたエキレビ!では、もちろん、今シリーズにも注目。『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』企画の第1弾として、新多シン役の津田美波と碓氷アブト役の鬼頭明里、そして、ダブル主人公の二人を支えるスマホ型変形ロボのスマットを演じる福山潤の鼎談を実施。前後編にわたって、作品やキャラクターたちの魅力などを語り合ってもらった。
『シンカリオン』の主人公は新幹線が好きなんじゃないの?
──『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』という作品や、皆さんの演じるキャラクターの第一印象を教えてください。津田 オーディションのお話をいただいたときに『シンカリオンZ』というタイトルを聞いて、「え、『シンカリオン』の続編なんだ!」と驚きました。『シンカリオン』については駅のポスターなどでもたくさん見ていたし、人気の作品だということも知っていたので気合が入りました(笑)。
シンについては、オーディションのセリフの中にもオカルト好きってことが分かるようなセリフがあったので、「あれ?『シンカリオン』の主人公は新幹線が好きなんじゃないの?」って、ちょっと驚いたのを覚えています(笑)。
本編のアフレコが始まってからは、私の中のシンのイメージもどんどん変わっていったのですが、オーディションの段階では、すごく可愛らしくて、好きなものには超特急っていう子供らしい子という印象的が強かったです。
──オカルト好きの変わった子ではなくて、たまたま、好きなものがちょっと変わったオカルトだという感覚ですか。
津田 そうですね。オカルトを好きになる子供はレアなタイプかなとは思うんですけど、「好きになったらしょうがないよね。
鬼頭 私も『シンカリオン』という作品のことは知っていたので、「すごく大きな作品の続編のオーディションだ!」と思いました。ただ、ダブル主人公ということだったので、オーディションを受けた時点では、アブトもシンカリオンZに乗るものだとばかり思っていました(笑)。
福山 あはは(笑)。
津田 そうだよね(笑)。
鬼頭 オーディションのときのセリフにも「Z合体!」とかあったので、完全にそのつもりでした……。(役に決まった後で)私は乗らないと分かったときは、ものすごくショックで(笑)。
アブト自身に関しては、オーディションの台本の時点で、クールでミステリアスな子だということは読み取れていましたが、アフレコが始まったら、もっと魅力的な子なんだと分かったし、想像したよりもっと重いものも背負った子だったんだなと思いました。
福山 僕も『シンカリオン』のことはもちろん知っていました。前作は朝にオンエアされていたから、仕事へ行く前の朝時間のお供に何回か観たこともあって。キッズ向けのアニメと思ったら、けっこうシリアスな話もあるし、大人も子供も楽しめる絶妙のストーリーラインの作品という印象がありました。
もちろん、すごくいろいろな方々に支持されている作品ということも分かっていたし、まさか、自分が『シンカリオン』に関わるとは、まったく想像してなかったです。本当にありがたい機会をいただいたと思っています。
── スマット役はオーディションだったのですか?
福山 オーディションでした。ただ、いったい何が正解かまったく分からないままオーディションに臨んだので、実はそのときのスマットと、オンエアで皆さんが聞いてくださっているスマットでは、半分は全然違っているんです。
──半分というのは、どういう意味ですか?
福山 普段のスマットのお芝居に関しては、オーディションに持っていったお芝居とほぼ同じなんです。でも、(超進化モバイルZギアにモードチェンジして)シンカリオンZに変形してシンをサポートする立場になった時のスマットに関しては、全然違うキャラクターでオーディションに望んでいて。
もっとうるさくて、ヤンキーに近い感じのお芝居でしたが、(音響監督の)三間さんから「違う。シンを導く巨人であってくれ」と言われて(笑)。今の芝居になったんです。
──スマットは、シンとアブトにとって、どのような立ち位置の存在だとイメージして演じられていますか?
福山 スマットはアブトによって作られたロボットで、本来はアブトをサポートしたかったはずなんでしょうけれど、シンカリオンZになったときは運転士をサポートするという使命に従って、(運転士の)シンをサポートすることになった。おそらく、仲間であり、友達であり、生みの親であるアブトの気持ちを誰よりも慮っているはず。
心の機微がどこまであるのかについては、まだ描かれていないですけれど、考え方は比較的大人なんじゃないかなと。
アブトは本当にシンカリオンZに乗らないんですか?
──ここまで放送されたエピソードの中で、これは特に大きなポイントだったなと思うディレクションがあれば教えてください。津田 これは別の取材などでもお話ししているのですが、音響監督の三間さんに「男は腹で怒って。女は頭で怒るんだ」とはずっと仰っていただいていて。今でも、怒りという感情を持つシーンでは課題だと思っています。
──理屈ではなくて、心で怒った芝居をみたいなことなのでしょうか?
津田 たぶん、そういったことかなと思います。
福山 それを聞いた男性としては、「へえ〜」と思いました(笑)。
──男性が男性を演じるのと、女性が男性を演じるのでは、何かの違いがあるのかもしれませんね。
津田 そうですね。男性と女性の怒り方の違いは意識したことなかったので、びっくりしました。
鬼頭 『シンカリオンZ』はオリジナルの作品なので、アフレコが始まるまで細かい設定は、台本から読み取るしかなくて。アブトは、なぜこんなにもクールなのかとか、自分の中でその原因を想像していたんです。でも、アフレコのとき、音響監督さんから「実はこの子はこういう子で、謎に対してもすごく挑んでいて……」というお話を伺って、クールという外側だけをイメージするのではなく、中身までちゃんと理解したお芝居をしなきゃと改めて思いました。
──第1話でアブトは、運転士に必要な「適合率」が足りず、シンカリオンZを動かせなかったわけですが、スタッフさんに「アブトは本当にシンカリオンに乗らないんですか?」などと聞きに行ったりしたことは?
鬼頭 あります(笑)。ショックすぎて聞きに行ったら「いや〜アブトはね〜」って言われました。でも、まだ諦めてはいません!
福山 スマットの場合は、アニメのアフレコの前に(玩具など)他の収録があって。その時に三間さんから、先ほどもお話ししたキャラクターに対する考え方は聞いていました。
アニメの収録がはじまってから感じたのは、音響演出全体に関して、『シンカリオン』とはこういう作品なんだという規範、骨格がすごくしっかりとあるということです。それは非常に心強いと同時に、それを大事にしなければとも感じました。
──具体的には、どのようなことが骨格としてあるのでしょうか?
福山 周りの大人が子供である主人公たちに、どういう風に接するべきなのかということを、ものすごく重要視しているんです。
例えば、子供たちに向かって「行くぞ!」とか言うことはあっても、絶対に命令はしない。子供に(前線で)戦わせてしまっていることに対して、大人は忸怩たる思いを持っているんです。
──大人はシンカリオンとの「適合率」が低く、原則、運転士は子供にしかなれない設定です。
福山 いわゆる絵空事ではなく、実際にそういう状況だったとしたら、大人はそういう思いを感じるべきですよね。演じる役柄とか、物語の中で描かれるかどうかとかに関係なく、作品の世界観として、ちゃんとした「大人」が存在することを最初にしっかりと叩き込まれたのは、とても大事なことだったと思います。
「あの二人、またいちゃついてんな」って(笑)
──津田さんの演じるシンという少年の魅力について、鬼頭さんと福山さんは、どのように感じているかを教えてください。福山 すごく純粋で、大変魅力的な主人公ですよね。好きなことに対してまっすぐで、とことん熱中していく。そういう魅力を第1話からすごく出していただいているし、アブトとの対比もしっかりと見えている。周りからしてみると、そこの二人のバランスがしっかりとできていることは、(演じる上で)すごくありがたいです。
津田 嬉しくて、ニヤニヤしますね(笑)。
鬼頭 本当に明るくて元気でまっすぐな子なんだなってことは、第1話の台本を読んだ時点で思っていたんですけど、津田さんの声がつくことによって、その真っ直ぐさや明るさがさらに魅力的になるんです。
第1話の収録のとき、津田さんのお芝居を聴いて「あ、シンだ!」って思ったのをよく覚えています。たぶん、シンがこういう子だからこそ、アブトもそばで支えることができているんだろうなって、すごく思いました。
──劇中で明確に描かれているわけではないですが、シンと出会ったことで、アブトの毎日は、前よりも少し楽しくなっているような気がします。
鬼頭 本当にそうだと思います。アブトにとって、誰かに(シンカリオンZを)託すことは、すごく大きなことだったはず。でも、シンは「託してもいい」と思えるくらい本当にいい子だったのかなって思います。
──次は、鬼頭さんの演じるアブトについて、津田さんと福山さんが感じている魅力を教えてください。
津田 私、自分が演じるキャラに寄っていっちゃうタイプみたいなんですけど、シンがアブトを好きになるたびに、私も明里ちゃんのことをどんどん好きになっていて(笑)。毎回、「今日の収録は、明里ちゃん、一緒かな」とか思いながらスタジオに行っています(笑)。
鬼頭 あはは(笑)。
津田 本当に、シンがどんどんアブトを好きになっていて。「アブト、アブト」ってすごく心配したりもするんですよね。アブトってクールでカッコいいし、私個人の第一印象としても、好きになりそうな子だなとは思っていたんです。小学5年生なのに、いったい何があったのか探りにいきたくなるようなミステリアスな魅力があって。謎が大好きなシン君とのシンクロも相まって、今、最初の想像以上にアブトのことが大好きになっています(笑)。
──アブトは、たまにデレますよね。
津田 そうなんですよ〜。たまに嘘をつかれるんですけど。最終的にはそれもデレに聞こえてしまっています(笑)。
──アブトのそういったギャップは、鬼頭さんが演じる上でもポイントになっていますか?
鬼頭 クールなだけかと思いきや、子供っぽいところもあったりするんですよね。シンのことをからかってみたり。
福山 シンとアブトが仲良く話している様子を見ていると、「あの二人、またいちゃついてんな」ってなりますよね(笑)。最初の方の話(第2話)でアブトはシンに対して、「捕まえてみろ」みたいに挑発をして、追いかけっこをするんですけど。あのやり取りも、(男女カップルの)「ほーら、捕まえてごらんよ」って感じに思えました(笑)。
津田&鬼頭 あはは(笑)。
福山 クールに振る舞いながらも、やっぱり子供なんだなってところも見え隠れしますよね。単に大人びているだけではなくて、おそらく自分のやりたいことと、やるべきことが合致しちゃってる子なんだろうなと。しかも、大人のような迷いもないからこそ、シンカリオンなどの研究に没入してしまうんでしょうね。説得力のある人物像だと思います。
あと、大人の目線から見ると、(シンカリオンに)選ばれた人と選ばれなかった人が二人一緒に頑張る姿は胸に来るものがあります。
──アブトがシンのことをひがんだりしないで、自分にできる役割で支える姿がいいですよね。
福山 偶然、運転士になったシンを、シンカリオンZの研究開発に携わりシンカリオンZに対して特別な思いもあるアブトが支えることによって、シンカリオンZが動くことができる。活劇のロマンの中に、ちゃんと社会の構造が形成されていて、その上で、二人の主人公が同じ目的に向かっているのがいいなと思いますし、津田さんと鬼頭さんのお芝居で、その微笑ましい関係がより魅力的に感じられている印象です。
(丸本大輔)
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番組概要
テレビ東京系6局ネット『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』
毎週金曜よる7時25分〜
公式サイト:https://www.shinkalion.com/
丸本大輔
フリーライター&編集者。瀬戸内海の因島出身、現在は東京在住。専門ジャンルは、アニメ、漫画などで、インタビューを中心に活動。「たまゆら」「終末のイゼッタ」「銀河英雄伝説DNT」ではオフィシャルライターを担当した。にじさんじ、ホロライブを中心にVTuber(バーチャルYouTuber)の取材実績も多数。
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