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『ミッドナイトスワン』が多くの人を魅了する理由――私たちにも凪沙や一果のように飛び立つ白い翼がある

『ミッドナイトスワン』が多くの人を魅了する理由――私たちにも凪沙や一果のように飛び立つ白い翼がある
(C)2020 Midnight Swan Film Partners

改めて観たい『ミッドナイトスワン』

2020年9月に公開された映画『ミッドナイトスワン』。トランスジェンダーの主人公・凪沙を演じるのが草なぎ剛であることに加え、公開前から多くの著名人が称賛の声を上げるなど注目を集めた本作は、公開後もTwitterなどのSNSでクチコミが広がったことで3カ月以上のロングラン上映を記録した。

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その人気ぶりを裏付けるように、昨年は多くの雑誌、メディアが発表する映画ランキングで軒並み上位にランクイン。さらに、今年行われた「第44回日本アカデミー賞」では草なぎが最優秀主演男優賞、そして最優秀作品賞などを獲得したほか、ヨーロッパ最大級のアジア映画祭「ウディネ・ファーイースト映画祭」では、最高栄誉賞に当たる観客賞(ゴールデン・マルベリー賞)を受賞したことも記憶に新しい。

現在はAmazon Prime Videoや、DVDでのレンタルがスタートしているにも関わらず、いまだ映画館での上映も行われていることからも、本作が人々を魅了してやまないことが伺い知れる。

『ミッドナイトスワン』が多くの人を魅了する理由――私たちにも凪沙や一果のように飛び立つ白い翼がある
(C)2020 Midnight Swan Film Partners

ではここで、まだ観ていない人のためにも、簡単にストーリーを紹介しておこう。

バレエを通して一果と心を通わせていく凪沙

故郷・広島を離れ、新宿の街でトランスジェンダーの身体と心の葛藤を抱えながら生きる凪沙(草なぎ剛)。親にはカミングアウトしておらず、母親からの電話には男の声色で応対していることから、長いこと親元に帰っていないことがわかる。
そんな凪沙の元に、ある日親戚の娘である一果(服部樹咲)が預けられることに。一果は実母のネグレクトが原因で心を閉ざした少女だった。

一つ屋根の下で共同生活を送ることになった2人だが、強制的に預かることになっただけでなく、転入の中学校で次々と問題を起こす一果に苛立つ凪沙。一方の一果は、通りかかったバレエ教室の先生・実花(真飛聖)に呼び止められたのをきっかけにバレエ教室に興味を持つ。しかし、月謝を払うお金がない一果は、そこで知り合った中学校の同級生・りん(上野鈴華)とともに違法なバイトをし、バレエ教室に通うのだった。

『ミッドナイトスワン』が多くの人を魅了する理由――私たちにも凪沙や一果のように飛び立つ白い翼がある
(C)2020 Midnight Swan Film Partners

『ミッドナイトスワン』が多くの人を魅了する理由――私たちにも凪沙や一果のように飛び立つ白い翼がある
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やがて、バレリーナとしての一果の才能を知らされた凪沙は、なんとかバレエを続けさせてあげたいと、性転換手術のために貯めていたお金を切り崩すことを決意。バレエを通して一果と心を通わせていく凪沙は、いつしか一果に対する母性とも言える感情を抱く――。

本作でトランスジェンダーという難しい役どころに挑んだ草なぎ。もともと演技力に定評のあった彼だが、本作で「第44回日本アカデミー賞」最優秀主演男優賞をはじめ、「第63回ブルーリボン賞」主演男優賞、「第30回日本映画プロフェッショナル大賞」主演男優賞など名だたる映画賞を獲得したことにより、その存在は不動のものになった。そう断言できるのは、本作での彼の演技が圧巻だったからに他ならない。どのくらい圧巻だったかと言えば、例えば筆者の本作を観ながらの印象の変化はこうだ。

映画の冒頭では、草なぎが身に付けるバレエの衣装(チュチュ)や、ロングヘアにピンヒールといった女性を表す見た目に目が止まった。しかし、それは次第にその仕草、表情に魅了されるようになり、気が付けば“草なぎ剛”と言われているその人は“凪沙”以外の何者でもなかった。それも、比較的早い段階で、である。

『ミッドナイトスワン』が多くの人を魅了する理由――私たちにも凪沙や一果のように飛び立つ白い翼がある
(C)2020 Midnight Swan Film Partners

それはまた、服部が演じる一果も同じだった。本作が女優デビューとなった服部は、バレエ経験者を求めていたオーディションでこの役を射止めた。4歳からバレエを始め、2017年と2018年の「ユースアメリカグランプリ」日本ファイナル進出、さらに「NBAジュニアバレエコンクール2018」1位を獲得という実力を持っての踊りが、観る者を納得させるのは当然と言えば当然のこと。

しかし、本作で彼女が演じるのは、実の母親に育児放棄され、心に傷を負った少女。台詞も少なく、目や表情による繊細な演技を求められるのだが、それを彼女は演技初挑戦の本作で見事に表現していた。

そんな彼女の演じる一果が、バレエと出会い、凪沙との交流を通して変わっていく様子には、文字通り「目が釘付けになった」としか言いようがない。


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