【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
両日ともに開催されたバラエティステージでは、リアルアイドルとバーチャルアイドルが共演。メインMCのミライアカリを中心に楽しく交流した

今年のTIFはリアル会場とバーチャル会場で開催

10月2日(土)と3日(日)に開催された世界最大のアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL 2021』。本来は、1日(金)から3日間開催の予定だったが、台風16号の接近により初日の全ステージが中止。2日間の開催にはなったものの総勢218組1344名のアイドルがステージに立ち、お台場の5つのステージで大勢のファンを魅了した。


【関連レビュー】初のオンライン開催でリアルとバーチャルのアイドルが共演「TIF オンライン 2020」レポ

2010年にスタートして以降、年々、規模を拡大してきた『TOKYO IDOL FESTIVAL』(通称TIF)。しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により開催中止。代わって、オンライン配信限定の『TOKYO IDOL FESTIVAL オンライン 2020』が開催された。

各ステージごとに個別のチャンネルで配信が行われた『TIFオンライン2020』では、近年注目を集めているバーチャルアイドル&バーチャルタレントがメインのステージ「バーチャルTIF」が新設。有観客開催+オンライン配信という形式で開催された『TIF2021』でも「バーチャルTIF」は実施された。

昨年に続き、大いに盛り上がった2021年の「バーチャルTIF」の模様をダイジェストでレポートする。


トップバッターはHIP-HOPガールズデュオ「KMNZ」

「バーチャルTIF」のトップバッターを務めたのは、バーチャルHIP-HOPガールズデュオ「KMNZ」(ケモノズ)

2018年6月にデビューと3年以上のキャリアを持つ2人(LITA&LIZ)は、大役のプレッシャーなど微塵も感じさせない軽やかなパフォーマンスで、可愛さ、カッコよさ、楽しさというKMNZの魅力がまるっと詰め込まれたオリジナル曲「Beat&Beast」など4曲を披露。合間のMCも自然体なテンポのよい掛け合いが続く。12月17日に開催される初のリアルワンマンライブがさらに楽しみになった。

【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
最初から最後まで自然体の魅力を放っていたKMNZ

同じくガールズデュオの「Marpril」(マープリル)は、谷田透佳、立花鈴ともに黒を基調とした衣装で登場し、イントロから切れのあるダンスを見せる。1曲目はデビュー曲「sheep in the light」。曲、歌詞、ボーカル、ダンスのすべてがステージに登場したときに感じたイメージのまま、クールでカッコいい。


しかし、曲が終わると二人の、立ち振る舞いが一変。大きなボディアクションとともに、「みなさ〜ん! 谷田! た〜ちばな〜! Marprilで〜す!」と元気に挨拶。その後もテンション高めに自己紹介とデビュー曲の解説などを行った後、デビュー2周年記念曲「キミエモーション」など3曲を披露した。

レベルの高いダンスや歌からは実力派のアーティスト感が漂うが、合間のMCでは、19歳女子の飾らない魅力が放たれる。パフォーマンスとMCが切り替わる度に生じるギャップがクセになるステージだった。

【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
Marprilは、初めて「バーチャルTIF」のステージに立てた喜びが伝わってくるようだった

いつも賑やかな「閑喫茶あにまーれ」がアイドルデビュー?

企業に所属せず個人勢として活動しているVTuberも数多く出演していた今年の「バーチャルTIF」。特に印象的だったのは、3曲のカバー曲を歌った花園セレナ
アイドルフェスにぴったりの「ダーリンダンス」と「ファンサ」ではキュートな歌声とダンスを披露し、バラードの「くらげ」では、しっとりとした歌声を響かせた。パフォーマンスだけでなく、先月、3周年記念配信で披露されたという新しい3Dモデルのクオリティの高さにも驚かされた。

【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
個人勢ながらバーチャルアイドル最高峰のステージに立った花園セレナ

初めてTIFに出演するアイドルを応援する「#初TIF応援キャンペーン」で、最多得票を集めた人気グループ「有閑喫茶あにまーれ」は、因幡はねる、宗谷いちか、日ノ隈らん、風見くく、柚原いづみ、白宮みみ、瀬島るい、飛良ひかり、大浦るかこ、月野木ちろる、湖南みあが出演。休養中の月野木ちろるを除くフルメンバーが「アイドル」としてステージに立った。



まずは10人でグループ最初のオリジナル曲「ふぁんふぁーれ!」を歌い、2曲目以降は、3組に分かれて、カバー曲を披露。最後には再び全員が揃って、もう一つのオリジナル曲「Cantare!」を歌う。
ビジュアルも性格も普段の配信内容もバラバラなメンバーは、声質もみんな個性的で、10人の歌声は自然なハーモニーとして聴こえてくる。

また、合間合間のMCでは、リーダーの因幡はねるを中心に一切の台本がない自由なトークを展開。トークも含めたエンタメのステージとして、さすがの完成度だった。

【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
外部イベントながら10人ものメンバーが揃った有閑喫茶あにまーれ

トリを務めたのはメインMCのミライアカリ

3日(日)に出演し、「電脳東京華道中」「泡沫夢幻」など4曲のオリジナル曲を披露した「朝ノ姉妹プロジェクト」の朝ノ瑠璃は、「歌系VTuber」にカテゴライズされる機会も多いが、実際にはゲームやボイスドラマなど声優としての活動機会も多く、マルチな活躍を続けてきたVTuber。先日、テレビアニメ『邪神ちゃんドロップキックX』の新キャラクター、エキュート役を決めるオーディションで、1661人の中から大役を射止めたことでも話題を集めた。

歌唱力を問われる機会も多い昨今の声優業界。「バーチャルTIF」のステージでも披露した抜群の歌唱力は、今後、声優としての活躍の機会がさらに増えていったとしても大きな武器になりそうだ。


【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
妹の朝ノ茜が体調不良により出演を取りやめたため、ソロのステージとなった朝ノ瑠璃

2019年にバーチャルな存在としては初めて「TIF」に出演。バーチャル界の「TIF」進出の嚆矢となった4人組VRアイドル「えのぐ」鈴木あんず、白藤環、日向奈央、夏目ハル)。配信を活動の中心の据えていることが多いバーチャル界の中では数少ないライブを中心とした「現場」での活動に重きを置く正統派アイドルだ。それだけに「TIF」への思い入れも強く、「TIF」と「バーチャルTIF」のダブル出演を2021年の目標に掲げていた。

「TIF」の「HOT STAGE」でトップバッターを務める予定だった10月1日(金)の公演が中止となったため、本来なら実現していたダブル出演は幻に。「バーチャルTIF」は、その悔しさをぶつけるような熱く密度の濃いステージとなった。
25分の持ち時間の中で、代表曲7曲のメドレーに、9月にCDをリリースした「BRAVER」と、同じく9月のライブで発表したばかりの最新曲「Defiant Deadman Dance」を披露。

MCでは、鈴木あんずが、いまだ特別視されがちな「バーチャル」という枠組みを壊し、「バーチャルTIF」と「TIF」の境界線も無くしたいという思いを熱弁。12月29日(水)にはグループとして最大規模の会場となる初のZeppワンマンも決まっており、とてつもなく大きな目標に向けて、4人はすでに歩み始めている。

【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
2019年から「TIF」「バーチャルTIF」「バーチャルTIF」と3連続で出演しているえのぐ

「バーチャルTIF」のライブパートの大トリを務めたのは、11月6日(土)にデビュー4周年記念ライブも控えているミライアカリ。リアルアイドルとのコラボも含むバラエティステージではメインMCを務め、高いトークスキルを発揮。持ち前の明るさや、周りにも楽しさが伝播する笑い声で「バーチャルTIF」全体の盛り上がりにも大きく貢献した。

【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演
明るく元気な笑顔でVTuber界の黎明期から活動を続けているミライアカリ。長身を活かしたスケールの大きなステージングも魅力的だった

そして、自分が主役のライブステージでは、歌動画の再生回数が300万回を越えている超人気曲「ミライトミライ」や、明るい未来への思いがこもった「ミライノセカイ」など3曲を披露。パワフルで華のあるボーカルでも「バーチャルTIF」を盛り上げた。

【TIFレポート】2021年のバーチャルTIFはミライアカリ、あにまーれら人気VTuberが多数出演

オンラインチケットは全ステージ共通のため、リアルアイドルのファンも、バーチャルアイドルのステージを気軽に観ることができた「TIF」。バーチャルタレントの認知度や人気は年々高まっているが、今年の「TIF」を通して、バーチャルアイドルという文化の広がりにどのような影響があったのか? 今後の変化を楽しみにしながら、バーチャル界を追いかけていきたい。
(丸本大輔)

【関連レビュー】『VTuber Fes Japan 2021』美男、美女、ゴリラやピーナッツも歌い踊った夢のステージ
【関連レビュー】VRアイドル「えのぐ」が新機軸のストーリーライブを開催「えのぐのこれまでが濃縮されたライブ」
【関連レビュー】約7000人が推しの初めてを見守った「にじさんじMusic Festival」徹底レポ

『TOKYO IDOL FESTIVAL 2021』公式サイト

https://official.idolfes.com/s/tif2021/


Writer

丸本大輔


フリーライター&編集者。瀬戸内海の因島出身、現在は東京在住。専門ジャンルは、アニメ、漫画などで、インタビューを中心に活動。「たまゆら」「終末のイゼッタ」「銀河英雄伝説DNT」ではオフィシャルライターを担当した。にじさんじ、ホロライブを中心にVTuber(バーチャルYouTuber)の取材実績も多数。

関連サイト
@maru_working