超高齢化社会の中で医療制度を持続可能なものとするため、これまでも様々な改革が推し進められてきた。薬漬け医療の脱却を目的に医薬の分業が進められ、医療機関から独立した調剤薬局が数多く開業してきた。
12月24日に東京商工リサーチが調剤薬局の倒産動向についてレポートを公表しているが、これによれば21年1月から11月までの「調剤薬局」の倒産は26件で過去最多を更新、前年同期比62.5%の大幅な増加となっている。このうちコロナ関連倒産は6件で全体の23.0%を占めた。04年に集計を開始してから年間の最多は17年の17件だったが、21年6月には既にこの17件を上回り年間で30件超えとなる可能性もある。全国の薬局の数は約6万店でコンビニ店の数を上回っている。倒産急増の背景をレポートは「大手チェーン店やドラッグストアの市場参入に加え、新型コロナ感染拡大で患者の受診控えも重なり、過当競争が激しさを増している」ためと分析している。
負債総額の11月までの累計は28億9600万円で過去最大、前年同期8億4600万円と比べると242.3%の大幅な増加だ。負債10億円以上の大型案件が1件発生したほか、1000万円以上5000万円未満が17件で全体の65.3%を占め、1億円以上5億円未満が5件で構成比19.2%、前年同期比150.0%の増加など中規模のケースが多発し負債額を押し上げている。
原因別では、「販売不振」が19件で前年同期と比べ171.4%の増加と急増しており、レポートは「大手チェーンとの熾烈な競争が続いていることを物語っている」としている。