2021年1月、ホンダ伝統の小型車「CIVIC(シビック)」がフルモデルチェンジを果たした。初代シビックの誕生は1972年、何と約半世紀も前のことだ。
現行シビックは11世代に該当し、今年2022年に50周年を迎える。4種類ボディ・バリエーションの最後に登場する「タイプR」は、昨年末にプロトタイプの走行テスト写真が公開され、ニュルブルクリンクにてテスト走行の模様が紹介された。歴代最後のタイプRかもしれないという噂もあり、“異端のシビック”ファンのみならず注目すべきメーカーチューンド・モデルと云える。
ところで50年以上前の1969年、ホンダのエンジン開発陣は苦悩していた。本田宗一郎は一貫してこだわってきた空冷エンジンを断念。米国排ガス規制法、マスキー法クリアを含め、水冷エンジンのメリットを認め、水冷エンジンの開発に動いたのである。最初にホンダ製水冷ユニットを積んだのは軽自動車のライフだったが、1.3リッター空冷で頓挫していた登録小型車用エンジンも水冷での開発が始まった。
新しい水冷エンジンの開発は完全な白紙からはじまった。さらに、それを積む製品であるクルマそのものに、“世界に通用するクルマに!”という命題が与えられた。
プロジェクトがスタートする。開発・設計は若手スタッフが中心になって進められ、それまで商品開発の陣頭指揮を執ってきた宗一郎は、設計から一歩引いたところに立っていたという。新型車の名前は「CIVIC」となった。