米国・タイム誌が岸田文雄総理のインタビュー記事「日本の選択」で「岸田首相は数十年の平和主義を捨て、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる」との見出しを掲載したことについて、松野博一官房長官は同日の記者会見で記者団に事実関係を聞かれ「ニューヨーク日本総領事館からタイム誌本社に対し、表題と中身に乖離があることを指摘したが、これ以上の詳細のやりとりについて述べることは差し控える」とやりとりについて答えなかった。


 タイム誌は指摘を受けての対応か、オンライン版は「かつて平和主義だった日本に世界の舞台でより積極的な役割を与えようとしている」と変更。

しかし、雑誌は当初のまま。松野長官は「タイム誌の(雑誌)表紙の表題は変更されていないと理解している」と語った。紙媒体がそのままでは大きな誤解を招き、国益を損ねることにつながりそうだ。


 林芳正外務大臣はこの件に関して同日の記者会見で「インタビューの中で岸田総理から、我が国の置かれた、厳しく複雑な安全保障環境や防衛力強化、経済政策など幅広い事項について、我が国政府の立場を説明し、結論部分では世界の分断を防ぐ歴史的な役割を担う指導者との論調になっており、記事全体としてみれば、そうした説明が反映されたものと受けとめている」とした。そのうえで「表題と中身に乖離があるということを指摘いたしましたが、詳細なやり取りについて述べることは差し控えたい」と松野長官答弁の範疇だった。


 自民党佐藤正久元外務副大臣もツイッターで「見出しは出版社が決める慣例にしても、実態とはかなりの乖離。

岸田総理も、これはこだわるところ」と発信した。(編集担当:森高龍二)