――今季の結果は残念でした。
近藤 牌の巡り合わせが厳しい場面が多かったですね。たくさん勝てた昨シーズンと比べて、極端に周りが強くなったとか、うちのチームが弱くなったとかいう事ではないと思っています。
魚谷 反省すべきところが無いとは思いませんが、それが敗退の大きな理由ではなかったと思います。終盤にガタガタッと落ちてしまって。そこでも、どうにかできることは少なかったんじゃないかな、というのが正直な感想です。
近藤 麻雀のゲーム性として、昨季の好調と今季の不調、これくらいの上振れ、下振れはある、という風に受け止めてはいますね。
魚谷 最善を尽くした結果がうまくいい方向につながらなかった、というか。麻雀の内容が悪くなった、というわけではないですね。むしろ、チーム全体としてはどんどん良くなっているという認識で。
近藤 逆に言えば、昨シーズンはその巡り合わせがすごくよかったんですよ。
――ただそんな中でも、見せ場は作られました。特に近藤さんが出場したシーズン終盤戦、3月4日の第2戦でした。チーム状況的にも後がない状況から奇跡的なツモ上がりを見せて4着から大逆転トップを勝ち取った対局は今季のMリーグ全体の「ベストバウト」と言われ、ツイッターでも近藤さんの名前がトレンド入りしたりしました。
魚谷 あの日の誠一さんは、朝から雰囲気が違いましたね。
近藤 ははははっ。
魚谷 普段は出番の日でも多少はチームメイトと談笑したりするんですけど、やっぱり大事な日だったし、2試合連続登板も最初から決まっていて。
近藤 大一番でしたから、まあ、どうにかしようと思っていましたね。
――私も生放送を見ていましたがしびれました。控室のチームメイトの様子もツイッターで動画が公開されていましたが、ものすごい盛り上がりでしたね。
魚谷 やっぱり、麻雀プロは誰しもああいう瞬間のためにつらい時期を乗り越えていると思うんです。だから「かっこいいな」「すごいな」という気持ちと、「うらやましいな」っていうのも。そういう全部の気持ちがありました。正直、今季は私はそういう瞬間は一切なかったので(苦笑)。
――結果的にセミファイナル進出は叶いませんでした。その後の試合はどういう気持ちで観ていらっしゃったんですか。
近藤 うーん、なんか今年は全部は観ませんでした。ちらちらと、ぐらいです。
――劇的な試合の反動というか、燃え尽きた感じでしたか?
近藤 やっぱりバイオリズム的にも麻雀にのめりこむ時期があれば、疲弊している時もありますから。今年はセミファイナルが始まった頃はちょうどそんな感じでしたね。自分たちのチームがそのステージにいない寂しさもありましたし。
――休息も必要だと思います。魚谷さんは?
魚谷 見ましたよ。私はもうその頃には客観視出来ていたかな。「この手は上がれるかな」とか、「最終戦は誰が出てくるかな」とか。半分ファン目線みたいな感じもありますね。
近藤 来季のための情報収集、という側面もありますからね。まあ、もちろん観たほうがいいです。私はちょっと疲れてました(笑)。
――では来季に向け、どんな情報を収集したんでしょう?
魚谷 私は、女性選手のレベルアップが目立ったな、と思っていて。特に、KADOKAWAサクラナイツの岡田紗佳さんと、渋谷ABEMASの日向藍子さんが昨シーズンと比べてすごくパワーアップしているのが、セミファイナル以降の試合を観てもすごく感じました。
近藤 今の話は同感、特に岡田さんですかね。プロキャリアが短いわけですけど、技量の上昇度がすごく高い。押し引きの切れ味が良くなっているし、短絡的な選択をせずにもう一歩踏み込んで精査している場面が増えたように思います。
魚谷 あとは、サクラナイツの堀慎吾さん。今季から参加されたんで、やっぱり打ち筋の情報が少し少なくて、対戦しても予測しづらかったので。そういうところに注目して観ていましたね。
――来季のリベンジのために研究を重ねた、と。期待しています。
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