本書では大学受験から漫才のネタづくり、トークライブの構成、芸人としての戦略立案などを支えた、ロザンのノート術が、具体例を示しながら惜しみなく披露されている。そんなロザン流のノート術を指南してもらった。
【写真】YouTubeと同じく、軽快なトークを交わすロザンの2人【5点】
そもそもノートの重要性は学生時代に気づいたという2人。「勉強が得意な人はノートの取り方もうまい。これはそのまま、社会に出ても通じるのではないか」と本書で説く。
学生からそのまま芸人になったロザンは、仕事をするときもノートを取って、何をするべきか解決策を考えながらやってきた。そのおかげで「学生の勉強と社会人の仕事は違う」という固定概念を持たずに済んだという。
しかし、一時期は多忙でノートやメモを取らなくなり、自分の記憶力を過信したことでミスをすることもあった。
「芸人になってから継続してネタは書いていたんですけど、ある程度売れだすと、ものすごく忙しくなってノートを取らない時期があったんです。当時はスマホもなかったので、メモすらも怠っていて、もったいないことをしたなと思いますね。今見返したら、絶対に面白いと思うんです」(菅)
「忙しい人ほどノートをとった方がいいんです。
抜群の記憶力と知識量で、クイズ番組でも活躍する宇治原でも、ノートがあるとないとでは、トークライブにも大きな影響があるという。
「日記のように、その日起きたことや考えたことをノートに整理するんですが、それを僕は絵として記憶しているんです。トークライブの前にノートを見返して、その中から話題をピックアップしていくんですが、1ページ毎に頭に入っている。なのでノートがないと咄嗟に思い出すのが難しい。ただしクイズに関しては、準備や勉強をしないことにしているので、それのためにノートを使うことはないですね(笑)」(宇治原)
ノートは仕事の取捨選択にも役立つという。だが、そのためには「日頃使うノートは1冊にまとめる」ことが重要だと2人は説く。
「学生時代は時間割を学校側で決めてもらっているから偏りが出ないんです。ただ社会人になると、自分で仕事を決めていく必要がある。僕の場合だとノートを1冊にまとめることで、後で見返したときに、最近はYouTubeのことばかりやっているなとか、そろそろトークライブの準備をしないといけないなとか、今やるべきことが何なのか一目瞭然で分かりやすいんです」(宇治原)
「1冊にまとめておいたほうが、仕事の配分などが分かりやすいので、見返したときに、どこが足りないのかを把握できる」(菅)
だが、なかなかできないのは、続けること。今年からノートを書こうと思って3日坊主で終わってしまった経験がある人も多いことだろう。この点を2人に聞くと、ノートを長く続けるコツは、毎日決まった時間に書くことでルーティン化することだという答えが返ってきた。
「僕は朝にノートを取ることが多いです。
「僕の場合は、現場でも出せるときはノートにメモを書くようにしていて、物理的に無理なときはスマホにメモします。ただ、それをメモで終わらせるのではなく、後でまとめてノートに取って“見える化”することで、情報を一元化していきます」(宇治原)
さらに続けるという観点からもう一つ重要なのが、ノートは人に見せるものではなく、「自分の頭の中を整理して、物事の理解を深めたり、記憶したりするために行うもの」という本来の目的を忘れないこと。複数のマーカーでカラフルにしたり、市販のシールでデコったり、デザインに凝った図表を使ったりして、ノートを書くのが億劫になった経験はないだろうか? あくまで大切なのは「自分が使えるノート作り」。2人が声を大にして言うのは「ペン1本で書く」ことの重要性だ。
「学生時代、ノートをきれいに書いたり、工夫して書いたりすることが目的になっている人を見かけたことがあります。それを見て『それが目的じゃないねん! そっちに力を注ぎ込んで、結局テストは何点やねん』って思いました(笑)。僕の経験上、何色も使って自分より成績が良かった人間をあまり見たことがない!」(宇治原)
ちなみに使うノートは、それぞれ違うタイプ。菅は方眼ノートで、宇治原は横書きの罫線ノート。
「方眼ノートは文字や図をきれいに書けますし、文字の大きさも変えやすいので、それによって大切な部分を目立たせることができます」(菅)
「僕は学生時代から先生が言ったことでポイントだなと思った部分は、斜めに書き入れることで差別化していました。いまだに自分の中で斜め書きが重要なので、それを一番目立たせることができる横書きの罫線ノートを使っています」(宇治原)
学生時代以来、ノートを取っていない人にとって、再びノートを書き始めるのは億劫かもしれない。しかしロザンの言うように、ノート1冊ペン1本を持って、日記感覚で気軽に書き始めれば、新たな発見があるかもしれない。
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