【写真】6年ぶりに映画の主演に抜擢された小出恵介の撮り下ろしカット【16点】
デビュー以来、在籍していたアミューズとの専属契約が終了したのが2018年6月。その4か月後の2018年10月、就労ビザを取得してニューヨークに渡った。
「もともとアメリカに留学したかったという夢もありましたが、思い切って何かを変えないといけないという気持ちも強かったです。当時34歳で、年齢的にもギリギリだなと思いました。40歳を過ぎてから、語学を習得したり、海外でエンタメ業界を目指したりするのは、精神的にも体力的にもハードルが高いですからね」
もともと英語力があった訳ではなかった。学生時代に学んだ英語も忘れており、ほぼゼロからのスタートだった。
「語学学校は一番下のクラスから始まりました。それでも最初は学業に専念していたので、徐々に英語を習得することができました。その後、知り合いの紹介で現地のエージェントに登録させていただいて、オーディションを受け始めました。
それまで数多くの映画・ドラマ・舞台に出演して、数多くの作品で主演も務めてきただけに、俳優としてのキャリアをリセットする葛藤もあった。
「ゼロから始めることへの不安もありましたが、同時に気持ちよさみたいなものもあって。誰にも認識されていないからこそ、むちゃくちゃ自由でしたし、どんなキャラでも構築していけるという面白さがありました。演技面でも、いろいろな発見がありました。やっぱりアメリカのコミュニケーション力はすごくて、日常会話がドラマみたいというか、喜怒哀楽がはっきりしていて、そのスピード感、エネルギー量、感情表現の緩急などは、かなりの影響を受けました」
渡米して2年ほど経った頃、世界中に新型コロナウイルス感染が拡大。それが結果的に、日本での芸能復帰のきっかけとなった。
「最初は勇んでニューヨークに行っているので孤独感みたいなものもなかったんですけど、2年ぐらい経つと日々の疲れもあって、『はて……?』みたいな。でも、まだ日本に帰るのは早いんじゃないかという葛藤もあったんですけど、そんな中でコロナ禍になって、決まっていたミュージカルの仕事も飛んでしまいました。先行きの見えない状況の中、2020年の夏に日本に帰ってきて。その時に、ちょうど事務所の所属が決まり、同じタイミングでプロデューサーの方から『女たち』(21)という映画にエキストラとして出てみないか? というお話をいただきました。復帰に関しては、世間に許してもらえるのか、受け入れてもらえるのかと不安だらけでした」
2021年7月15日から8月19日にかけて配信された『酒癖50』(ABEMA)で4年ぶりのドラマ復帰を果たした。しかも主演だった。
「酒にまつわるドラマですから、普段の役柄とは違ったプレッシャーもありましたし、観た人にどう受け取られるのか全く予想がつきませんでした。それは僕だけではなく、プロデューサーや制作陣も不安だったと思います。ただ起用してくれたのはありがたかったですし、久しぶりの連続ドラマということで楽しかったです。撮影現場も、もともと自分が長くいた場所なので、居心地の良さを感じました」
6年ぶりの主演映画となる『Bridal, my Song』は、50年以上に渡ってブライダル業界をリードしてきたブライダル運営の専業会社「BP」の今野秀尊会長の半生を映画化した作品。今野会長は本作のエグゼクティブプロデューサーも務めている。
「横浜にある施設を見学させてもらい、実際の結婚式や、社員の方々が働いているバックヤードも見させていただきました。ほとんどウェディングとは縁がなかったのですが、本物の現場で見て、聞いたことが、役作りのヒントになりました」
小出が演じるのは革新的なアイデアでブライダル業界に新風を巻き起こした今田秀(こんだしゅう)。昭和55年、平成5年、そして令和2年と、3つの時代を舞台に、今田と、彼を支える仲間たちの挑戦を描いている。
「今野会長自身が非常にエネルギッシュでポジティブ、遊び心もある方です。僕自身はどちらかというと人を引っ張るタイプではないので、人を惹きつける、人を動かしていくリーダーとは、こういう人なんだという今野会長のイメージのまま、素直に演じました」
今田を支える仲間を演じるのは、渡辺大、お笑いコンビ・ラバーガールの大水洋介、辻凪子、浅田美代子など個性あふれる俳優陣。今田の跡を継ぐ息子役は「MEN’S NON-NO」モデルの水沢林太郎が務めている。
「撮影は時間軸に沿って進んでいったので、自然と関係性も深まり、いい意味で和気あいあい感もありました。
今年2月に公演した「群盗」で舞台復帰も果たすなど、活動は順調だが、決して楽観視はしていない。
「映画、舞台、ドラマと、それぞれに関わらせていただいたのは感謝の一言に尽きますが、今後どうなっていくかも分からないと思っています。もちろん、これからも日本で頑張っていきたいですが、今もニューヨークのエージェントに籍を置いているので、チャンスがあれば海外の作品にもチャレンジしたいと思っています」
▽スタイリスト:切金実紀
ヘアメイク:神川成二
衣装:TOPS ¥22,000/TAKEO KIKUCHI(ワールド プレスインフォメーション 03-6851-4604) その他/スタイリスト私物
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