元HKT48のメンバーであり、2期生のエースと呼ばれた田島芽瑠朝長美桜。現在、田島芽瑠は女優への道へ、朝長美桜は自身のブランド『Amy』のプロデューサーとして活躍している。
かつて「めるみお」と呼ばれ並んで立っていた2人が、今年9月23日に、「めるみお10周年祭り」というイベントを開催したのだ。2人は一体どんなステージを作り上げたのか…。ファン待望の伝説の1日をレポートする。(前後編の後編)

【前編はこちら】元HKT48田島芽瑠&朝長美桜が10周年イベントで変わらぬ絆、2人揃えばあの頃が蘇る

【写真】「めるみお10周年祭り」を開催した田島芽瑠と朝長美桜【9点】

第1部のメインはトークだったが、第2部の目玉商品は「歌」だった。

リクエストカラオケと題されたように、事前にTwitterなどで寄せられたファンのリクエストにお応えする形でふたりがカラオケを熱唱する、という趣向だったのだが、コーナーがスタートする前に会場が暗転し、劇場公演やコンサートのはじまりを告げる『overture』まで流れる凝りよう。もはや、これはカラオケの域を超えている!

観客も心得たもので、ふたりがアイドル時代に実際、使っていた応援アイテムをみんな持参していた。ペンライト、タオル、団扇、法被、Tシャツ……そんな光景をステージから見たら、ふたりだって自然とアイドルのスイッチが入ってしまう。

正式な共演は2020年1月の朝長美桜卒業公演から2年8カ月ぶり。今年春の田島芽瑠卒業公演に朝長美桜がサプライズ出演しているので、一緒に歌うのはそれ以来ということになる。あくまでもカラオケコーナーなので、がっつりと振り入れをしたわけではないが(途中の3曲はイントロが流れた時点で本人たちがなにを歌うのかがわかるシークレットコーナーだったので、事前にレッスンすることすらできなかった)、ピンスポットが当たった瞬間、背中合わせで立っているふたりの姿を見ただけで鳥肌が立ったし、上半身だけで軽く振りつけを再現しただけで、見事なまでにアイドルオーラが漏れだしてくるのには感心してしまった。これぞ10年間の重み、である!

最後のほうは息があがってしまって、もう自分のパートしか歌わない、という荒業でなんとか乗り切ったが、当時のMVをバックに歌う姿はエモさしかなかった。ファンからのリクエストということで楽曲も、コンサートやライブで1回しか歌っていないけれど、めちゃくちゃ印象に残っているものばかり、という絶妙なチョイス。
まさにめるみおとファンが一緒になって作った「忘れられない1日」となった。

AKB48グループではかつて選抜総選挙というビッグイベントがあり、メンバーとファンがひとつになって闘う、という伝統があったため、単なるアイドルとファンの関係性を超えた「戦友感」や「同志感」が構築されていった。それが10周年を迎えたこの日にもちゃんと健在だったことをめるみおは喜び、新しい「絆」ができたことを実感していた。

たぶん、まだアイドルを続けていたら、これはきっと味わえなかった感覚だったのだと思う。卒業後にフェードアウトしていったとしても、おそらくそうだったのだろう。ちゃんとセカンドキャリアを歩んでいるからこその胸アツ展開だったのだ。

朝長美桜はアイドル時代から続けてきたアクセサリー作りをさらに発展させて『Amy』というブランドを立ち上げた。はじめての経験ばかりで最初は試行錯誤の連続だったが、さまざまな商業施設でPOPUPストアを展開すると、たくさんのお客さんが集まり、いまでは2度目、3度目のオファーが届くようになった。ブランド立ち上げから2年、地道な活動と絶対的な実績で、着実に『Amy』は大きくなっている。

10月1日から10月10日までルミネエスト新宿にて、AmyのPOPUPストアが開催される。昨年秋にはじめて同所で開催してから、早くも3回目のPOPUP。朝長美桜は連日、プロデューサーとして店頭に立つ予定だ。
これが今の彼女の「本職」。こちらがしっかりしているからこそ、めるみお10周年のステージを心から楽しむことができたのだ。

一方の田島芽瑠は今年4月にHKT48を卒業すると、その翌日の日付で芸能プロダクション『Mama&Son』へ移籍することを発表。その翌週からは早くもテレビ東京系のドラマ『吉祥寺ルーザーズ』に出演。まったく空白期間なしにアイドルから女優に転身し、毎週、テレビに登場するという48グループ史上でも稀にみる理想的な展開。小学生でHKT48に加入した田島芽瑠は10年経ってもまだ22歳の若さ。これも大きな武器のひとつである。

10月7日から16日まで品川プリンスホテル・クラブeXにて上演される舞台『ドラマチックハイスクール』への出演が決まっているほか、12月には福岡で上演される予定の『山笠キックボーダーズ』に出演することも決定。こちらの会場はかつてHKT48が公演で使用していた西鉄ホール。まさに「凱旋公演」ということになる。

9月30日にはHKT48劇場でOGたちも集合する2期生たちの同窓会イベントが開催されるのだが(お披露目の日が9月23日で、初公演の日が9月30日だったのだ)、先ほど挙げた仕事のスケジュールと重なってしまうため、めるみおのふたりは残念ながらそちらに出演することはできない。そういう意味でも9月23日にイベントができて本当によかった。


イベントを終えた田島芽瑠は満足そうな表情で「また、めるみおで一緒にイベントがやりたい!」と言った。「まったく違う道を進んでいるのに、こうやって共演できるのは幸せなことだなって。それにお客さんもみんな知っている顔ばかりで、みなさんが集まってくれるのもありがたかったし、顔を見ているだけでも懐かしかった!」(田島芽瑠)「HKT48時代、握手会のレーンがめるちゃんの隣になることが多かったから、お互いのファンの方の顔までよく覚えているんですよ(笑)。ファンの方同士も仲がいいみたいだし、次はいつになるかわからないけど、ぜひイベントをやりたいです!」(朝長美桜)。

3年後になるのか、5年後になるのかわからないが、きっと、いつになっても2人が並べば、そこには「あのころのめるみお」の空気感が即座に復活するに違いない。アイドルとして理想的なセカンドキャリアを邁進しつづけているふたりの「近未来」は追い続けて損はないと思う。
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