──昨年7月に芸能活動再開を発表して以降、ツアーやライブを開催し、そして今回はアルバムをリリースと非常に順調に活動が進んでるように見えます。渡辺さん自身も今の活動に手応えを感じているのではないでしょうか?
渡辺 “手応え”というのはちょっと分からないんですけど、本当に毎日楽しく過ごせているなと思いますね。
──お仕事が楽しい、と。
渡辺 はい。嫌なこともなく毎日お仕事をさせていただいて、楽しい日々を送っています(笑)。
──充実しているんですね! 結構忙しい毎日なのでは?
渡辺 最近はもうすぐアルバムリリースが控えているので撮影や取材も多いんですけど、でも“忙しい”とは思っていませんね。“普通”くらいかな?
──“ちょうどいい”くらいの忙しさでしょうか?
渡辺 そう、それです! まさに今“ちょうどいい”感じです(笑)。
──ではまず、昨年のライブ活動から振り返っていきたいのですが、渡辺さんは9月に「1st LIVE TOUR 2018~Milky Landだよね~」を東京と大阪で行い、12月には「Christmas Premium Live 2018」を開催しました。久々にステージに立って、率直な感想は?
渡辺 一番最初のライブは1人になってから初めてのステージだったので、「大丈夫かな」とか「お客さんはどんな反応をしてくれるんだろう」って不安やドキドキはやっぱりありました。でもいざ始まってみるとすごくたくさんの方が温かく迎えてくださったので、すぐに安心しましたね。本当にうれしかったです!
──どちらのライブも、渡辺さんらしさがたっぷり詰まったステージだったように思います。
渡辺 1人だからこそできることをやりたかったんです。なので、私が「こうしたい」という思いをスタッフのみなさんに伝えて、ゼロから一緒に作り上げたという感じですね。ダンスにしても衣装にしても自分の好きなテイストを伝えて、自己プロデュースという形でステージを作れるというのはとても楽しいです。
──特にこだわった部分は、どういうところですか?
渡辺 全部です! でも特に衣装に関しては譲れなかった部分ですね。
──ライブはいずれも成功し、いろんな人から感想ももらったと思うのですが、特に印象に残っている言葉などありますか?
渡辺 クリスマスライブは『Love story』という私が作詞した曲から始まったんですけど、観に来てくれた上西恵ちゃん(元NMB48)が「あのオープニングの演出、めっちゃ好き。泣きそうになった」って言ってくれたんですよ。それはすごくうれしかったです!
──かつての仲間の心を動かすことができた、というのは自信にもなったと思います。
渡辺 そうですね。あとは昔からお仕事でお世話になっていた方々からもいろんな感想をいただきました。「ダンスにびっくりしました」という声もありましたね。
──約2年の充電期間はいろいろなことがあったと聞いていますが、復活ライブが成功したことで、「2年間我慢して乗り越えて良かった」と感じたのでは?
渡辺 う~ん……、“我慢”という言葉とはちょっとニュアンスが違っていて。その期間があったからこそ今の私があるんですよね。
──模索した結果、渡辺さんの中で何か発見や心境の変化があったのでしょうか?
渡辺 グループ時代は自分の将来がふわっとしていて、「何がゴールなんだろう?」って思っていたんですよ。でも今は「ゴールはないんだ」と思うようになったんです。そして、今の自分をこのまま続けることが目標というか私の生きがいだと思っています。
──“渡辺美優紀”をこれからもずっと続けていく、と。
渡辺 はい。ファンの方にとって変わらない存在でいたいからライブ活動は続けていきたいし、それが自分の役目かな、って。ただ、それに対して今“めっちゃ意気込んでいる”という感じではないんですよね。ずっと続いていくものだからこそ、無理をせず、自分のペースで続けていこうと思っています。
──今の言葉を聞いて、2年間を経たことで肩の力が抜けて、どんどん自然体に近付いているような印象を受けました。
渡辺 そうなんです! 無理をしないから毎日が楽しいし、さっき言ったように今のペースって本当に「ちょうどいい」んですよね(笑)。
──ところで、充電期間には海外に語学留学もされたそうですね? そのことについて、詳しく聞かせていただけますか?
渡辺 お休みしている期間は自分が何をどうしたらいいのか分からなくて、でも何もしないままだと時間がもったいないと思ったので、勉強する時間に充てようと思ってカナダのトロントに行ってきました。ただ、ちょうど行こうと決めた直後に今の事務所の方との出会いがあって。3カ月トロントに行く予定だったのが、「3カ月も行くの!? それだと何の打ち合わせもできないよ!」と言われてしまって、急遽1カ月に変更しました(笑)。
──その1カ月間、海外での暮らしはいかがでしたか?
渡辺 何も分からない土地に1人で飛び込んでいったので、最初はすごく心細かったです。家も自分でAirbnbで借りたんですよ。でも鍵の受け渡しも当然英語じゃないですか。空港からそこへ向かうときのタクシーとか、自分の言葉がちゃんと通じるのか不安でしたね。
──コミュニケーションは取れましたか?
渡辺 もともと英語は勉強していたので、初歩的なコミュニケーションは取れました。あとは現地でしっかり習得しようと思って、学校に通って友達を作って、日常的に遊ぶことでどんどん英語力を高めようと。
──1カ月間、ずっとトロントで過ごされていたんですか?
渡辺 トロントからだと2時間でニューヨーク、5時間でロサンゼルスに行けるんですよ。だから学校が休みの土日はロスや、他にはラスベガスやメキシコにも行きましたね。
──いろんな場所に行って、発見などはありましたか?
渡辺 “その場所で何かを得た”というより、1人で宿を予約したり1人で行って帰ってくるという行為自体がすごく自信になりました。
──「私1人でできるんだ!」という自信が付いた、と。
渡辺 はい。カナダに行ったことで成長できたと思いますね。やろうと思えば誰だって何だってできると思います。後輩からいろいろ相談されたりするんですけど、自分がそういう経験をしたからこそ「不安にならなくていいよ」と本心で言えるようになりました。
──カナダ留学は、渡辺さんにとってとても良い経験になったわけですね!
渡辺 もちろん大変なこともたくさんあったんですけど、厳しさと同時に優しさも経験しました。何かあっても絶対助けてくれる人はいる、というのは思いましたね。
──あと、活動再開後にも海外に行かれていたんですよね?
渡辺 はい。ダンスや音楽のレッスンで韓国に行っていました。
──もしかして渡辺さんは韓国語もマスターを……?
渡辺 いや、さすがに韓国語は難しいですねぇ。読めないし会話も通じないので、そこは大変だったんですけど。でもレッスンの先生がすごく優しい方だったんです。レッスンとは関係のない時間にご飯に連れていってくれたり、おいしいご飯屋さんを教えてくれたり、いろんなお話をしましたね。
──韓国でも出会いに恵まれたんですね!
渡辺 はい! 人とのつながりって、生きていく上ですごく心強いなって思います!
──人とのつながりという意味では、4月3日にリリースされる渡辺さんのオリジナルアルバム『17%』にはつんく♂さんやいきものがかり・水野良樹さんが手掛けた楽曲が収録されていて、こちらでも“人とのつながり”を感じました。
渡辺 そうですね。つんく♂さんについてはサプライズでした。
──ということは、渡辺さんがお願いしたわけではなく?
渡辺 はい。事務所の社長さんがつんく♂さんと長年交流があり、私がハロー!プロジェクトが大好きだということもあって、サプライズで提供していただきました!
──そもそも渡辺さんはモーニング娘。に憧れてダンスを始めたんですよね? それが巡り巡ってこうしてつんく♂さんの楽曲を歌えるなんて、素敵な縁ですね。
渡辺 はい! 曲はすでにライブでも披露しているんですけど、すごく盛り上がるんですよ。
──ちなみに先ほど、ライブに関しては自分の意向を伝えて作り上げたとおっしゃっていましたが、アルバムに関してもコンセプトなどのこだわりを伝えたりされましたか?
渡辺 いえ、今回はコンセプトというより、ファンの方が聴ける音源がなかったので「早く届けたい!」という気持ちで、すでにある楽曲を1枚にまとめたというアルバムになっています。どれもいい曲ばかりだし、みなさんに愛される1枚になったらいいなと思っていますね。
──渡辺さんが初めて作詞を担当した『Love story』も収録されていますね。
渡辺 はい、「まさか私が作詞をする日が来るなんて」って気持ちです(笑)。もともとアルバムに収録しようと思って歌詞を書いたわけではなく、あくまでライブで披露するための曲として歌詞を書いたんです。
──作詞に挑戦したい、という思いはずっとあったのですか?
渡辺 いえ、そういうわけではなくて。でも文章を書くのは好きだし、伝えたいことはあったので、結構すぐに言葉は思い浮かんだんですよ。
──歌詞は短期間で書けた、と。
渡辺 はい。「これだ!」というのがパッと浮かびましたね。
──渡辺さんの中に眠っていた作詞家の才能が目覚めた……?
渡辺 いやいや、そういうんじゃないんですよ~! 今回は伝えたいことがあったからすぐ書けただけで、それがなくなったらきっと難しいと思います(笑)。
──あと、アルバムタイトルの『17%』も気になるのですが、ここに込められた意味は?
渡辺 「私はまだ17%」とか、「まだみんな、私のことを17%しか知らない」みたいな意味かな……?
──現時点でまだ17%なんですか!? だとすると、渡辺さんにはまだまだ見せていない面があると?
渡辺 まぁ、詳しいことは想像してもらえたら(笑)。
──ファンはきっと期待が膨らんでいると思います。
渡辺 ふふふ、期待していただけたらうれしいです(笑)。
──そして、このアルバムを引っさげての全国ツアー「MIYUKI WATANABE TOUR 2019 “17%”」が4月に開催されます。今回は今までと違ってホールツアーになりますね。
渡辺 はい。去年はライブハウスでライブを行ったんですけど、今回はホールでやりたいというこだわりをスタッフの方にお伝えして、このような形になりました。
──なぜライブハウスではなくホールに?
渡辺 どちらが良い悪いとか会場の規模が大きい小さいとか、そういうことではなくて、ホールの方が私に合っていると思ったからなんです。ライブハウスって、バンドや楽器が似合う場所だと思うんですよ。でも私の場合は衣装だったりステージの可愛さを伝えたいし、それができるのはライブハウスよりホールが向いていると思ったので、ホールにこだわりました。
──なるほど。となると、ファンにとってはより一層渡辺さんの魅力が楽しめるライブになりそうですね! 特に見どころというとどういうところになりますか?
渡辺 今までのライブとは違ったサプライズがあります! 「えっ!?」って思うはず! ……これ以上は言えません(笑)。
──サプライズ、ですか。ちなみに何系のサプライズなのか、ヒントだけでも……。
渡辺 秘密です(笑)。でも「これは盛り上がるだろうな~」と思っているので、期待していてください! ライブは愛知・東京・大阪の3カ所で開催しますけど、すべての公演に来てくださる方でももちろん楽しめるはずです!
──そして最後に、渡辺さんの今後の活動について聞かせてください。現時点では歌手活動が軸になっていますよね。
渡辺 そうですね。ライブは楽しいし、ダンスや歌は大好きなので、今後も軸として続けていきたいと思っています。そして、バラエティや雑誌のお仕事もどんどんやっていくつもりです。なので、今まで通りだと思ってもらえれば(笑)。
──ソロになったことで、NMB48時代はできなかった新たなことにチャレンジもできると思います。何か思い描いていることはありますか?
渡辺 音楽に関しては、自分の好きなテイストのダンスや歌を自分で考えて自己プロデュースをしながら活動していきたいですね。プロデュースって、すごく楽しいので! 実は、誰かをプロデュースしたいという思いもあるんですよ。むしろ私、そっちの方が向いているんじゃないかって思うくらい(笑)。
──おお! では今後、渡辺さんが新人をプロデュースしてデビューさせるプロジェクトが立ち上がるかもしれないですね!
渡辺 いいですね~! ガールズグループのプロデュースとか、きっと楽しそう! 新しいことや楽しいことに、これからどんどん挑戦していきたいです!
わたなべ・みゆき
1993年9月19日生まれ、奈良県出身。NMB48第1期オーディションに合格し活動を開始。NMB48のデビューシングル『絶滅黒髪少女』でセンターを務める。2016年8月にNMB48を卒業。2018年9月、東京・大阪でライブを開催、約2年ぶりのステージ復帰を果たした。

ファーストソロアルバム
『17%』 好評発売中
つんく♂作詞・作曲の『夕暮れセンチメンタル』、水野良樹(いきものがかり)作曲の『りんご麗し 実りの季節』、渡辺自身が初の作詞に挑戦した『Love story』など全10曲を収録。Blu-ray/DVDには1stライブの模様も。
「MIYUKI WATANABE TOUR 2019 “17%”」
4月12日(金)名古屋・ビレッジホール 開場18:00/開演19:00
4月21日(日)東京・昭和女子大学人見記念講堂 開場16:00/開演17:00
4月28日(日)大阪・オリックス劇場 開場16:00/開演17:00