【写真】映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』
〇ストーリー
ホイットニー・ヒューストンはいかにスターダムを駆け上がり、時代を熱狂させた<グレイテストソング>はいかにして生まれたのか。すべての壁を超え、「歌いたい曲を自分らしく歌う」ことに命を燃やした先に、彼女は何を見たのか……。
〇おすすめポイント
日本でも有名な『ボディガード』(1992)の主題歌『I Will Always Love You』は全米シングル・チャートで14週連続No.1を記録し、同作のサウンドトラックは最も売れたサウンドトラックとされているほど。他にもギネス記録やグラミー賞6冠など、まさに伝説的歌姫ホイットニー・ヒューストンの伝記映画が完成した。
実はホイットニーの伝記映画企画というのは、今までにも何度も企画されてきてはいたが、なかなか実現に至らない大きな問題があった。それは歌声を再現できる女優や歌手がいないという問題だった。アメリカのオーディション番組の「アメリカン・アイドル」や「The Voice」といったオーディション番組でもホイットニーの曲を歌う参加者は多数いるものの、毎回と言っていいほどに酷評されてしまう。それだけホイットニーの歌声に近づくことができないのだ。
『リスペクト』(2021)でアレサ・フランクリンをジェニファー・ハドソンや『ロケットマン』(2019)でエルトン・ジョンをタロン・エガートンが見事に演じきったのは例外中の例外で、歌手の伝記映画で常にぶつかるのが歌声の再現問題。
だからといって、決してナオミ・アッキーが歌えないわけではない。ポッドキャスト版のミュージカルドラマ『CUPID』では、見事な歌声を披露するなど、女優でありながら歌手としても優れているのは事実だし、今作のプロデューサーでもあり、ホイットニーのサポーター関係にもあったクライヴ・デイヴィスも認めた歌声だ。
実際にホイットニーの音源が存在しない曲『Guide Me, O My Great Jehovah』や教会のシーンなどは、アッキー自身が歌っている。違和感のない歌声でありながら、それでもホイットニーの音源を使用しているのは、唯一無二の存在というリスペクトがあるからだ。アーティストの伝記映画にはリスペクトがなくては成り立たないのだ。
また、監督のケイシー・レモンズがホイットニーをどう描くかにも注目してもらいたい。ケイシーといえば、長編監督デビュー作『プレイヤー/死の祈り』(1997)から『ハリエット』(2019)、ドラマシリーズ「セルフメイドウーマン~マダム・C.J.ウォーカーの場合~」、「Women of the Movement」までを観てきて感じられるのは、一貫して社会の中で強く生きた女性像や黒人にとってのキリスト教など、黒人社会の中のドラマを繊細に描き続けてきた監督ということだ。それと同時に作風を見てわかるのが、ミュージカル好きということ。
そのテイストはもちろん健在で、今作もケイシーにしかできない見事な演出によって、究極のエンターテイメントに仕上がっている!!
〇作品情報
原題:I WANNA DANCE WITH SOMEBODY
監督:ケイシー・レモンズ
脚本:アンソニー・マクカーテン
出演:ナオミ・アッキー、スタンリー・トゥッチ、アシュトン・サンダース、タマラ・チュニーほか
公式サイト:https://www.whitney-movie.jp/
12月23日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国の映画館にて公開!
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