【前編はこちらから】チャンカワイが語るコンプレックスとの向き合い方「芸人の世界でも誰もがモテるわけじゃなかった」
色んな番組やロケでの体験が、僕のコンプレックスを解消したり、人生を変えてくれたりしたんですが、やっぱり一番大きかったのは、番組の企画で「婚活バスツアー」に行ったことです。
当時は、お付き合いしていた女性芸人さんと別れて2年経ったくらいで。今でも「チャンカワイ」でネット検索するとその人の名前が出るくらいですから、ツアーでも参加者同士のトークでまずそのイジりが飛んでくる。そんな雰囲気やから僕も「これはアカンわ、カップル成立なんかするわけない」と思いながらトイレに立ったんです。
そこでトイレを出たら今の奥さんが立っていて、僕をイジるノリを止められなかったことを「ごめんなさい」って言ってくれて。一気に胸が熱くなりました。ただ奥さんは、番組には顔出しNGで、僕がアタックしてもバラエティとして成立しないかもしれない。それでもスタッフさんがその場でもっと上のスタッフにも確認して、「責任取りますから」と背中を押してくれました。僕も、ある意味テレビじゃなければうまく喋れてなかったかもしれない。全部が上手くいきました。
当時の僕が34歳で、奥さんが38歳になる年でした。だから出会った瞬間に結婚を意識していて、その後に恋愛が出来たのは、すごくお得な感じでした。
バネが弾けるみたいなもので、辛かった時代が長ければ長いほど、今の幸せがすごく大きい気がするんです。もし結婚できない悩みを抱えている方がいても、今の状況がお笑いで言うところの「フリ」だと思って頑張っていただければ、最後にちゃんと伏線回収して幸せになれる。晩婚って、実はめちゃめちゃオススメです。僕たち夫婦は今はもう9年近く一緒にいますけど、すごく仲がいいと思います。
結婚後のロケでも、ものすごく思い出深いものがあります。いわゆる山伏の方たちが山にこもって厳しい修行をする「修験道」のロケでした。引率の方が持つロープを握らされて、険しい崖を登っていくんですけど、足を踏み外したら死んでしまうような崖の途中で立ち止まって、大声で叫んだりするんです。僕からしたら、その日初めて会ったおじさんに、命預けているわけですよ。
修行の目的は村の繁栄を願うためで、昔からその山は村の男たちしか入れなかったそうです。でも実は裏テーマがあった。生と死を感じる状況になった時、「何が大切か」ということがめちゃくちゃ研ぎ澄まされる。
この修験道にしても、本の1つのテーマである神社仏閣にしても、霊的なことを絶対信じてほしい、というわけではないんです。僕は神様とこういうお付き合いをしてきて、いいこともたくさんありましたよ、というか。全く信じられないからと拒絶していたら、見えなかったり出会えなかったりすることやモノもあるじゃないですか。
ただ僕自身は、世の中には不思議なことはあると思っています。本の発売イベントをしたのが、以前は上京したての僕と相方のえとう窓口さんが、一緒にアルバイトした居酒屋さんのあった場所だったんです。そこで知り合った同じ三重県出身のアルバイトの女の子が、僕が風邪をひいたときにわざわざ住所を調べて、看病しておじやまで作ってくれたことがありまして。「元気になりました。ありがとうございます」って言ったら、その子は「私、えとうさんのことが大好きなんだけど、相談にのってくれない?」って。
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