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『トムとジェリー』といえば1940年に誕生し、80年以上に渡り世代を超えて愛されてきた名作アニメーションだ。7回のアカデミー賞に輝いたネコのトムとネズミのジェリーの名コンビが巻き起こすドタバタ劇は痛快で、大人も子ども楽しめる名作といえる。
映画『トムとジェリー』で新人スタッフ・ケイラを演じた女優のクロエ・グレース・モレッツは、公式インタビューでハイブリット映画の魅力について、こう答えている。
「ストーリーの舞台はニューヨークだし、雰囲気も街並みもニューヨークそのものなのに、周囲を見回すと、飼い主と散歩中の犬や料理の皿に乗った魚がどれもアニメーション。つまり、現実とフィクションが同居しているの。そういう現実離れした感覚が気に入ったわ」
また、ケイラの上司・テレンスを演じたマイケル・ペーニャも、「現実世界でふたりが動いてるんだ。それって最高だよね!」と、実写とアニメが融合することで作品の幅が広がったこと絶賛している。
ハイブリッドアニメーションは、我々が馴染みのある実写の世界で、アニメのトムとジェリーが縦横無尽に駆け回る姿を観ることができるなど、現実世界とファンタジーを両方楽しめることが最大の魅力だといえるだろう。
しかし既存のアニメ作品の世界観を壊さずに現実世界と二次元のキャラクターをリンクさせるのは容易ではない。
映画『トムとジェリー』では、違和感のない世界観をつくるために総勢29人のアニメーションチーム結成し、なんと2万5000点以上にのぼる原画を製作。さらには初代のアニメーターが確立したギャグの間合いを尊重し、オリジナルのテレビシリーズ100話以上のエピソードを参考に徹底的に研究したという。
また特殊効果と視覚効果のチームは、撮影用のダミーとして“二次元キャラクターの立体モデル”を用意し、リアル感にこだわった。
二次元キャラクターを相手にする場合、通常であればテニスボールや小物をキャラクターに見立てて俳優は演技をしなければならない。だが今回はリアルに作られたダミーが相手になったおかげで、俳優陣は演技に力が入り、より臨場感のある場面を撮影することに成功したそうだ。
このように最新の技術を駆使しながら、制作陣と俳優陣が並々ならぬ努力をした結果、実写とアニメーションが最大限に活かされた『トムとジェリー』が誕生したのだろう。
多くの技術を駆使して実現されたトムとジェリーの実写映画出演だが、実は1945年に上映されたミュージカル映画『錨を上げて』でもトムとジェリーが実在する俳優と共演を果たしているのはご存知だろうか。
共演したのは陽気な水兵に扮したジーン・ケリー。同作ではアニメーションの映像をケリーの動きに合わせて合成するかたちで共演を果たし、見事なダンスを披露している。映画界に新たな歴史を刻みこんだ同作は、今なおミュージカル映画の傑作としてファンから愛されている。
また、実写とアニメの融合は『トムとジェリー』だけでなく他にも多く手掛けられている。2008年に日本で公開された『魔法にかけられて』はその代表作といえるだろう。
アニメの世界に住むプリンセス・ジゼル(エイミー・アダムス)が、婚約者エドワード王子の継母の企みによって現代のニューヨークに追放されてしまうというストーリー。本編では実写パートとアニメパートが次々とシフトし、それに合わせてキャラクターの容姿も変化する斬新さが注目を集めた。これまでにない表現方法に挑戦した同作は、全世界興収3億5000万ドルの記録を残している。
また2023年冬にディズニープラス(Disney+)で独占配信が予定されている『ワンダーハッチ ―空飛ぶ竜の島―』は日本初の完全オリジナルファンタジー。同じく実写とアニメで “現実世界”と“ドラゴンが棲む世界”を表現するとあって配信前から話題となっている。
同作では女優の中島セナと俳優の奥平大兼がW主演を務め、新田真剣佑も出演。制作陣も豪華で、作品全体の監督は映画『東京喰種 トーキョーグール』の萩原健太郎、アニメーション監督は『劇場版ONE PIECE STAMPEDE』や『映画 プリキュアオール スターズDX1~3』などを担当した大塚隆史が務める。さらにキャラクター原案・コンセプトアートは『約束のネバーランド』の出水ぽすかという早々たる顔ぶれ。新しい物語を日本から世界へ発信する予定である。
これからも続々と登場するであろうハイブリット映画。実写とアニメの織りなす魅力的な世界をのぞいてみてはいかがだろうか。
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