【前編はこちら】「どの面下げて…」 世間からの批判を覚悟した渡部建がそれでも本を出した理由
【写真】『超一流の会話力』を出版した渡部建
【CASE 1 : 彼氏に何を相談しても、ひろゆきの真似をして論破してきます。正直ウザいのですが、どうすればいいでしょうか?(28歳・女性)】
渡部 これは質問者の女性がどうしてほしいかによっても違いますね。
──たとえば会話の中で上司の愚痴が出るとします。こっちは話を聞いてもらいたいだけなのに、「そんな会社は辞めちまえ」とか極論を言ってくるケース。
渡部 それは一番ダメなパターンです。男性がやりがちだし、特に頭が切れる人はなにかしら建設的なアドバイスを送ろうとします。それが余計なお世話だという話なんです。質問にあるような状況だったら、別に解決策なんて言わなくていいんですよ。
──共感と同感とは?
渡部 「そっかー。わかるよ。大変だったね」というのが共感。相手の感情に寄り添ってあげるわけです。一方で「本当にクソだよな、その上司は」などと一緒に悪口を言うのは同感。自分が思ってもいない悪口を一緒に言う必要はないんです。
──それで結局、ウザい彼氏にそのことを理解させるには?
渡部 僕の『超一流の会話術』を差し出してください(笑)。というのは半分冗談ですけど、親しい人だったら口で言うしかないでしょうね。「違うのよ。別に私は解決してほしいわけじゃなくて、話を聞いてほしいだけなの」って。
──男性側からするとイライラしますけどね。「お前、解決したくないなら相談なんかするなよ!」って。
渡部 仕方ないんですよ、それは。男女では脳の作りが違うわけですから。なんだったら、違う動物だという認識でいたほうがいいんです。
──生産性がないように感じても、とにかく寄り添うのが吉なわけですね。
渡部 はい。アドバイスしないって正直しんどいんです。僕も言いたくなりますから。でも彼女や奥さんに対して「徳を積む」イメージで接すると気が楽になりますよ。今後、相手になにかを頼むとき、有利に働くはずです。相槌を打ちながらポイントを貯めるイメージ……要はポイ活と同じです。
【CASE 2 : 上司とのコミュニケーションがうまくいきません。どう距離を詰めればいいのでしょうか?(32歳・男性)】
渡部 「上司が私の意見を聞いてくれません」とか「部下が自分の意見を聞かない」というのは非常に普遍的な悩み。
──具体的な方法は?
渡部 あなたが上司で部下と距離を詰めたかったら、「こういうアプリ流行っているんだって?」とか「娘のプレゼントにこんなのはどうかな?」とか。相手にアドバイスを求めると、不思議なことに相手は答えているうちにだんだん好意的になってくるんですね。だから上司と距離を詰めたかったら、飲み会とかで隣の席に座って質問攻めにする。とにかくそうやって信頼ポイントを貯めていくんですよ。
──共通の趣味などが皆無な場合、会話の糸口が掴めないことも想定できます。
渡部 同じ会社だったら、仕事という共通の話題がいくらでもあるじゃないですか。部署が違って仕事がまるで被らないのだったら、「このへんでお薦めのランチありますか?」とか「父の日に喜ばれるプレゼントありますかね?」とかでOK。それで後日「おかげさまで父もプレゼントをすごく喜んでいました」とか報告したら、上司も一発であなたのことを好きになっちゃいますよ。
──相手の懐に飛び込んで、意見を引き出すという行為が大事なわけですね。
渡部 そうです。
【CASE 3 : すぐマウントを取りたがる“マウント部長”にチーム全員が辟易としています。たしなめる方法はありますか?(36歳・男性)】
渡部 マウントする人というのは往々にして言うことを聞かないんですよ。聞く耳を持たない。これも基本ラインとしては信頼ポイントを貯めて意見するしかないんですけど、ちょっと高度な方法としては“いじる”という作戦がありますね。
──どういうことでしょうか?
渡部 マウント部長の偏屈ぶりを笑いにしちゃうんです。ただしこの作戦は非常にリスキーなので、あらかじめチーム全員に「俺がいじったら笑ってくれ」と周知徹底させる。人間って嫌なことを言われても、周りが笑っていると怒れないものなんですよ。そして、あとからさりげなく「あの場ではあんなことを言ってしまいましたが、部長のように強い意見を言ってくれる方がいるから、このチームは推進しているんですよ」とか、さりげなくフォローする。それでマウント部長が抱えたモヤモヤした気持ちも解消されるはずです。
【CASE 4 :10秒くらいしか相手と話せないアイドルの握手会。
渡部 アイドル側からすると、爪痕を残そうと躍起になっているファンが一番嫌かもしれませんよ。だって巨大な規模の握手会だと、そんなファンが大量にいるでしょうから。「面倒くさい奴だなぁ」と思われているかもしれません。
──だからといって、「その他大勢」で埋没したくないという気持ちもファン心理としてあるはずです。
渡部 押しつけがましくインパクトを残す必要はないけど、同じ服装で来るとかいう工夫は必要かもしれませんね。たとえば「越谷から来る赤いマフラーの人」とか覚えてもらいやすいじゃないですか。あとはプレゼントが可能なら、同じものを渡すのもいいかな。僕自身、いつも入浴剤をプレゼントしてくれるファンの方がいらっしゃったんですけど、やっぱり印象に残りました。そういった感じで、多くのファンが集まる場では自分をキャラクター化していったほうがいいかもしれません。
いかがだっただろうか? さすがに海千山千の芸能界を渡り歩いてきただけあって、説得力は抜群だと感じられる。渡部自身も主張しているように、本当に大事なのは当たり前のことを徹底して行うこと。具体的には、聞き役に徹して相手から言葉を引き出すことが会話スキル向上の生命線ということになる。誰にでもできる渡部流コミュニケーション、ぜひトライしてみては!?