MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のフェーズ5が始動。フェーズ5、6は「マルチバース・サーガ」と名付けられており、その名の通りマルチバース(多元宇宙)の物語が展開されていく。
その第1弾となる『アントマン&ワスプ:クアントマニア』が現在公開中。本作は『アントマン』(2015)、『アントマン&ワスプ』(2018)に続く「アントマン」シリーズ3作目でもある。

【写真】『アントマン&ワスプ:クアントマニア』場面写真【5点】

MCUの中でも「アントマン」シリーズは、監督に『ハニーVS.ダーリン 2年目の駆け引き』(2006)や『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008)など、コメディを中心に活躍していたペイトン・リードを起用。主演のポール・ラッドもコメディに多く出演する俳優ということもあり、コメディ色が強い作品となっている。アントマンとワスプの駆け引きにラブコメ的要素を感じるのは、ペイトンの作風ともいえるだろう。

今作も勿論、コメディ要素全開。だからこそフェーズ5のスタートを切る1作目としては不安があるかもしれない。

しかしMCUにおいてアントマンは重要な役割を担うことも多く、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)において消滅してしまった人類の半数を元に戻すきっかけとなった重要人物でもあるのだ。量子世界とマルチバースの繋がりは今後重要になってくることからも、アントマンから「マルチバース・サーガ」がスタートするのは、必然といえるのだ。

ペイトンによるコメディ要素に加え、今回はアドベンチャー要素もかなり強くなっている。それは今作の脚本家として抜擢され、2025年公開の『Avengers: The Kang Dynasty』も手掛ける予定のジェフ・ラブネスの脚本の力が強いといえる。

そして同じくマルチバースを扱ったフェーズ4の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)、「ロキ」にはマイケル・ウォルドロンを起用しており、「マルチバース・サーガ」の完結編『Avengers: Secret Wars』も脚本を務める予定だ。


実はこのふたりにはある共通点がある。それは「リック・アンド・モーティ」のクリエイターであるということだ。「リック・アンド・モーティ」という作品は、マルチバースやタイムトラベルなどを扱ったSFアニメであり、世界中で多くのファンを抱える作品。日本でもNetflixで一部配信されている。

つまりMCUにおいてマルチバースという概念を構築しているのは、「リック・アンド・モーティ」のクリエイターたちということだ。だからこそアドベンチャー要素が強くなっているのだ。

アドベンチャー要素を強化したことで、今後のMCUにとって吉と出るか凶と出るかは、今後の展開次第ではあるものの、その行く末を見守る過程においても、今作は必ず観ておかなければならない作品だといえるだろう。

さらに今作には、ディズニープラス配信ドラマ「ロキ」の第6話で初登場したカーンの変異体がメインヴィランとして登場する。

カーンというキャラクターは、原作コミックにおいてもなかなか説明が難しい存在だ。というのも別の宇宙にも存在しており、タイムトラベルも可能。それぞれの宇宙において善の場合、悪の場合、もしくはそのどちらでもない場合もあったりと……簡単に善悪に区分できる存在ではないからだ。

「マルチバース・サーガ」において、今後複数の映画やドラマに登場することが予定されていることからも、今作を観ないと取り残されてしまうかもしれない。


【ストーリー】
新たな「アベンジャーズ」へ続く物語が、ついに始動。身長わずか 1.5cm の最小ヒーロー、アントマンとワスプは、<量子世界>に導く装置を生み出した娘キャシー達とともに、ミクロより小さな世界へ引きずり込まれてしまう。そこで待ち受けていたのは、過去、現在、未来すべての時を操る能力を持つ、マーベル史上最凶の敵、征服者カーン。彼がこの世界から解き放たれたら、全人類に恐るべき危機が迫る……。

【クレジット】
■監督:ペイトン・リード
■製作:ケヴィン・ファイギ
■出演:ポール・ラッド/エヴァンジェリン・リリー/マイケル・ダグラス/ミシェル・ファイファー/ジョナサン・メジャース/キャスリン・ニュートン/ビル・マーレイ 他
■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
■コピーライト表記:(C)Marvel Studios 2023
公式サイト: https://marvel.disney.co.jp/movie/antman-wasp-qm
2023年2月17日(金)より公開中!!

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