【写真】アイドルプロデュースを行う矢倉楓子 撮り下ろし写真【6点】
2017年10月11日、大阪城ホールで開催した『NMB48 ARENA TOUR 2017』大阪公演で、翌年3月にNMB48を卒業することを発表した矢倉。当時、卒業を決意した本当の理由は言えなかった。
「NMB48に入った14歳の頃から、『この世界で生きていくんだ!』って腹を括って活動してきたので、まだまだ卒業するつもりはなかったんです。卒業しても、自分にできることは他にないと思っていましたからね。でも20歳の時に、AKB48グループで紅白歌合戦の総選挙があって。
一般投票で決まるのですが、自分では自信があったのに、全然順位が振るわなかったんです。それがショックで、もうこれ以上やってても無理だと思ってしまって……。もう卒業しようと。その時は本当のことを言えずに、『私はセンターにもなれたし、これ以上を目指す向上心のようなものがなくなったというか、やり切りました!』と言って卒業しました」
約6年間に渡って、脇目もふらずにアイドル人生を突っ走ってきたが、一度立ち止まってしまうと、熱意も冷めていった。
「精神的にしんどかったんでしょうね。中学生の頃からNMB48の活動を始めて、常に誰かと比較されてきて。
芸能界引退後は、特にやりたいこともなく、生まれて初めてのアルバイトを経験したが、社会経験のなさを痛感した。
「引退後は焼き肉屋さんとアイスクリーム屋さんで働いたんですけど、私って社会不適合者なんだと思いました。それまでバイト経験がなかったのもあって、普通に働くことができなくて、コメディ映画みたいなことが起こるんです(笑)。たとえば焼き肉屋さんで高いワインを頼んでいただいて、片手でグラスに注いでいるうちに、テーブルにバーッてこぼしてしまったりお皿をいっぱい割ってしまうとか。
現実でこんなことする奴ほんまにいるの? みたいな感じで、おっちょこちょいでは済まないようなミスを何度もやらかして。あと、たまたま焼き肉屋さんに来店してくださった女性のお客さんが、私のことを知ってくださっていたことがあって。お肉を焼いている時に『ふぅちゃうんですか?』って声をかけられて、適当にごまかして気まずくなったこともありました」
芸能界に未練はないつもりだったが、心のどこかでは戻りたい気持ちがあった。そんな気持ちを汲み取ってくれたのは、NMB48時代の先輩だった。
「NMB48を卒業して一般人になった後も、みるきーさん(渡辺美優紀)とけいっちさん(上西恵)とは交流が続いていて。
確かに引退後もインスタは更新していて、ファンの方との繋がりはあったので、そういう言葉を待っていたのかなって。NMB48で心が折れて、もう無理だって辞めたけど、何か理由を付けて、誰かに背中を押してもらいたかったのかなって気づいてハッとしまして。じゃあ復活しようと決めました」
2019年5月に芸能界復帰を発表し、新たな事務所に所属して再スタートを切った。復帰後、初めての仕事は念願の俳優業だった。
「復帰作は『白衣の戦士!』というドラマで、スペシャルゲストとして出させていただいたんですが、オファーしていただいたきっかけは、プロデューサーの方がNMB48時代に私が出演した『マジすか学園』や『キャバすか学園』を観てくださっていたからなんです。
その後も、アイドル時代にお世話になっていた方からドラマに呼んでいただいたんですけど、それってずっと続く訳じゃない。もともと女優さんになりたかったからアイドルになったけど、改めてお芝居の難しさを実感しました。舞台にも出させていただいたんですけど、その思いは、より強くなりました」
演技の仕事を中心に、ゲーム実況者、YouTuberなど、マルチな活動をしていたが、もっとファンに寄り添った活動がしたいという思いが日増しに強くなっていった。
「復帰後に所属させていただいた事務所ではファンクラブを作ることができなかったんです。でも私がNMB48時代にセンターに立てたのも、アイドル活動を続けられたのもファンの方のおかげだったし、芸能活動の再開もファンの方がいないと成り立たないもの。
それで事務所を退所させていただいて、今自分から発信できる場所を作って、ファンクラブも作ることができました。もちろんSNSでも繋がりはあるんですけど、ファンクラブってよりファンの方との距離が近くなるんですよね。そもそも私のことを好きな方々が入会してくださるので、密なコミュニケーションを取れるようになって、より繋がりが強くなったなという実感があります」
現在、元AKB48の安田叶と共に、新規アイドルユニット2組をプロデュースする「kawaii land プロジェクト」にプロデューサーとして参加している。
「NMB48卒業後もアイドルに携わりたいなと思っていて、今回のお話をいただいたときに、アイドルのプロデュースなら、これまでの経験が活かせるなと思って、参加することに決めました。私が目指すのは、王道のかわいいを目指してフレッシュな子を集めた『王道アイドルグループ』です。
今までは自分が前に出るのがメインの活動でしたけど、このアイドルプロデュースをきっかけに、みんなと一緒に夢を叶えていくとか、やる気のある子を引き上げるとか、誰かを支える活動もしていきたいです。もちろんチャンスをいただければ演技もやりたいですし、おしゃべりすることが大好きなので、それを活かした番組にもどんどん出てみたいですね」
【あわせて読む】元AKB48 安田叶、「恵まれた環境にいた」グループ卒業後の自分を見つめ直す日々