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父に落語家でタレントの笑福亭鶴瓶を持つ駿河は、30歳まで3ピース・バンド「sleepydog」でボーカルギターとして活動していたが、2008年に俳優へと転向。
デビュー作『デトロイト・メタル・シティ』では、おしゃれ系POPバンド「テトラポット・メロン・ティ」の渡部というバンドマンを演じているので、ある意味バンド経験が俳優の扉を開くきっかけになったと言えるかもしれない。
その後、演技の世界に足を踏み入れてからは、次世代を担う名バイプレーヤーとして活躍中だ。ドラマ『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)では芸人役、映画『シンデレラゲーム』はデスゲームのマスターを務める謎の男、ヤマキの「割烹白だし」ウェブCMではこだわり派の夫・献立に悩む主婦・凄腕の料理人の1人3役を務めるなど、作品ごとにまるで違った顔を見せている。
しかもどの作品でも大きな爪痕を残しており、例えばドラマ『べしゃり暮らし』で見せた5分間の号泣、独白シーンは圧巻。高い演技力によって、“鶴瓶の息子”というレッテルを完全に払拭した。
映画『シンデレラゲーム』でも甲高い声でアイドルたちを煽るハイテンションな怪演が話題に。日曜劇場『半沢直樹』(TBS系)では伊勢島ホテルの若き社長を熱演し、その名を一気に轟かせた。
視聴者の記憶に残る名脇役として、駿河ほどの逸材はそうそう存在しないだろう。
とはいえ、彼の演じる役柄は脇役だけではない。
同作はやしきの半生を描いた物語で、駿河は19歳から晩年期に至るまでの年齢を見事に演じ分けた。さらに晩年期の姿を再現するために8kgの減量に挑むなど、ただのモノマネではなく、役柄そのものに変貌するプロ意識の高さもうかがえる。
もちろん世間の評判も高く、“海外に見せたい”ドラマを表彰する「東京ドラマアウォード2019」では関西テレビ初となるローカル・ドラマ賞に輝いた。
そんな駿河が大河に初めて出演したのは、2010年放送の『龍馬伝』(野上清吉役)。その2年後に放送された『平清盛』では清盛の異母弟・平経盛役、さらに2019 年には『いだてん~東京オリムピック噺~』にて、東京五輪開会式上空で五輪マークを描いた航空自衛隊パイロット・松下治英役を演じた。実力が認められると共に、少しずつ見せ場が大きくなっているのだ。
そして2020年の『麒麟がくる』では大和国の戦国大名・筒井順慶役、今作『どうする家康』では関東六国を治める大大名・北条氏政役に抜擢されている。
異色のキャリアを持ちながらも、着々と俳優としての実力を認めさせてきた駿河太郎。あるいは大河で主演を飾る日も、そう遠くないかもしれない。
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