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「昔は単純にライブしかなかったんです。YouTubeも存在しなかったし、テレビにも出ることができなかったし。だから文字通り全精力をライブに注いでいました。もちろん今も手を抜いているわけではないんですけど、少し余裕が出てきた部分はあるかもしれない。芸人って普通、自分たちの単独ライブが近づいてくると焦るものなんです。『やべぇ、もう時間がないわ』とか『ネタが思いつかない』と悶え苦しみながら。昔ほどプレッシャーを感じなくなったのは、たぶん経験値によるものでしょうね」
ハリウッドザコシショウのライブがチケット争奪戦になる理由として、毎公演、内容が変わっていくという点がある。熱心なファンなら何度も足を運びたくなるのは当然の話。しかし、やる側からすると事前の準備が数倍にも及ぶことは想像に難くない。
「お笑い芸人の単独ライブというのは、コミックスの最新刊に似ているんです。
やっていて難しいなと感じるのは、県民性じゃないけど、会場によってリアクションが全然違うんです。特に大阪は笑いに対する目が肥えているからか、東京や名古屋でウケることがダメだったりする。自分の知らない新ネタよりも、テレビで観たものを求める傾向が強いんです。あと僕のライブでは、パートとパートの合間にオリジナル映像を流しているんです。東京とかだったらお客さんもかぶりつきで観ているけど、大阪だとトイレタイムになっちゃうんです。あの映像、わりと力を入れているんだけどな(笑)」
目の前にいるのは、決して安くはないチケットを購入した観客だ。当然、少しでも喜んでもらおうとハリウッドザコシショウは常に試行錯誤している。ネタの精度を高めることは言うまでもなく、シュールでトリップ感あふれる音楽や映像もすべて本人がこだわり抜いたうえで構成しているという。
「“なんとなく”ではやりたくないんです。たとえばライブで使うオープニング映像にしても、よくあるのは芸人がスーツ着ながら走っていて、途中でハードルが出てきたらジャンプして飛び越える。そして人の波をかき分けながら劇場のドアを開けると、タイトルが出てきて……みたいな。そんなの誰が喜ぶんだって聞きたいです。どこの誰とは言わないけど、たぶん本人たちも好きでやっているわけじゃないと思う。スタッフから『こんな案がありますけど』って言われて、『じゃあ、それで』と決めているだけでしょう?自分たちのライブなのに、よくそんな無責任な真似ができるなって感じます(笑)。
僕にはちょっと耐えられないです。自分の名前を関したライブなんだから、自分が納得したスタイルでやらないと意味ないじゃないですか。100%の自分を出していかないと」
芸人はライブでこそ真価が発揮される──。ハリウッドザコシショウは昔からそのように考えていた。破天荒な芸風とは裏腹に、仕事に対しては誰よりも真面目でプロ意識が高いと芸人仲間たちも口を揃える。
「やっぱりライブをやる以上、テレビよりも面白くないと話にならない。
編集の問題は芸人をやっているとすごくストレスを感じるところで、収録のときはバッチリ手応えがあったのに、オンエアを観て『こんなはずじゃなかった』と落ち込むこともしばしばです。もう自分が出ているテレビを観るのが怖いくらい。収録では地獄みたいな雰囲気だったけど、編集によって助けられたというパターンもたまにあるけど……でも割合としては、圧倒的にガッカリ。俺に編集権をよこせって言いたくなる(笑)。だからカットなんて無縁のライブが一番自分のポテンシャルが出せると思っているんです」
9月17日(日)に東京・四谷区民ホールで行われる追加公演は、8月12日よりチケット一般発売開始。7月30日(日)までオフィシャル抽選先行予約受付中。また追加公演の配信も実施される。
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