大学在学中に芸能界デビューを果たし、ベストセラーになったノンフィクション作品『ビリギャル』の表紙モデルを務めて一躍ブレイク。2022年まで『CanCam』の専属モデルを務め、俳優としても数々の映画やドラマに出演するなど多方面で活躍する石川恋
10月7日(土)からスタートする『猫カレ -少年を飼う-』(BSテレ東/毎週土曜 深夜0時、テレビ大阪/毎週土曜 深夜0時55分)で連続ドラマ初主演を務める彼女に、今回のドラマにかける思いを中心に話を聞いた。

【写真】連続ドラマ初主演を務める、石川恋 撮りおろしカット【10点】

──『少年を飼う』は石川さんにとって連続ドラマ初主演になりますが、オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか?

石川 今まで事務所の先輩を始め、尊敬している方々が主演として真ん中で引っ張ってくださる姿を見てきたので、その頼もしい姿を思い返すと、自分に務まるのかなという不安がありました。でも俳優業をやっているからには一度は経験したいと思っていましたし、目標の一つでもあったので、素直にうれしい気持ちが大きかったです。

──石川さん演じる森川藍は、都内の大手広告代理店でバリバリ働き、「可愛げがない」「鉄の女」と揶揄されていますが、ご自身と共通する部分はありますか?

石川 同じ30歳なので環境が重なる点や共感する気持ち、セリフも多いですね。女性が自立して生きていくのは素晴らしいことですけど、であるがゆえに、どんどん心に鎧をまとって強くなってしまう。他人から見ると近寄りがたい存在になってしまい、それを自分でももどかしく思っている……私自身も、知らず知らずのうちに藍のようになってしまっている部分はあるかと思います。


──特に、藍に共感する部分はどこですか?

石川 周りの女性が20代で結婚・出産していく中で、藍は仕事を一番に考えてきました。それが自分の自信に繋がっているし、素敵なことなのに、周りからすると可愛げがないと思われてしまう。私も20代は仕事に邁進して、自分の意志を曲げないところがあったので、すごく藍に共感しました。

──藍を演じる上で、どんな役作りを意識していますか?

石川 台本を読んで、自分が藍だったらどう思うのかと考えたときに、同じような気持ちになることが多くて。だから変に作らずに、現場で自分自身が感じたものを大切にしようと思っています。仕事場で鎧をまとっているときの顔、家に一人でいるときの顔、親友と会うときの顔など、誰しも普段から顔の使い分けをしていると思うんです。
藍もいろんな顔を出していくと思うので、そこの使い分けはメリハリを意識して演じ分けていきたいですね。

──藍は職場で自分の本音や不満を言えないタイプですが、石川さんはそういうことを人に言えるほうですか?

石川 普段からマネージャーさんにいろんな話をしますし、親友にも気持ちを伝えるほうです。よく栃木に住んでいる母にも電話をしますし、落ち込んだときや悩んだときなど、気持ちがごちゃごちゃしたときは、すぐに近くにいる人に話すタイプですね。

──残業や深夜帰宅は当たり前という日々を送っていた藍ですが、ひょんなことから齋藤潤さん演じる16 歳の男の子・凪沙と出会い、奇妙な同居生活が始まります。初めて脚本を読んだときは、どんな印象を受けましたか?

石川 14歳も年の差がある男女ですが、藍は凪沙という自分の内面をさらけ出せる存在と出会ったことによって、鎧をまとわなくていいんだ、飾り過ぎなくていいんだと気づいていきます。それが女性としての成長にも繋がっていくので、読んでいて温かい気持ちになりました。


──齋藤さんの印象はいかがでしたか?

石川 「凪沙くんだ!」と思いました。16歳の男の子ってまだまだやんちゃで、授業中もふざけている印象だったんですけど、潤くんは落ち着きがあって、声のトーンも凪沙くんにぴったりで、私の知っている16歳とは全然違っていて、頼もしいなと思いました。

──石川さんは今年7月18日で藍と同じ30歳になりましたが、年齢による心境の変化はありましたか?

石川 20代から30代に変わるタイミングは節目だと思いますし、とても大きなことなのかなと思ったりもするんですけど、自分の意識としてはそこまで大きな変化はなくて。ただ、20代の頃は自分が走り続けることを優先していたんですけど、今回のように連続ドラマで初主演をやらせていただくなど、30代は今まで以上に責任感の伴うお仕事が増えていくのかなと思います。

だから「自分が!」というよりも、私を見てくださる方々、関わってくださる方々に、仕事や表現を通して恩返しすることにフォーカスを当てていきたいなと考えています。

──昨年末に、2017年から務めていた『CanCam』の専属モデルを卒業しましたが、俳優業とモデル業のバランスはどう考えていますか?

石川 卒業は大きなことだったんですけど、引き続きモデルのお仕事はやらせてもらっているので、どちらかの重量が変わるとかは自分の中で考えていません。
『CanCam』の専属モデルをやらせていただいた5年半は、モデルとしての技術だけではなくて、一つの雑誌をみんなで作るというクリエイティブ面でも得たものが大きくて。それは俳優業でも昇華できることだと思うので、20代で得た経験を生かして、もっとお芝居も追求していけたらいいなと思います。

──最後に、今ハマっていることを教えてください。

石川 梅干しです(笑)。お仕事で和歌山に行ったときに、いろんな梅干しがあることを知って。今までは酸っぱいか甘いかの二種類しか知らなかったんですけど、キムチで漬けた梅干しだったり、オリーブオイルで漬けた梅干しだったり、いろんな種類があって、それでハマりました。
いろいろな種類をお取り寄せして、毎日食べているんですが、とにかく朝ご飯には欠かせなくて、お味噌汁にも梅干しを入れます。個包装になっている商品もあるので、現場でおかずがもうちょっと欲しいなというときに、梅干しを一品追加していますね。

(取材・文/猪口貴裕)
▽石川恋(いしかわ・れん)
1993年7月18日生まれ、栃木県出身。モデルとして活動する傍ら、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のカバーモデルに起用され、以降テレビドラマや映画などでも活躍している。
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