昨年、TikTokを中心に大ヒットした水曜日のカンパネラの『エジソン』。水カンと言えば、初代ボーカリスト(主演・歌唱)のコムアイの印象が強いのだが、2代目の詩羽もコムアイに負けないくらいの存在感を放ち、既に、水カン=詩羽というイメージが定着してきたのではないだろうか。
詩羽の言動やドラマでの活躍などもあるが、『エジソン』という楽曲が、彼女の存在を大きく世に知らしめたと言ってもいいだろう。

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水曜日のカンパネラは、コムアイ、詩羽と前に立つ女性ボーカリストだけがフィーチャーされがちだが、実は3人組の音楽ユニットである。1人は、作詞・作曲・編曲を手掛けるケンモチヒデフミ。もう1人は、ディレクターのDir.Fである。

そんな2人が、歌番組やライブなどに登場することはほぼ無いのだが、ケンモチは、近年、作編曲家・プロデューサーとして、水カン以外の活動でも注目を集め始めている。今回は、ケンモチが水カン以外のアーティストに提供した楽曲に注目してみたい。
どれも、『エジソン』や『桃太郎』、『ディアブロ』といった水カンのナンバーのように、聴けば聴くほど癖になる楽曲ばかりだ。

まずは、ケンモチが手掛けたanoのナンバー『スマイルあげない』を紹介しよう。anoは、あのちゃんが歌手活動する時のアーティストネーム。この曲では、ケンモチとあのが共同で作詞・作曲を手掛けている。あのの歌声とケンモチの楽曲との相性の良さは、比較的想像しやすいのではないだろうか。イントロの音色、曲のテンポが変わるアレンジ、某ハンバーガーショップを想起させる言葉遊びが散りばめられた歌詞…。
ケンモチ節とあのの世界観の融合が見事である。

女性ボーカリストでは、他に、中川翔子にも楽曲を提供。ケンモチが作詞・作曲・編曲・プロデュースを手掛けた曲のタイトルはズバリ『中川翔子』。中川の芸能生活20周年記念ソングとして、今年9月にリリースされた。「中川翔子を知っているか?」という歌い出しで始まり、「東京中野区出身」、「ブログの女王」、「コスプレ親善大使」と、中川を語る上で欠かせないキーワードが盛り込まれた楽曲に仕上がっている。是非、歌詞にも注目しながら聴いてみて欲しい。


続いて、ケンモチが手掛けたアイドルグループの楽曲も紹介しよう。ももいろクローバーZや私立恵比寿中学の妹分にあたるスターダストプラネットのばってん少女隊の『さがしもの』というナンバーも、ケンモチ節全開の1曲だ。ばってん少女隊は、九州を拠点に活動するグループで、九州のことを歌った楽曲も多いのだが、この曲では、佐賀県の一大イベント、バルーンフェスタをモチーフにしている。イントロから流れるカントリー調のバイオリンが印象的。

そして、4つ打ちのリズムでリスナーの気持ちを高揚させて到達するサビでの「ててて てて てて てって」というフレーズがなんとも心地よくて癖になる。ライブでも盛り上がる定番曲だ。
緩急とメリハリのあるアレンジもケンモチならでは、と言っていいだろう。

ちなみに、ケンモチはももクロの楽曲『天国のでたらめ』のアレンジも担当している。作詞・作曲はドレスコーズの志磨遼平。ももクロ × ドレスコーズ × ケンモチヒデフミという音楽ファンがワクワクするような組み合わせで、ももクロが主演したミュージカルのために作られたこの楽曲は、2部構成になっているところが大きな特徴だ。後半で、ガラッと曲調が変わる。このあたりは、もちろん作詞・作曲を手掛けた志磨のアイデアによるところなのだとは思うのが、「死」と向き合うミュージカル作品だっただけに、現世と来世を想起させるようなケンモチの曲のアレンジにも注目して欲しい。


ケンモチは、意外なところでは、平井堅や藤井隆といった男性アーティスト、Charaやiriといった実力派女性アーティストにも楽曲を提供している。それぞれの楽曲で、斬新なアレンジ、遊び心満載のリリックといったケンモチ節が垣間見られるのだが、一聴しただけでは、ケンモチ楽曲と気付かないような王道J-POP感が漂う楽曲も多い。

また、男性グループだと、DISH//の『星をつかむ者達へ』という楽曲を手掛けている。こちらは、畳みかけるリリックやサビに向けて高揚感を感じられるアレンジなど、ケンモチ節が炸裂した1曲で、北村匠海の声とケンモチの癖のある楽曲がこんなにも相性がいいものか、と新たな発見を感じられる。ケンモチがこれまで手掛けてきた楽曲は、女性アーティストが中心だっただけに、今後はもっと男性ボーカリストやボーイズグループでも、ケンモチ楽曲を聴いてみたいものだ。

意外性という点においては、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースで知られる中田ヤスタカが、昨年、Adoに楽曲を提供して音楽ファンを驚かせたように、今後はケンモチにも意外なアーティストへの楽曲提供やプロデュースで、音楽ファンをワクワクさせて欲しい。
彼の振れ幅をもってすれば、どんなアーティストにも順応可能だと思うし、そのアーティストの新たな一面も引き出してくれることだろう。水曜日のカンパネラの活動のみならず、作曲家・編曲家・音楽プロデューサーとしてのケンモチヒデフミの今後の活躍にも期待したい。

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