【写真】自腹で放送枠を買い取ったハリウッドザコシショウ
「僕がやりたかったのは、何もかも自分がやりたいように好き勝手やれるバラエティ番組。たとえばダウンタウン・松本人志さんレベルなら『一人ごっつ』(フジテレビ系)みたいなことも可能かもしれないけど、ほとんどの芸人は自分の冠番組を持ちながら全部コントロールするって難しいと思うんです。特に今の時代は厳しいです。
ひとつのテレビ番組を作るには、プロデューサーのやりたいことがあるし、ディレクターの希望もある。そして何よりスポンサーの意向もある。そういった複数の意見をすり合わせて調整していくと、結局、本当にやりたいことはなかなかできないわけで。みんなやっぱり、失敗を恐れますから。実際、『何もかも度外視して、ザコシさんの好き放題に番組を作ってください』なんてオファーが来るわけないですし。
近年の地上波バラエティ番組には、ひとつの“定型”がある。スタジオには司会者と複数のタレントがいて、事前に撮った映像を観ながらコメントを挟んでいくスタイルだ。そこでは台本に沿って、各自が自分の求められるキャラクターをまっとうする。ハリウッドザコシショウも、こうした場では与えられた仕事をプロとしてこなすわけだが、内心では「もっと違う切り口から見せたほうがいいのでは?」などと軽いフラストレーションを覚えることもあるという。
「僕も別にそうした番組作りがダメだと言っているわけではないんです。ただ、新しいことも純粋にやってみたくて。だから今回、自分が作るこの番組で0から1にしたい。新しい1歩を踏み出したい。そして、この一発で終わらせる気もないです。もし第2シーズン、第3シーズンと続けていく中でスポンサーが現れたら、僕の名前を前面に出さず、総合演出という肩書でもいいと思っています。
この番組はTVerなどでの配信は一切やらないんですけど、それも今後のことを考えてです。TVerで配信してしまうと、『あとで観るか』ということになって、結局、リアルタイムでは観なくなるので。
今回のプロジェクトは、「車1台買うくらいなら、好きな番組を1本作りたい」というハリウッドザコシショウの並々ならぬ決意がベースにある。気になる制作費は「まだすべて精算しきれていない部分もあるけど、総額でだいたい300万円くらいになるかも」とのこと。本人は「一種の税金対策ですよ」とうそぶくが、製作過程で予算面の調整は心労も絶えなかったようだ。
「スタッフを雇うのも僕だし、機材代を支払うのも僕。たとえばテレビの場合、舞台とは違って“画変わり”というのも求められるんです。要するに背景がずっと同じだと、観ていて飽きるというわけですね。だから別のスタジオを借りなくちゃいけないんですけど、せっかくそこを押さえるのなら、最低でも2個は収録しなくちゃ割に合わないなと考えたりして。これくらいの収録なら12時から始めて19時には終わるかなと思いきや、意外に押しちゃって、予定していたスタジオ使用代の7万円が8万5千円になるとか……。そういう細かい部分で疲弊しました」
さて、もっとも気になるのは具体的な番組内容だ。CMなしのブチ抜き55分間、純度300%のザコシワールドが繰り広げられるということだが……。
「やりたい放題やっているのは事実ですが、不特定多数の人が観るテレビ番組なので、独りよがりにならないようにしているのは言うまでもありません。もちろん出演するのは僕だけじゃなく、ゲストもいます。深夜放送らしく、お色気要素もあります。さらには視聴者が食いつく要素として、今まで取材露出NGにしてきた僕の家族も登場する。斬新な企画が満載だし、スピーディーにいろんな要素を詰め込んでいるから、決して飽きることのない55分間になっているはずです」
アバンギャルドなイメージばかり先行するハリウッドザコシショウだが、ひょっとしたら『提供ハリウッドザコシショウ』では家族との感涙ドラマなども披露されるかも……?本人も「新境地を切り拓いた」と大いに手応えを感じているのようなで、期待は高まるばかりだ。
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