「日本一かわいい女子高生」のキャッチで鮮烈なデビューを果たして以来、10年にわたりグラビア界で活躍してきた佐山彩香。1月21日にラスト写真集『bless you』(双葉社)を発売しグラビア引退を表明した。
今作は「有終を飾るラストヌード」の文句が踊るように、身心共に全てをさらけ出した彼女が美しく納められた、まさに最終作に相応しい内容となっている。今作に込めた想い、10年という月日、そしてこれから始まる第二章について、話を聞いた。
──写真集のタイトル『bless you』、「神のご加護がありますように」という意味でしょうか?

佐山 それもあるのですがもう一つ「ありがとう」という意味がありまして、「10年間私を応援してくださってありがとう」というファンの方への感謝をこめました。あと「bless」って呼吸じゃないですか。私、心を整える時、深呼吸をするんですよ。そうすると怒っていても落ち込んでいても、スッと落ち着けるんですよね。その私が“呼吸をしている”姿も収められているので、担当編集の方から提案された時、これ以上のタイトルはない! と即決しました。

──「LAST写真集」と冠しているので、緊張感あふれる内容になったのかと思いきや、今までの作品の中で、一番ナチュラルな表情をしていたと思います。

佐山 そうなんです! グラビアっぽいポーズや、表情をセクシーにしよう! という意識を最初から持たず、一番私らしい雰囲気を出していこうって考えていました。そもそも「これで最後」という意識が全くないまま撮影していたので、緊張感は全然なかったんですよ。

──めくった扉の写真から、今までの表情とは違う、真っ直ぐな眼差しの写真でお出迎えですからね。しかも次のページは海にダイヴ!

佐山 今までできなかった要素をたくさん詰め込んだというぐらい、初めてのことだらけ。
その海中での写真は、私はダイビングのライセンスを持っているぐらい泳ぐことが大好きで。水着になることは多かったのですが、泳ぐ写真があまりなかったので、潜水した姿を納めようとなったんです。しかも潜水の、潜って浮上するという一連の流れが、まるでグラビア卒業後、新しい自分の可能性を探るために自分の中に深く中に入っていき、いつか浮上できる日を待つ……という私の心境がキレイにシンクロしたんですよね。

──他にはどんな新しい挑戦をされたのですか?

佐山 今までどこにも出したことがない表情を撮ろうということになって今回は“破顔”にも挑戦しているんです。今まで笑顔の写真は相当ありましたが、顔が崩れるほどの笑顔ってなくて。破顔が撮れたのは、また海の撮影の日。海の中でカメラマンさん、メイクさん、インストラクターさんがみんな一塊になって、「ワー!キャー!!」と言いながら必死になって泳いでいたんです。そのワチャワチャした光景があまりにも面白くて、思いきり笑っちゃったんですよ。出来上がった時はこれが私の破顔か……ってちょっと感動しちゃいました。確かにこんな顔、今の今までどの作品でも見せたことがないですから。

──中々見せない表情と言えば、涙のカットもありました。

佐山 撮影終了後に、カメラマンさんから「この10年間どうだった?」と聞かれ、この時に初めて「これが最後なんだ」という実感が湧いてきたんです。
今までのことが頭の中を巡ってきて、ついつい想いが溢れてしまいましたね(照笑)。

──帯の「優秀を飾るラストヌード」という扇情的な見出しが躍るように露出もすごいですが、先ほどの水中でのカットや笑顔が光る写真が今作の肝のような気がします。

佐山 明るく最期を飾りたかったんです。肌を見せるシーンでも笑っていたりと、とにかく笑顔の多い作品ですね。肌的なヌードでもありつつ、心的なヌードの作品……なのかも。何も作ろっていない、私らしさが一番出たと思います。

──10年を振り返って、数々の写真集を出してきましたが、印象的な作品はありましたか?

佐山 もう、色々とありすぎて何から言おうか……一番は『virgin nude』という高校卒業後に出た写真集です。これは最初に思いきった露出に挑戦した作品で、精神的にもたくあんの準備が必要で、ものすごく不安だったんです。けど、信頼している編集者さんからものすごくサポートしていただき、これは頑張って良い物を作らなくちゃ! と決心できて。結果納得いく作品ができました。それにこの作品は、私の実家に行って撮影もしていて。

──確かご家族も一緒に写っていましたよね。


佐山 そうそう! ある意味肌以上に全開になっている、私としても佐山家としても印象深い作品でした(笑)。

──DVDではいかがですか? 30本も作品を残しているので、色々あったかと思います。

佐山 DVDの撮影って写真集とはまた違った面白さがあるんですよ。物語仕立てになっているものだと、すごく変わった展開の作品があるじゃないですか。

──結構「?」が浮かぶシーンがありますよね。佐山さんもきっと「なんだったんだろう、アレ?」という場面を相当経験されてきたかと。

佐山 ありました。「これは、何をやっているんだ!?」と思ったのは、お母さんと一緒にお風呂に入っているという設定の場面で、「お母さんのオッパイ、大きいね。柔らか~い」って、なぜか私がお母さんの体を洗いながらオッパイを触るという撮影があって(笑)。

──視聴者の多くは男性ですから、それは戸惑いますね(苦笑)。

佐山 私も正直戸惑っていました(笑)。あと、私のDVDの定番場面として「お尻ダンス」という、お尻をフリフリするダンスが、毎回のように収められていて。
何作ぐらい続いたのかな? もう、佐山彩香=お尻ダンスの人、というイメージがついた時期もあったぐらい。

──初期のDVDでは恒例となっていましたよね。

佐山 ただ、なぜこれが定番になったのかの理由が未だに分からないんですよ(笑)。私、特に「ダンスが得意です!」と言ったわけでもないですし、「踊りたい!」と言ったわけでもないのに、いつの間にか始まって、いつの間にか定番になっていたという……。しかも、やたら好評で、「今回はお尻ダンス、ないの?」ってイベントの度にファンの方から言われて(笑)。私にはサッパリ分からないものが思わぬ形でウケたりするって、不思議ですよね。

──改めてですが、10年という節目を迎えたタイミングで、グラビアを引退されると決心されたのはなぜですか?

佐山 実は一昨年頃には考えていたんです。10周年という節目と、30代目の前という大きな節目が見えてきた時に、「私、グラビアしかやってきてないな」と、ふと思って。時間が経つにつれて、新しい世界に挑戦するのって難しくなるじゃないですか。グラビア以外の私の可能性も覗いてみたくなってきて。早ければ早い方がいいと思い、10周年の年に引退しようと決心しました。

──10年間を捧げてきたグラビアの仕事って、佐山さんにとってはどういうものだったのでしょう?

佐山 ……「人生の学び舎」でしょうか。
一度もアルバイト経験がない私が、大人から仕事への向き合い方や挨拶などの礼儀を学び、同じ仕事を通じて友だちもでき人間関係の構築の仕方も学んで。佐山彩香という人間を育ててくれたのはグラビアだったと言っても過言ではありません。

──生活の軸であったグラビア引退から約4ヶ月、生活や心情に変化は起きていますか?

佐山 はい。やはり最初の1、2ヶ月は大切なものを失った状態なので、ポカ~ンと空白が出来ていたのですが、ここ最近になって「これからなんでもできる! なんでもやっていい!!」という気持ちが強くなってきました。今までは何をやるにしても“グラビアアイドルとして”の意識が頭についていて、「服装はアイドルっぽくいよう」、「髪の色はなるべく抑えめに」みたいに、色々と制限していたんですね。それが今は全部外れちゃったわけです。とにかく何でもできるな! という前向きな姿勢です。まずは金髪にしてみようかな? なんて考えたりしています(笑)。

──食生活はどうですか? 肌を見せなければいけない分、食事制限も相当されていたでしょうから、随分変わったかと。

佐山 食生活が真っ先に変りましたね。一番ヤバイかも(笑)! 今までは撮影が決まると当日までに身体を絞ろうと制限していたり、太ってきたら「戻さなきゃ!」と意識が向いていたのですが、今はもう「太ってきたなぁ……まぁ、いいか!」ってなってきています(照笑)。

──危ない!

佐山 ブレーキ、どこかでかけないと。
本当に食べるのが大好きなので、グラビアをやっていたことで保たれていたものが一気に崩れそうで、本当に怖い。これからは自分との戦いが大切になっていきそう(笑)。
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