【写真】マリーゴールドのリングで活躍する現役高校生の山岡聖怜
もともとアマチュアレスリングの世界でオリンピックを目指し大活躍していた山岡だが(ちなみに実姉でタレントの山岡雅弥もレスリング界で有名な存在だった)前十字靭帯を負傷。
そこで運命的に出会ってしまったのが女子プロレスだった。レスリングに青春のすべてを捧げてきた彼女はエンターテインメントにほとんど触れずに育ってきてしまったため、世の中の流行に疎い部分がある。「もちろんプロレスのことは知っていましたけど、それは男の人がやるものだと思いこんでいたので、女子プロレスというジャンルがあることをはじめて知って、びっくりしました!」と語る山岡が女子プロレスに“ひとめぼれ”して、そのままプロレスラーになってしまったのだから、これはもう運命としかいいようがない。
1.3大田区大会で鮮烈なデビューを果たした山岡聖怜は、それからわずか16日後、プロ転向5戦目にして早くもタッグ王座に挑戦。ただのタイトルマッチだとしても異例中の異例だが、相手は180㎝オーバーの超大型外国人チーム、ボジラ&タンク。日曜日の真っ昼間から女子高生が巨漢外国人たちにぶん殴られていたら、即通報モノの大事件だが、プロレスのリングではこれが日常茶飯事。とはいえ、いくらなんでも王座奪取は難しいだろう、というのが大方の予想だった。
しかし、パートナーにして“女子プロレス界の人間国宝”と称されるレジェンド・高橋奈七永(5月に現役引退が決まっている)の激烈サポートを受けた山岡は、タンクの超巨体を見事すぎるジャーマンで投げ切り、文句なしの王座獲得! 高橋奈七永も「プロレスのキャリアは半月だけど、アマレスの経験もあるし、彼女の人生がそのままキャリアになっている」と大絶賛。超新星誕生の瞬間に立ち会った後楽園ホールの観客は大いに盛りあがった。
だが、デビュー戦の前から、この選手はなんかやってくれる、という予感はあった。現在発売中の『マリーゴールド公式ファンブック』(宝島社・刊)では特別企画として若手選手たちによる料理バトルの模様を誌面で実況再現しているのだが、その撮影で山岡聖怜はスター性を如何なく発揮してくれたのだ。
いきなりキッチンにエプロン姿&ウサギの耳のコスプレで登場した山岡聖怜。たしかに料理バトルのルール説明で「本に載せるものなので、味だけでなく映えもポイントの対象となります」と事前に伝えてはいたが、まさか自分自身を映えの対象にしてしまうとは! 撮影時にはデビュー戦の相手も決まっていない練習生だったのだが、もうプロとしての自覚はチャンピオンレベルに高かったのだ。
カメラを向けるとニッコリと笑ってくれるのだが、シャッターを切り終わると、瞬時にシビアな料理人モードに変貌。まさに勝負師の目力で食材と格闘している。その姿は夕方のニュース番組でよくやっている「両親から受け継いだ食堂をアイデア料理で大繁盛させた女子高生シェフ」を彷彿とさせた。
よくあるのが、できあがった料理が大失敗というパターンなのだが、ロッシー小川代表も太鼓判を押すほどの絶品料理が完成。もうデビュー前からただものではなかったのだ(食材を準備しているときに、うっかりパックの中の卵をひとつだけ割ってしまったことは、まだ調理開始のゴングが鳴る前だったので見て見ぬふりをしておきました)。
デビューからわずか16日でチャンピオンになってしまった山岡聖怜には、ここから過酷な防衛ロードが待ち構えている。パートナーの高橋奈七永の引退試合は5.24代々木競技場第二体育館。理想をいえば、その日まで防衛を続けて、チャンピオンのまま送り出すことなのだが、さすがに125日間もベルトを死守するのは至難の業。
はたしてどんな闘いを魅せてくれるのか、非常に興味深い。ルーキーがいきなり輝ける女子プロレスの世界はやる側からしたら夢があるし、見る側からしても刺激的で目が離せない。
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