バカリズムが脚本を務めたTVドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系)の第3話が、1月26日に放送された。(以下、ドラマのネタバレを含みます)

【画像】“とりとめのない会話”こそがバカリズム脚本の真骨頂、『ホットスポット』第4話

今回のエピソードは、大きく2つのブロックに分かれている。
まず最初は、清美(市川実日子)、美波(平岩紙)、葉月(鈴木杏)の仲良し3人組がいつものようにランチ会を楽しむ場面。なにかとお世話になっている宇宙人の高橋さん(角田晃広)も呼んで、4人でとりとめのない会話をしている。“とりとめのない会話”こそがバカリズム脚本の真骨頂であるからして、我々視聴者もニッコニコで彼女たちの会話に耳を傾ける。

この“とりとめのない会話”、ホントに、文字通り、掛け値なしにとりとめがない。以下にその概要をまとめてみよう。

1.高橋さんの能力で、ケガを直したり顔のシミを撮ったりできないか
2.最近、美波が映画『E.T.』観たよ
3.高橋さんって友達いるんですか
4.高橋さんが宇宙人であることを50年以上隠してきた辛さ
5.(↑ここ無視して)美波がスマホを買い換えた
6.美波はスマホにフィルムを貼るのが面倒だし、ショップで貼ってもらうのは金かかるし、無料でやっているところにお願いするのも気が引ける
7.じゃあ高橋さんにフィルムを貼ってもらえばいいじゃん

ここで、中学校の同級生あやにゃんこと綾乃(木南晴夏)が合流。

8.我々はオバチャンか/オバチャンじゃないか論争
9.高橋さんが美波のスマホにフィルムをキレイに貼り終える
10.なぜか綾乃のスマホにもフィルムを貼ってあげる
11.綾乃が落としそうになったスマホを、高橋さんが超人的反射神経で空中キャッチ
12.あまりの反射神経に綾乃がビックリ。宇宙人であることをバラす訳にもいかないので、元卓球部という設定になってしまう

ここまで、およそ十数分。ランチ後も、タイヤが溝にはまってしまった綾乃の車を怪力で持ち上げたり(ここで元柔道部という設定が追加)、「SOS」表示を点けていたタクシーを猛烈ダッシュで追いかけて状況を確認したり(ここで元陸上部という設定が追加)、気の優しい宇宙人っぷりを遺憾無く発揮。タクシーを追いかける場面では、電気グルーヴの名曲「富士山」がBGMとして流れたりするなど、90年代サブカル好きをくすぐる仕掛けが施されていた。

2つ目のブロックは、超能力を使いすぎた高橋さんが、心身を回復させるために「レイクホテル 浅ノ湖」の温泉に入ろうとするドタバタ劇。支配人の奥田さん(田中直樹)や沢田さん(坂井真紀)に見つからないよう、『オーシャンズ11』ばりにホテルに潜入してひとっ風呂浴びようとするが、運悪く温泉に奥田さんもやってきて…という展開に。


前半がいかにもバカリズムっぽい会話劇とするなら、後半のシチュエーションコメディ展開は、とても三谷幸喜っぽい。テイストの異なる2つのコメディ要素を、1つのエピソードにブチ込んでいる。ダラダラ日常トークだけにおさめない構成に、筆者は密かに感動してしまった。

相変わらずスケールの小さなエピソードが紡がれていく『ホットスポット』だが(そこが最高なのだが)、冒頭では富士浅田市長候補の梅本雅子(菊地凛子)の選挙カーが走っていたり、「SOS」表示を点けていたタクシーの乗客の声が明らかに池松壮亮だったり(彼の出演はすでにアナウンス済み)、綾乃の娘が描いた猛烈ダッシュしている高橋さんの絵を父親が見つけたり、何やら伏線の匂いがプンプンする。第4話以降は、富士山が見える静かな町を舞台に、ちょっとだけスケールの大きな展開が待ち受けているのかもしれない。

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