【写真】楊明役を演じる乃木坂46・梅澤美波の撮り下ろし&映画場面カット【10点】
かつて香港に存在した美しくも妖しい街“九龍城砦”を舞台にしたミステリー・ラブロマンスの映画『九龍ジェネリックロマンス』。主人公で過去の記憶がない鯨井令子(吉岡里帆)と、同僚で誰にも明かせない過去を持つ工藤発(水上恒司)の繊細な関係を軸に、九龍に暮らす人々の感情が交錯し、街そのものの運命を動かしていく。梅澤が演じる楊明は、九龍で靴屋を営んでいて令子のことを快活に「レコぽん」と呼ぶ無二の親友でもある。
――本作への出演は、梅澤さんにとって『映像研には手を出すな!』以来5年ぶりの映画となります。出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
梅澤 5年ぶりに映画に出演させていただいて、“九龍城砦”の風景を再現するため全編を台北で撮影というのも、なかなかない機会だったので、すごくワクワクしながら現場に入ることができました。しかも原作を読んで、楊明のことを「なんて明るくて魅力的な子なんだろう」と好きになってしまって。自分が演じる分愛着もあり、彼女の包容力をたっぷり見せようと頑張った作品です。
――眉月じゅんさんによる原作コミックや、TVアニメがあり、そこでは映画で描かれていない楊明にまつわるエピソードもあります。それらから楊明にどんな印象を持ちましたか。
梅澤 一見、底抜けに明るい子ですが、実は過去に母との関係であったり、コンプレックスを抱えていて。そういうものを抱えた上で、映画ではレコぽんにとってすごく頼りになる存在なので、芯が強い子だなと思います。
――また、自身と演じられた楊明との共通点などを感じる部分はありましたか?
梅澤 過去にあまり演じたことのない性格のキャラクターだったので、私にとって挑戦でした。私は楊明ほど明るくもないし、強くもいられないと思います。ですが、思ったことがスパンっと顔に出てしまう彼女のまっすぐさは、とても愛おしいなと感じます。私は普段、一度自分の中で感情を受け止めてから言葉に出したりすることが多いので、彼女の真っ直ぐさは素の私にはなかなか出せないことでした。
――吉岡さんが、舞台挨拶で梅澤さんのことを「包容力がすごい」と話されていました。
梅澤 吉岡さんこそ底抜けに明るい方でした(笑)。撮影初日から「美波ちゃんが楊明をやるって聞いて、絶対ぴったりだと思ってた!」と言っていただけて。楊明と令子の関係が作品の中ですごくいいスパイスになっていて、原作通りの2人のほっこりする関係を出せたのも、吉岡さんのおかげです。
――本作は九龍が舞台でしたが、梅澤さんといえば一昨年の舞台『キングダム』楊端和、今年のミュージカル『梨泰院クラス』オ・スアと、アジアに縁のある役が続いています。
梅澤 楊端和もオ・スアも原作から好きな役だったので、何かに導かれているんでしょうか(笑)。いいめぐり合わせだなと運命に感謝しつつ、だからこそ私の、キャラクターを愛する気持ちをお芝居に込めて演じなければと、より責任も感じます。
――そんな俳優業の中で、成長したと感じるポイントはありますか?
梅澤 まだ上達したという実感はなくて…でも以前はセリフや言い回しを考えることに精一杯だったのが、物語の背景まで役作りに込められるようになったと思います。原作がある作品では、台本で描ききれていない、原作のエッセンスなども凝縮して伝えたいなと考えられるようになりました。今回なら楊明はどんなことを感じてきたのか。彼女たちのバックグラウンドを想像して、役をふくらませることが好きになりました。
――これは『梨泰院クラス』などを見ての印象なのですが、梅澤さんのお芝居って作り込みすぎない、ナチュラルなところが魅力かもしれせん。
梅澤 お芝居であっても自分の心に嘘がつけないのかもしれません。『梨泰院クラス』でも、「梅ちゃんの素直なお芝居がすごく好きだよ」といったメッセージももらいました。あまり共感できない感情があると、表に出すのが苦手なので、「ちゃんとお芝居できているのかな」と思う時もありますが、むしろそこをポジティブに捉えていただけているのなら、嬉しいです。
――では、あらためて楊明に梅澤さんらしさが込められているとしたら、どんなところに?
梅澤 包みこむような明るさ、でしょうか。レコぽんも工藤さんへの想いなど抱えているものがたくさんありますが、彼女を優しく元気付けてくれるところが楊明らしさなので、彼女の明るさを魅力的に見てもらえたらと思います。
▽梅澤美波(うめざわ・みなみ)
1999年1月6日生まれ、神奈川県出身。2016年9月4日に乃木坂46に3期生として加入。
【後編】乃木坂46梅澤美波が語る“殻を破る覚悟” キャプテンとして見せる素顔と新たな挑戦