【あわせて読む】『サムのこと』『猿に会う』特別版トレーラー映像
ドラマでは、『Laundry』『重力ピエロ』など数々の映画作品を手掛けてきた森淳一監督が『サムのこと』を演出。新解釈で乃木坂46の4期生たちがこれから歩むであろう道のりとリンクさせた。
『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』の高橋栄樹監督がメガホンをとった『猿に会う』は、先行き不透明な人生の葛藤を映し出したロードムービーに仕上がっている。
『サムのこと』と『猿に会う』はこれまで別々の刊行物に収録されていたが、このたび、同じくデビュー間もない頃の短編『泣く女』と合わせて一冊になった。人生の踊り場のようなふとした隙間に訪れる、「何かが動く」ような瞬間を捉えた初期3作品を新たに編んだ短編集となっている。
【STORY】
▽『サムのこと』
‹‹午後から雨になった。
▽『猿に会う』
‹‹やっぱり、誰かひとりでも仕事をしていたら、こういうことは出来ない。私たちは改めて、自分たちの境遇の有難さを思った。››二十代半ばの、少し端っこを生きている仲良し女子3人組が温泉旅行で、「あるもの」にたどり着くまでを描く。
▽『泣く女』
‹‹ふたりで初めてのナンパもしてみたかったし、出来ることなら、お酒も呑んでみたかった。それが青森、それも、山と海しか見えないローカル線、自分たち以外には、爺さんがひとり乗っているだけだ。››県大会の決勝まで行き、ふたりの夏は終わった。小説家志望の野球部の友人と、なぜか太宰治の生家を訪ねることになった高校生男子が、そのまま足を伸ばした竜飛岬で、静かに佇む女性に出会う。

『サムのこと 猿に会う』
著/西 加奈子
定価:本体490円+税
小学館より発売中