モーニング娘
卒業後、女優としてドラマ、舞台などを中心に活躍している工藤遥が7月3日公開の『のぼる小寺さん』で映画初主演を飾る。工藤遥に撮影時のエピソードや、役作りで苦労したことを聞いた。(前後編の前編)

【写真】工藤遥撮り下ろしカットと『のぼる小寺さん』場面カット

──『のぼる小寺さん』ではボルダリングのシーンがかなりありますが、そもそもボルダリングの経験はあったんですか?

工藤 全然なかったです。4カ月ほど練習期間を頂いて、クランクインしてからも撮影の合間に練習をしたり、オフの日にジムに行ったり。何とか形にはなったんですが、経験者の方から見たら、まだまだです。

──高所に恐怖心はなかったんですか。

工藤 怖かったです!(笑) 特に岩場でのクライミングは、前日に監督と撮影の方針を話しているうちに心が折れそうになりました。ただ実際にやってみると、登ることに集中して恐怖心はなくなるんです。

──かなり肉体的にハードだったんじゃないですか。

工藤 大変でしたね。ボルダリング大会のシーンで、撮影前日に会場に行って練習したんですけど、連日の登り疲れもあって、けっこう上から落っこちてしまったんです。手の付きどころが悪くてテーピングをしているんですけど、それが本番でも使われていて。
あれは実際のテーピングなんですよ。ただカッコ悪い姿は見せたくなかったから、根性でやりました。

──大会のシーンは実際に観客がいたので緊張感もすごかったのではないでしょうか。

工藤 とても緊張しました。ただ始まってしまえば人目は感じなくなるんです。でも、しんどくなった時に聞こえてきた「ガンバ!」という声には本当に助けられましたし、力になりました。

──そうとう体型も変化したんじゃないですか。

工藤 肘下がビックリするくらい太くなりました。腕はパンパンだし、指は太くなるし、手の皮は剥けましたし。撮影が終わって3カ月後くらいで元に戻りました。今は映画のように登れないですね。

──ボルダリングは腕力が最も重要なんですか?

工藤 それが二の腕とかは使わなくて、指や腹筋を使うんですよ。
なので日頃から腹筋をやったり、指を鍛えるためにハンドグリップをやったりしました。

──映画でも共演の鈴木仁さんとハンドグリップをやっているシーンがありますね。

工藤 あのハンドグリップは、私も仁君もお互いに私物でした。空き時間にやっていたら、古厩監督に「それ使っていい?」って言われたんです。

──古厩智之監督は現場でどんなタイプでしたか?

工藤 けっこうSといいますか(笑)。私ができるかできないかギリギリの課題を与えてくるんですよ。しかも付いてくれたボルダリングの先生も「これは工藤さんなら余裕ですよ」とか言うんです。そうしていくうちに、どんどん難しくなって。しごかれながらやってましたね。飛び技で弱気になってた時も、「このシーンがないと面白くないから」と監督に言われて、気合いでやっていました。

──古厩監督はビシビシ指示してくるんですか?

工藤 きつく言う訳ではなく、話口調も柔らかくてほわっとしているんですけど、たまに鬼の顔がちらつくんです(笑)。だから容赦なくボルダリングの本数も登らされましたし、健太郎さんの卓球シーンも、映像に残っている何倍ものラリーをしていてカットをかけないんですよ。
「え? 大丈夫!?」ってなるぐらい厳しかったです。その一方で、しっかりと私たちに寄り添ってくれるので安心感がありました。

▽『のぼる小寺さん』
7月3日公開
出演:工藤遥、伊藤健太郎、鈴木仁、吉川愛小野花梨
監督:古厩智之/脚本:吉田玲子/原作:珈琲
主題歌:CHAI 「keep on rocking」

大好きなボルダリングに一直線の小寺さんは、周囲の目を気にせず我が道を行くタイプ。卓球部の近藤(伊藤健太郎)、小寺さんと同じクライミング部の四条(鈴木仁)、ネイルが趣味のギャル・梨乃(吉川愛)、写真を撮るのが好きなありか(小野花梨)が、目の前の壁に挑み続ける小寺さんの真摯な姿に惹かれていき、やがて自らの目標を見出していく。人気同名漫画の実写化作品で、注目の若手俳優が集結した青春応援ムービー。メガホンを取ったのは『ロボコン』『ホームレス中学生』など青春映画の名手・古厩智之監督。

※インタビュー(2)工藤遥、初主演映画を語る「これからも一緒に頑張って行こうって感じてもらえる存在に」はこちらから
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